東京女子初の快挙成し遂げた辰巳リカ「狂い咲いて三冠王を目指したい」

今年、デビュー10周年を迎えた辰巳リカ。過去に東京女子プロレスの最高王座であるプリンセス・オブ・プリンセス王者になったことはあるものの、4か月の短命政権で終わってしまっている。「辰年の2024年は狂い咲く」……7.20後楽園ホール大会で2度目の戴冠を狙う辰巳に秘策はあるのか。

デビュー10周年を迎え大きな勝負に出た辰巳リカ【写真提供:東京女子プロレス/撮影:村上由美】
デビュー10周年を迎え大きな勝負に出た辰巳リカ【写真提供:東京女子プロレス/撮影:村上由美】

東京女子初、グランドスラムを達成

 今年、デビュー10周年を迎えた辰巳リカ。過去に東京女子プロレスの最高王座であるプリンセス・オブ・プリンセス王者になったことはあるものの、4か月の短命政権で終わってしまっている。「辰年の2024年は狂い咲く」……7.20後楽園ホール大会で2度目の戴冠を狙う辰巳に秘策はあるのか。(取材・文=橋場了吾)

 2019年11月に渡辺未詩との「白昼夢」でTOKYOプリンセスタッグ王座(当時の名称)を獲得した後、21年1月にはついに団体の最高峰プリンセス・オブ・プリンセス王座(以降プリプリ)を獲得した辰巳。そのときのチャンピオンが、一緒に音楽グループからプロレスラーに転身を果たした坂崎ユカだった。

「ユカちゃんは……お姉ちゃんみたいな存在です。甘えベタな私が唯一甘えられる存在(笑)。何か包み込んでくれるというか、相談事も話したくなるような相手で、例えばご飯に行った時に箸を渡してくれたり、率先して料理を取り分けてくれたり、イケメンなんですよね。でもリング上では、私も捨て身の挑戦のタイミングで、ここで獲れなかったら後がないという試合だったので、本当に粘り勝ちという感じでしたね」

 坂崎の足を攻めまくって、足4の字固めでレフェリーストップ勝ち。涙の戴冠を果たした辰巳だったが、4か月後に山下実優に敗れ王座陥落。しかし辰巳2023年3月に渡辺からインターナショナル・プリンセス王座を獲得し、東京女子プロレス管轄の3王座を獲得するという、“グランドスラム”を達成した初の選手となった。

「実は挑戦表明をしたときはグランドスラムには気づいてなくて(笑)。ファンの方から言われて、そういえばそうだなと。私はルールとか秩序とか嫌いで、自分がいいと思ったらやろうと思うタイプなので、(最高峰ベルトを獲得した後でも)あまり気にせずに挑戦しようと思いました。当時の未詩はインターナショナルを持って凄く輝いていたので、戦いたくない気持ちもありつつも、戦いたくなっちゃったんですよ……。私はもともと海外志向がなかったんですが、インターナショナルを持つことで新たな経験もできると思いましたし、刺激が欲しかったんでしょうね」

 インターナショナル王座は、同年10月にマックス・ジ・インペイラーとの激闘の末奪われてしまったが、今年6月にはDDTの新宿高島屋大会に”X”として出場するなど、戦いの幅を広げていった。

「これまで東京女子提供試合で他団体に出たことはありましたが、“単体”では初めてでしたね。私がデビューする前から活躍している選手(高木三四郎、大石真翔、平田一喜)とも初めて戦えましたし、普段戦えない選手と試合ができるのは素直に嬉しかったですね」

パートナーでもある渡辺未詩に宣戦布告【写真提供:東京女子プロレス】
パートナーでもある渡辺未詩に宣戦布告【写真提供:東京女子プロレス】

「負けたらダサい」タイミングだが狂い咲きたい

 その高島屋大会から1週間後、辰巳が動いた。山下からプリプリ王座を獲得し、旗揚げメンバーである中島翔子をも撃破した渡辺に挑戦表明をしたのだ。その決戦は7.20に後楽園ホールで開催される『SUMMER SUN PRINCESS’24』のメインイベントに決まった。

「未詩は本当に頼れる選手になって、吹っ切れているなと思います。迷いなく、アイドルとプロレスの両方をやっていくんだっていう気持ちが伝わりますし、チャンピオンになってしっかりやっていくんだと感じますね。あと中島翔子との防衛戦がもの凄くて……白昼夢のパートナーとしては、生み出してはいけないモンスターを生み出してしまったかなとも思います。前回のインターナショナルのときもそうだったんですけど、『負けたらダサい』タイミングだと思うんですよ。私は未詩にシングルで負けたことがないので、向こうは天敵だと思っているかもしれないですが、前哨戦で感じたのは、同じ土俵でやったら負けるなと。レスリング技術も、スピードも、認めたくないですけど負けているかもと。ちょっと今までとは違う戦い方も出していかないと、とは感じています」

 ここ数か月で、渡辺のほか荒井優希、鈴芽、遠藤有栖といった新世代がタイトルを保持し、新しい時代を迎えつつある。その中で、辰巳はどのように戦っていくのか。

「私達は“壁”ではなくて、一緒に高め合っていく関係でいたいって思っていますし。誰が勝つかわからない試合がたくさん生まれるのが、私は面白いって考えているので凄く嬉しい変化だなと思っています。東京女子は長所を伸ばして多様性がある団体なので、いろいろな選手がいてそれぞれが輝いていける場所だと思います。後楽園でプリプリを獲ったら、今年は辰年ということもあるので、狂い咲いて三冠王を目指したいですね。ベルトは自分自身を変える『魔法のコンパクト』のようなものなので。ちなみに来年も巳年なので、私の年なんですよ(笑)。この2年間は、狂い咲くので、まずは後楽園にたくさんの方々に見に来てほしいですね」

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