コロナで7億円損失、苦境のRIZIN 覚悟の資金調達に隠された真の目的とは
クラファン開設に隠されたテーマ
要約すると、戦後の復興を力道山がプロレスで引っ張り、その際のテレビ視聴率が60%を超えていたこと。さらにはその弟子であるアントニオ猪木が時のプロボクシング世界ヘビー級王者のモハメド・アリと「格闘技世界一決定戦」を戦い、その弟子の高田延彦がヒクソン・グレイシーとの戦いに挑み……と、そうした世間を巻き込むような戦いが、常に日本全国のみならず、世界中を虜にする魅力を発してきた、と口にしたのである。そして「僕はそういうものをもう1回つくりたい」と続けたのだ。
つまり過去の歴史があって今があり、これを未来につないでいきたいと訴えたのである。これは至極当たり前の話に聞こえるものの、実は非常に奥が深い発言になる。なぜなら、現在のリングを多角的に分析し、その本質にたどり着くには絶対的に歴史が必要になってくるからだ。それは8月15日の終戦記念日を知らずしてこの日本を語れないのに似て、今という時代を知るためには過去に何があったのかを知ること。実はそれが最も手っ取り早い方法だからである。
いずれにせよ、こうした榊原CEOの切なる思いはどれだけの人々に届くのか。参考までに書き記すと、昨日あったウェブ会見の再生回数は、会見終了から14時間経った、本日午前10時の段階で11万回を越え、2千件以上のGoodと約100件のBadを記録するまでに至った。
最後に、注目の支援金の現状だが、昨日7日の午後9時頃に募集サイトを開設以来、1時間を待たずに約200人から200万円以上集まった支援金は、13時間を経過した午前10時過ぎの段階では500人を超える支援者から総額500万円弱の金額を集めている。これは目標金額5千万円のわずか9%に過ぎない。おそらくファンの多くはまだ様子をうかがっているのだろう。
実際、SNS上には「支援した!」「俺もクラファン、チケ購入微力ながら参加します。榊原さん有難う!!!!!!!!」「クラファンでRIZINのこやしになります」といった熱烈な声が見られる一方で、「リターンにTシャツやタオルがあれば」といった意見も散見されている。
さらに言えば、これは身も蓋もない言い方かもしれないが、よくよく考えれば今回の目標金額に達したからといって、もしかしたらRIZINにとっては当面の運転資金にしか相当しないのではないか。だとしたら焼け石に水ではないのか。
本記事を作成するにあたりこの点も再考してみたが、今回のクラファン開設の目的には、目標金額達成よりも重要なことが隠されている。それは停滞していたこれまでの流れを大きく変えることができる可能性を秘めていること。ここに尽きるのだ。何かを成し遂げるには、勢いや流れが最も重要。だから今回のクラファンは、そういったマイナスの風向きや流れ、思考を変えることこそが、本当の意味での大きな目的になる。
「やせ我慢していられる状況じゃ正直ない。RIZINには相撲協会とか大きな国の支援があるわけでもない。サッカーや野球のように巨大企業がそのチームを支えているわけではない。気づけばホントにこの格闘技や舞台を愛してくれたファンのみんなの力でつくり出してきた経済活動だと改めて思います」
榊原CEOはそう述べていたが、今こそ、熱い闘いを望むファンの思いを集結させられるか否かの瀬戸際に立ったと言っていい。
我々はリング上での幾多の壮絶な闘いから夢や希望はもちろん、嫉妬や裏切り、熱狂や落胆、歓喜や哀しみ、怒り……、そういったあらゆる感情を味わわせてもらってきた。その続きがこれからも見られるのかどうか。
果たしてその可否が問われる今回のクラファンと8月に開催される2大会。そのための成功の鍵は、そして格闘技界の命運はこれを読んでいるあなたが握っている――。
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