原作者・恩田陸も絶賛する映画「蜜蜂と遠雷」主要キャスト4人の賞レースの行方

(C)2019 映画 「蜜蜂と遠雷」製作委員会
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森崎ウィンの覚悟「役者として5年以内にハリウッド映画に戻りたい」

 心理描写に主眼を置いた原作同様、全体的に会話は少なめ。ただ、松岡は「取材で言われて、初めて気がついた」というほどで、気にしていなかったという。ピアニストを演じた4人は、ピアノと対話を続けたということだろうか。実際にピアノを演奏するピアニストからの指導を受け、それが当て振りのアンサンブルとなっている。「勝手にふるえてろ」「万引き家族」の松岡、「孤狼の血」「新聞記者」の松坂はもちろん、日本映画界では未知数の森崎、本作が俳優デビューとなる鈴鹿がいい。鈴鹿はまさに天才といったオーラを放ち、新人賞当確といった演技を見せている。

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 当サイトのインタビューに応じた森崎は「本作を日本における代表作にしたい」と語り、自らヤマハ音楽教室でピアノを習ったことを告白。風間塵役の鈴鹿の演技の素晴らしさに同意していて、「(新人の台頭に焦りや刺激に感じることは)常にあります。ただ、最近は続けることが大変だな、と思うようになりました。石川監督に『俺、10年後にはオスカーを取りますから』と言ったら、監督はたった一言『10年、役者を続けられていたら、いいね』と。撮影中はその言葉の重みを深く考える時間はなかったのですが、改めて別の作品をやっていく中で、やっとその重みが分かりました」と話していた。

 確かに、続けるのは難しい。取材日は奇しくも森崎の29歳の誕生日だった。今後の抱負をたずねると、「あっという間に29になってしまいました。(『レディ・プレイヤー1』で)ハリウッドデビューも経験させていただきましたが、僕が思い描いていた30の大人の男にはまだまだ、ほど遠い気がします。人間的にもっと成長し、自分が思い描く男像にどう近付いていくのか。そのたどり着いた答えは日々を一生懸命生きるということです。今後の野望は、音楽人としては3年くらいかけてアジアツアーを回ること、役者としては5年以内にハリウッド映画に戻りたい」との答えが返ってきた。

「蜜蜂と遠雷」は年末から始まる賞レースでも、注目の1本になるだろう。その中で、誰が栄冠を手にするのか。4人の主要キャストは劇中のピアノコンクール同様、内心ヤキモキしているかもしれない。

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