東出昌大、ひろゆき氏と「似ているかも」 過酷な南米横断旅で気付き「知れば知るほどいびつ」
昨年放送のABEMAのドキュメンタリーバラエティー番組『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』で旅のパートナーを務めた俳優の東出昌大(36)が、その第2弾『世界の果てに、東出・ひろゆき置いてきた』(毎週土日午後9時~、6月9日以降は毎週日曜午後9時~)に出演している。命の危険も感じたという南米横断旅で見て、感じたことは?
ABEMA『世界の果てに、東出・ひろゆき置いてきた』で再び共演
昨年放送のABEMAのドキュメンタリーバラエティー番組『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』で旅のパートナーを務めた俳優の東出昌大(36)が、その第2弾『世界の果てに、東出・ひろゆき置いてきた』(毎週土日午後9時~、6月9日以降は毎週日曜午後9時~)に出演している。命の危険も感じたという南米横断旅で見て、感じたことは?(取材・文=平辻哲也)
前作はアフリカ・ナミブ砂漠に「2ちゃんねる」の創業者、ひろゆきを置き去りにして、10万円だけ渡して、大陸横断の旅をさせるというものだったが、今度はパートナーを務めた東出が南米エクアドル沖合のプラタ島に置き去りにされ、5万円を持って、南米横断の旅に出る……。
「ロケ開始の数日前にマフィアのボスが脱獄して、緊急事態宣言が出て、さらにはその数日後に武装集団が放送局を占拠する事件が起こったばかりだったんです。なのに、ディレクターの豊川(康成)さんが、『獄中のマフィアに面会できるらしいから、会いに行きましょう』とジャーナリスト魂を発揮するんです。さすがに現地の人から必死に止められたので、行かなかったですが……」
実は東出は21歳の時に南米旅行は経験済みだった。
「前回はペルーのリマ、マチュピチュ、チチカカ湖、ボリビアの首都ラパス、ウユニ塩湖、イグアスの滝などをめぐっていますが、観光地だけ巡った若い時とは違うだろうなと思ったら、予想通りでした。今回は、マチュピチュ、ナスカの地上絵などはスルーして、現地の人の暮らし、社会はこういう風になっているんだと考えながら旅ができたんです」
南米大陸横断は基本陸路のみ。
「こんなところに日本人なんて来ないでしょ? というような場所にバスで乗り継いでいったんですが、『一緒に写真を撮って』と言われたり、村で一緒に家畜をさばいたり、土地の人たちの生活を追体験できたので、有意義だったです。バスは崖道を走っていくのですが、その直前にバス転落事故もあったと聞いていたので、本当に怖かったです」
観光地では、ボッタクリもいたが、南米の田舎は明るく、穏やかな性格の人が多く、「幸せに生きるって、なんだろう」と考える機会も多かったという。
「日系人の方が南米のいろんな国にいます。移住して、たこ焼きを売っている日本人青年と出会ったのですが、お金に縛られて生活している感じではないんです。ボリビアでは歩いていたら、建物の上や屋上からその道行く人に水風船を当てるいたずらが流行っているんですが、当てられた人も怒るようなこともしないんですけど、こんなことは日本では許されないですよね」
南米は犯罪率が高く危険とも言われるが、「そんなことばかりではなく、南米の方が明るくて朗らかで素敵だなと思う光景はいっぱいあって、日本って、なんなんだろうと思うことが多かったように思えます」
途中では、ひろゆき氏と合流し、再び親交を深めた。
「壁はなくなりつつありましたが、その代わり失礼なことをバシバシ言ってくるんですよ。常々、性格悪い人だと思っているんですけど(笑)、今回の旅を経て、僕とひろゆきさんは似ているなと思えてきたんです。人って、知れば知るほど、だれもいびつだなと思うんですけど、頑固なところが似ているかもしれない」と笑う。
前回のアフリカ旅同様、ひろゆき氏がネットで宿探し、東出が肉体労働担当。夜は現地の酒を飲み交わした。
「いろんな種類のお酒を飲みましたが、とにかく暑いので、ビールが主流です。暑いところのビールはのどごしが最高と言っていました。ひろゆきさんは結構、召し上がります。飲むとご機嫌になりますよね」
南米旅で大変だったのは…「一番の見えない敵は高度です」
一番大変だったのは何か。
「暑いところは39度、寒いところは23度。1日や半日の移動で気温が変わってくるんです。でも、一番の見えない敵は高度です。普通は高地順応といって、数日かけて高度を調整していくんですが、1 日のうちに4000m 上がったりもしました。脳に酸素が足りていなくて、あくびしながら会話していました」
15年ぶりの南米だが、現地の暮らしぶり自体はそんなには変わっていなかったという。
「ただ新しい発見はいっぱいありました。土着的な生活も見られましたし、気候変動の煽りを受けている国が非常に多いのも印象的でした。雨季のウユニ塩湖は水が張っているのに、この3年あまり雨が降っていないそうで、カラカラだった。人類はこのままでいいんだろうかという思いも芽生えました。番組では、日本人が行ったことがないような村にも行っているので、新しい南米像をお見せできたんじゃないかと思います」と内容に自信を見せていた。
□東出昌大(ひがしで・まさひろ)1988年2月1日、埼玉県生まれ。2012年、映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビューし、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。以後、数々の作品に出演。主な作品として、第71回カンヌ国際映画祭の『寝ても覚めても』、人気の『コンフィデンスマンJP』シリーズ、第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞の『スパイの妻』、『Blue』、『草の響き』、『Winny』、『福田村事件』、『WILL』『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』など。『週刊文春CINEMA!』で「山暮らし日記」を連載中。