いじめ殺人を描く問題作に内藤監督、「自粛警察、木村花さんの事件ともリンクする作品」

映画「許された子どもたち」に主演する上村侑、黒岩よし、内藤瑛亮監督が4日、東京・渋谷HUMAXシネマで舞台あいさつを行った。

フェイスシールドを装着した内藤瑛亮監督
フェイスシールドを装着した内藤瑛亮監督

主演の上村侑「映画を観た父が口をきいてくれなかった」

 映画「許された子どもたち」に主演する上村侑、黒岩よし、内藤瑛亮監督が4日、東京・渋谷HUMAXシネマで舞台あいさつを行った。

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「ライチ☆光クラブ」「ミスミソウ」など問題作を手掛けてきた内藤監督。

 本作は実際の事件をヒントに、いじめを発端に中学1で同級生を殺してしまった少年(上村)とその母親(黒岩)という加害者側の視点から描いた問題作。10代の出演者を対象にワークショップを開催した上で、2017年から約1年がかりで撮影した力作だ。コロナ禍の中、6月1日から2館で上映がスタートし、5000人以上を動員。現在32館まで拡大するヒットになっており、主演俳優を迎えての舞台あいさつはこの日が初めてとなった。

 17歳の新人・上村は舞台あいさつ自体が初体験。「このような状況下で、舞台あいさつができることをうれしく思います。最大の注意を払い、楽しい時間を過ごしてください」と堂々とした姿。1988年のソウル五輪の水泳代表で、「ウルヴァリン」ではヒロインのスタントも担当し、アクション映画を中心に活躍する黒岩は「こうして、ごあいさつできるのは、日頃、足を運んでくれたおかげです」と感謝。内藤監督も「公開から1か月でようやく出演者の舞台あいさつが実現できた。特に上村君は人生初の出演映画。舞台あいさつを体験してあげたいと思っていた」とホッとした様子を見せた。

 上村は「監督にお会いしたのは『ミスミソウ』のオーディションでしたが、監督の作品を観たことがなかったので、偏見も怖さもなかった。ワークショップでは、先生のような一面を持っていたのでやりやすかったです」。一方の内藤監督は上村の起用について「受け答えがちゃんとしていた。撮影が1年に及ぶので、ちゃんとコミュニケーションが取れることが大事だった。ワークショップでもいじめについてのしっかりとした意見を持っていて、外見は男っぽいけど、学校に行けなかった時期もあったそうで繊細さもあったのがよかった」と明かした。

 上村は、初日に家族と映画を観たそうだが、「帰り道、父親がまったく口をきいてくれなかったんです。ずいぶん時間が経ってから、映画の話をしてくれたけど、どう観たらいいのか悩んでいたみたいです」と家族も問題作には衝撃を受けた様子。「(舞台あいさつは)本当にあっという間でした。フィクションながら、現実にもつながる作品。しっかりと考えて、自分なりの答えを持つきっかけになればいいと思っています」。

 内藤監督は「自粛警察、木村花さんの事件ともリンクする作品だと思います。普通、自分は被害者側だと受け取ると思いますが、加害者になる可能性が本当は高いんです。そのことについても考えていただければ」と話した。

次のページへ (2/2) 【画像】舞台あいさつを行った黒岩よし、上村侑、内藤瑛亮監督(左から)
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