大学生の娘が赤面「目立つし恥ずかしい」 日本に数台の貴重な愛車は「ヤフオクで」
この車はいったい……。ひとたび公道に出れば一躍注目を浴び、大学生の娘を迎えに行けば「これで迎えには来るな」とケムたがれる。よくも悪くも車のインパクトは抜群だ。どのように車を手に入れたのか。また魅力は? オーナーの沖田健一さんに詳しい話を聞いた。
日本に数台! ヤフオクで購入した車は個性爆発
この車はいったい……。ひとたび公道に出れば一躍注目を浴び、大学生の娘を迎えに行けば「これで迎えには来るな」とケムたがれる。よくも悪くも車のインパクトは抜群だ。どのように車を手に入れたのか。また魅力は? オーナーの沖田健一さんに詳しい話を聞いた。
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「購入は7年前ぐらいですか。ヤフオクです。たまたま載っているの見て、かっこいいなっていうのと、屋根が開く車って珍しいなっていうので。ウオッチはしてたんですけど、誰も皆さん買わないので、どうしようかなと思ってついポチっと」
沖田さんがネットで一目ぼれしたのは、白いボディーカラーの1974年式スターリング・ノヴァ。ユニークな屋根の開閉は自動車愛好家ならずとも、思わず目を引きつけられる1台だ。価格は200数十万円ほどだった。
「ちょっと珍しいなっていうところで。あんまりこう、人と同じ車って好きじゃないので、なんか変わったものって面白いなと思って、ついつい。あとはもう50過ぎだったので、そろそろ最後の車かなみたいなところもあって、ミッション(マニュアル車)欲しいなと思っていて。で、これが出たんで、買っちゃいましたね」
沖田さんで3代目。前オーナーは富山で、その前は三重・伊勢の人だった。
実際に車と対面したときの衝撃はいまだに覚えている。
「富山まで車を取りに行きました。ただ、座った瞬間に乗って帰れないなと思いました。おっかなくて。座ってみると分かるんですけど、他の車とはちょっと違う。ぺったんこですし、閉塞感というか、もう全く横も見えないし、前も分からないしっていう状態だったので、これは乗って帰れないなと思いました。ちょうど屋根を上げるダンパーが壊れちゃって、結局向こうで直してから納車という形になって、陸送して来てもらったんですけど、最初のうちは本当怖かったです」
車高の低さはまるでレースカー。
「本当そうですね。ゴーカートみたいな」
運転の練習は近所で少しずつ始めた。ハンドル操作に慣れる一方で、頻発したのが故障だった。
「配線も燃えちゃったりしていたので、まともに走るまでは3年ぐらいかかりましたね」
メンテナンスだけでなく、カスタムにもずいぶんと費やした。
「もうほとんどですかね。内装とかメーターとかも全部変えちゃったので。配線とかも全部ショップでお願いしてやり直しましたし、結構かかりましたね。楽に買った値段は超えていますね」
ただ、苦労した分、走る喜びを感じている。
「今はおかげさまで安心して乗れる車にはなったので、一番楽しいです」と笑顔を見せた。
不思議なことに走れば走るほど、愛着が湧いてくる。
「車の魅力? 面倒くさいところですかね。走って帰ると大丈夫かなっていう。ひっくり返して見て、ああ、大丈夫大丈夫っていうのがもう日課になっちゃっています。もう1台プリウスがあるんですけど、あっちはもうノーメンテで全くいじる必要もないので、そういう車からすると、なんかこう、ドキドキワクワクしながらっていうのはあると思うんです」
大学生の娘がドン引き「目立つし恥ずかしい」
これまでの愛車遍歴はポルシェなど。「特別変わった車は乗っていない」と振り返る。
ユニークな車を所有し、カーライフは激変した。
「皆さんから声をかけられることはすごく多くなりました。大黒(パーキングエリア)行っても、車のイベントに来ても、知り合いが増えたっていうのは、すごくいろんな車の知識を教えてもらえますし、あと、パーツとかそういったところもやっぱり取りやすくなったっていうのは、すごくありがたいです」
“自動車ファンの聖地”大黒PAにはかねて毎月のように出没。主な目的は、「他の車を見に」と自動車観察だった。
ところが、現在では、立場が変わってしまったようで……。
「これってなんですかっていうのはやっぱり多いですね。大体屋根を開けると皆さん来てくださるので。閉めていると、開けていただけますかっていうのはよく言われます」。スーパーカーや個性派カーが集まる大黒PAでも注目のマトとなっている。
対照的なのが家族の反応だ。
「自宅には毎日置いてあるので、家族は見慣れちゃっている。ポンコツ呼ばわりです」と苦笑い。
特に気にしているのが、大学生の娘だという。
「娘にはこれで迎えには来るなと言われます。目立つし恥ずかしいし、狭いし臭いしうるさいしって」
確かに、大学の校門の前で、ドアがぎゅーんと上に開いたら赤面してしまってもおかしくない。
「友達の目線を感じながらドン引きしていました。なんでこっちで来たんだって怒られます。しかも、おじさんが乗っかってたらなおさらですよね」
悩みは“後継者問題”2人の子どもはMT免許取得も…
家族の冷たい視線を感じつつも、沖田さんは愛車に乗り続けている。
「今ナンバー取れているので、僕が知っているので4、5台。関東だと僕はこれかぶったことがないですね。見たことがないです。当時、日本に数十台は入ってきているみたいなんですけど、もう古いので書類がなくなっちゃっています」という貴重車だ。
スーパーや買い物など日常の足はプリウスに任せ、もっぱら趣味として動かしている。
「実用性は本当にないので、遊び車ですね。休みの日にいじったり走ったりして遊んでいる感じです」
“最後の車”として購入した1台。心配なのは将来の行く末だ。“後継者”は決まっていないという。
「子どもたちに引き取ってもらえなそうなので、どうしようかなと思っているんですけどね。死んでも売るなよ、とだけは言ってありますけど。子どもは2人いるんですけど、とりあえず引き継げるように、両方ともミッションの免許は取らせました」
クラシックカーのオーナー共通の悩みがここにもあったが、免許返納には時期尚早。愛車との時間を目いっぱい満喫するつもりだ。
「声をかけていただけることで、メンテも逆にしないとなという気持ちになります。見慣れない方からすると珍しい車だとは思いますし、たくさんの方に声をかけていただくのですごく楽しいですね」と結んだ。