外国人愛煙家に聞いた日本の喫煙事情、喫煙所探しに苦労…案内の不備指摘「場所の表示が曖昧」

日本独自の文化や風景に魅了され、来日する外国人観光客の数が右肩上がりで伸びている。インバウンド消費も活況を呈し経済効果に注目が集まる一方、訪日客にとっては異国の地だからこそ「不便に思うこと」もある。近年、路上喫煙禁止などの規制が進む日本を訪れた外国人愛煙家は、たばこを吸う上でどのようなことに困るのか。約1週間の日程で東京観光をする米国人とペルー人の喫煙者が、本音を明かしてくれた。

米国出身のケオ・ハンホウさん(左)とペルー出身のダニエル・ラスさん【写真:ENCOUNT編集部】
米国出身のケオ・ハンホウさん(左)とペルー出身のダニエル・ラスさん【写真:ENCOUNT編集部】

外国人観光客が見た「日本の喫煙事情」、米国&ペルー編

 日本独自の文化や風景に魅了され、来日する外国人観光客の数が右肩上がりで伸びている。インバウンド消費も活況を呈し経済効果に注目が集まる一方、訪日客にとっては異国の地だからこそ「不便に思うこと」もある。近年、路上喫煙禁止などの規制が進む日本を訪れた外国人愛煙家は、たばこを吸う上でどのようなことに困るのか。約1週間の日程で東京観光をする米国人とペルー人の喫煙者が、本音を明かしてくれた。

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 旅行ガイドブック「地球の歩き方」が運営する訪日旅行情報サイト「GOOD LUCK TRIP」が、昨年6月に興味深い調査結果を発表した。海外在住の訪日経験者891人に「日本旅行中に困ったこと」についてアンケートを実施すると、1位に「Wi-Fi環境」(31.5%)、2位に「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」(20.2%)などの回答が並ぶなか、8位に「喫煙できる場所の少なさ・分かりにくさ」(14.4%)がランクイン。回答者を喫煙者(237人)に絞ると44.3%を占め、最も多かったという。

 こうした感想は今、実際に日本を訪れている外国人喫煙者も感じているようだ。

 渋谷の喫煙所で出会ったのは、「子どもの頃から日本の漫画に囲まれて育ってきたんだ」と語るペルー出身のダニエル・ラスさんと、米ロサンゼルスからやってきたケオ・ハンホウさん。今回は東京に約1週間滞在する2人に日本の喫煙事情について尋ねると、ケオさんは米国と比較しながらこう切り出した。

「喫煙場所を探すのがタフだね。アメリカとはだいぶ事情が違うから。アメリカは屋外であれば、どこであろうと喫煙できるけど、日本は違う。もちろん、たばこを吸わない人にとってはとてもいい環境だと思うけど、喫煙者にはなかなか厳しい状況で、喫煙場所を探すのが難しい」

 外国人が喫煙所を探すのに苦労する要因について、ダニエルさんは英語やスペイン語などの案内表示の少なさを指摘。「あったとしても、場所の表示の仕方が曖昧で全然たどり着かなくて、喫煙所の周りをウロウロとさまよってしまうんだ。だから、この喫煙所(渋谷駅前スクランブル交差点脇)のようにすぐに見つかるところもあるけれど、そのほとんどが見つけづらい場所にある印象だね」と語る。

 ケオさんも「昨日浅草のあたりに行った時、そこにも喫煙所があったんだけど、ちょっと見つけづらかったんだ。喫煙所インフォメーションが示す通りに行ってみたんだけど、なかなかたどり着かなくて……。だいたい裏道だったり、建物の中にあったりするから、外国人には少し読み解くのが難しいと思った」と、自身の体験をまじえながらダニエルさんの意見に同意した。

路上喫煙禁止の東京は「世界に例がないくらいきれい」

 米国もペルーも屋内での喫煙は禁止で、唯一自由にたばこを吸えるのが路上だという。母国とは真逆と言える日本の環境だが、ケオさんは「(屋外でも)分煙されているのはいいことだと思う。他の国に行くと路上にたばこの吸い殻がたくさん落ちていて汚いんだ」と、街をきれいに保つ上で路上喫煙禁止のルールが効果を発揮していると指摘する。

 また、ダニエルさんも「街中のゴミという点で言えば、東京は世界に例がないくらいきれいだと思う。この環境を保つにはルールが必要。もしかするとルールが少し厳しすぎる気がしないこともないけれど、路上を清潔に保つことができるのであれば、それもまた仕方のないこと。僕は環境のいい場所で過ごせることのほうが、たばこを吸いたい気持ちよりも上回るかな(笑)」と、笑顔を見せながら理解を示した。

 前述した「GOOD LUCK TRIP」では今年1月にも、訪日経験のある喫煙者(341人)を対象にアンケートを実施。「増やして欲しい喫煙所の場所」についての質問には、「宿泊施設内(ホテル、旅館など)」(96.2%)、「駅の周辺や公園などの屋外の公共スペース」(91.5%)、「飲食施設内(レストラン、カフェなど)」(85.3%)に多くの意見が集まった。

 また、「どのように喫煙できる場所を示して欲しいか」という質問には、ケオさん、ダニエルさんも指摘していたように、「母国語で書かれた看板や案内図の設置」(71.8%)、「母国語で喫煙場所が紹介されているウェブサイトの設置」(62.8%)という回答が上位を占めていた。日本全国で過熱するインバウンド需要。来日する愛煙家も非喫煙者も、お互いが快適に旅を楽しむために、喫煙所の増設や案内表示の充実など分煙対策をさらに推し進める必要がありそうだ。

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