水原氏の巨額借金なぜ? 元違法賭博経験者が指摘する“不可解”「天井はあるはず」

大リーグ・ドジャースの大谷翔平が日本時間26日、元専属通訳・水原一平氏の違法賭博問題について声明を発表した。自身の賭博関与を否定し、「信頼していた方の過ちは悲しいというかショックです」と心境を吐露。一方、大谷の口座からどのように送金されたかについての言及はなかった。少なくとも450万ドル(約6億8000万円)とも報じられている金額の大きさが議論を呼んでいるが、ここまで借金が膨らんでしまったのは、その筋の“経験者”から見ても異常なようだ。

大谷翔平(左)と水原一平氏【写真:ENCOUNT編集部】
大谷翔平(左)と水原一平氏【写真:ENCOUNT編集部】

米国の違法賭博の実態、経験者が語る胴元の手口

 大リーグ・ドジャースの大谷翔平が日本時間26日、元専属通訳・水原一平氏の違法賭博問題について声明を発表した。自身の賭博関与を否定し、「信頼していた方の過ちは悲しいというかショックです」と心境を吐露。一方、大谷の口座からどのように送金されたかについての言及はなかった。少なくとも450万ドル(約6億8000万円)とも報じられている金額の大きさが議論を呼んでいるが、ここまで借金が膨らんでしまったのは、その筋の“経験者”から見ても異常なようだ。

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 ENCOUNTは1990年代後半に米国で違法スポーツ賭博の元顧客だったX氏を取材した。在住するロサンゼルスでは、スポーツ賭博は禁止され、現在よりも厳しい風潮があったころだ。

「カリフォルニアは違法だから、受けるほう(胴元)は確かコスタリカを経由していた。カリフォルニアだったらバレたら捕まっちゃう。まだそんなに緩いときじゃないですから」

 取引は知人を介し、電話1本で可能だった。

 米放送局「ESPN」によると、水原氏は国際サッカーやNFL、大学フットボール、NBAに賭けていたとし、野球賭博は否定している。

 X氏が当時熱中したのもNFLで、野球賭博の経験もある。「野茂(英雄)が投げたからドジャースに賭けた」と語る。大会によっては、賭ける対象が多岐にわたっていた。例えば、NFLのシーズン王者を決めるスーパーボウル。「スーパーボウルではまずコイントスがある。コイントスをどっちが勝つかって、そこから。1番最初にタッチダウンするのは誰かっていうのもある。だから賭けようと思っていたら全てにおいてずっと賭けができるようにしてあった」と述懐する。

 一般的な日本の賭博と比較すると、明確な違いがあった。それは負けた際のダメージが米国のほうが大きいことだった。

 試合の勝ち負けを予想し、最低金額の100ドルを賭けた場合、「アメリカは勝ったときには100ドルくれるけど、負けたときには110ドルを払わなければいけない。だから、負けたときには1割つく」。

 賭けに敗れた客は、10%の手数料を上乗せして支払う。つまり、負ける客が多ければ多いほど、胴元がもうかるような仕組みになっていた。

 そのため、賭けが「勝ち」に大きく偏ることなく、拮抗するように仕向けられた。賭博では対戦するチームに実力差がある場合、あらかじめ点数にハンデをつけることがある。米国では、状況に応じてハンデが再び変わるのも日常的だった。

「胴元もバカじゃない。結局スポーツベッティングにしろノミ屋にしろ、何がもうかるのって、例えばAさんが巨人に賭けました、Bさんが横浜に賭けましたってなったら、ここで争うから、このやり取りさえできれば10パーが入ってくる。負けたほうから。片側だけに張られちゃうのが1番困る」

 単純な勝ち負けだけでなく、「オーバー」「アンダー」という賭け方もある。これは両軍の合計得点が決められた点数を上回る(オーバーする)か、しないかで勝ち負けが決まる。試合の勝ち負けと組み合わせ、両方とも的中した場合、約2.8倍のもうけとなったが、片方でも外した場合は、「負け」となった。「だからハイリスク」。スリルを求める客が好んだという。

なぜ水原氏は借金漬けに…ぬぐえない“疑念”

「日本は、競馬のノミ屋なんかは、全部のレースをやって10万円負けましたってなったら、9万円でいいよってお得感を出すわけ。だから、アメリカの場合は逆。ちょっといじっている。受けるほうがおいしい。もうかるようにできている」

 賭け金不要の信用取引は、簡単に賭けることができる。その積み重ねで、水原氏も約6億8000万円もの借金を抱えたのだろうか。

 だが、X氏は、水原氏については“不可解な点”があると指摘する。

「それにしても、ちょっと話が大きい。そんなにツケさせる? 天井はあるはず」

 違法賭博の胴元やバックの組織は顧客の身辺調査を行い、住所や電話番号などの情報を正確に把握しているとされる。集金の際、借金を抱えたまま、逃亡されないようにするためで、そもそも信用できる人間しか参加できない紹介制も多いという。

 客がどれくらい借金を抱えられるかについても当然把握している。大谷を公私にわたってサポートした水原氏の年収が一般サラリーマンよりも多いとはいえ、X氏は借金できる上限を「1億円ぐらい」と見積もった。だが、水原氏は“天井”をはるかに超え、文字通り“借金地獄”に陥ってしまった。

 その背景にはやはり、大谷の通訳という肩書が影響したとみており、「個人じゃできない。大谷選手の通訳をやっているから。結局そういう信用なんだ。それで、10億ぐらい動かせるよって。向こうだって信用するだろう」と分析。

「大谷選手の金を使えるみたいなことをたぶん言っていたと思いますよ。普通1億もやらせない。想像の域を出ないけど、そういう金銭管理もしていたけど、大谷選手の通帳みたいなの見せているんじゃないの。この銀行にこれぐらい入っていて、このお金は俺が決済できるよ、ぐらいのことを」と推察した。

 ESPNによると、水原氏が違法賭博に手を染めたのは2021年。それから3年のうちに、7億円近くまで借金が膨れ上がったという。しかし、一連の流れで、水原氏の関与が表面化していなければ、水原氏は違法賭博を続け、借金はさらに増えていた可能性がある。

「胴元がバレなかったらバレていないわけでしょ。大谷選手は気づいていなかった。ということは、もうちょいできたっていうこと。普通の人はそんなにお金持っていないから、その前にできない。やらせてもらえない。でも彼は払った。人のお金であろうがなんであろうが、払えるからやった。だから、それだけのものがあったからできるんだよ。大谷選手のお金をやっぱり動かせるんだぐらいのことは、私は言ったと思いますよ」

 大谷の会見を受け、水原氏は何を思うのか。

 すでに米国の違法賭博から足を洗っているX氏は、「ギャンブルなんて適度に遊んでいるのが1番楽しいんだと思うよ。でも度を過ぎてきたらもう苦しいだけなんだよ」と締めくくったが……。

 日本を代表するトップアスリートを巻き込んだ前代未聞の騒動の真相究明が待たれる。

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