男性アイドルグループ・Go! Go! kidsの羽村仁成が、今月8日公開の映画『ゴールド・ボーイ』に出演し、二面性を持つ中学生を演じている。16歳にして、先輩俳優と渡り合う大役に挑戦した心境を語った。（取材・文＝大宮高史）

　同作は、沖縄を舞台にしたクライム・サスペンスで、原作は中国の紫金陳（ズー・ジェンチン）氏による小説『坏小孩（悪童たち）』。羽村が演じる13歳の少年・安室朝陽は、資産家の婿養子の東昇（岡田将生）が義両親を殺害する現場を目撃していたことに気づく。朝陽は親友の上間浩（前出洋志）と妹の上間夏月（星乃あんな）を誘い、昇を脅迫して大金を得ようと計画を立てる。優等生の朝陽は犯罪を計画していくうちに、隠れた才能を発揮していく。少年と大人が頭脳戦を展開。羽村は台本を読んで物語に引き込まれたという。

「オーディションを受ける時、普通は審査の場面の台本だけをもらうんですが、『ゴールド・ボーイ』は全編の台本をもらいました。『めちゃくちゃ、面白い！』って、審査が始まる前からワクワクして、『絶対出てやる』という気持ちでいました」

『ゴールド・ボーイ』では朝陽として、トレードマークのセンターパートの髪型もガラリと変え、目力でただの少年ではない雰囲気を醸し出している。

「（朝陽役は）難しかったです。表向きは優等生でいい子そうに見えて、心の中の悪い部分を少しずつ見せていくところに苦労しました。彼が人と関わっていくにつれて変わっていく様を何回も台本を読み込んで研究しました。『ここで感情が切り替わるんだ』と理解しながら、カメラに向かっていました」

　劇中での敵・東昇役の岡田将生については「すごく怖かったです」と表現した。

「やっぱり、迫力がすごくって。例えば怒るシーンでも、声を張り上げるんじゃなくて頬がピクッと動くんです。真正面で向き合った時の目線も怖くて、序盤に僕らが初めて対決するシーンでも、僕がしゃべった後に僕らを小バカにする感じで笑ったと思ったら、僕らの表情を見てすぐ冷酷な真顔に戻っていたり。そういう表情の切り替えも怖さを感じました。表の顔も完璧で格好いいところもすごいです」

　そんな岡田に対しては、「岡田さんVS.僕ら子どもの頭脳戦が作品の一番の魅力なので、僕らも『負けないぞ』と思って演じなければ。そんな気持ちで向かっていました」という。

「ラストのクライマックスの場面をロケの最後に撮りました。本性をすべてさらけ出していくので、個人的に一番気合を入れた場面です。金子修介監督とはよく話し合って、『もっと、セリフを強く言った方がいい』などのアドバイスをいただきました」

　ロケは5月に沖縄で行われ、劇中では羽村の日焼けした肌がたくましさを感じさせている。

「水着も持って行ったんですが、結局、海に行くことはなかったです（笑）。でも、休みの日に北谷町のアメリカンビレッジに前出くんや星乃さんと遊びに行ったり、岡田さんが沖縄そばを差し入れてくださったりと、沖縄を満喫できました」

　羽村は2019年に事務所へ入所。22年結成の「Go ! Go! kids」のメンバーに選ばれ、グループでの舞台活動の他、21年10月期の日本テレビ系連続ドラマ『二月の勝者―絶対合格の教室―』などに出演してきた。映画初出演は昨年公開の『リボルバー・リリー』で、戦前の東京でスパイの暗闘に巻き込まれる少年の役だった。今回、16歳にしてダークヒーロー役で存在感を見せている。

「『普段、生きている中でできないことができる』というのが、俳優のお仕事での一番の楽しさです。それにGo! Go! Kidsもどんどん人気が出て、アイドルと俳優、どちらのジャンルでももっと出番をいただけたら最高です。アイドルをやりながらも、ドラマにも映画にもたくさん出演していきたいです」

　映画出演はまだ2作目。大人も同世代の子どもも翻ろうする役で、早くもアイドル俳優の枠にとどまらない可能性をのぞかせている。

□羽村仁成（はむら・じんせい）2007年7月15日、東京都生まれ。19年に事務所入り。22年にGo ! Go! kidsを結成。舞台『JOHNNYS’ IsLAND』、ドラマでは日本テレビ系『二月の勝者―絶対合格の教室―』、TBS系『俺の家の話』などに出演。166センチ。血液型B。