電撃引退から10年、2児の母になった林丹丹が34歳で芸能界復帰 選択のワケ「自分が中途半端で終わらせた」

2006年の「第11回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリに輝き、テレビ朝日系『ドクターX~外科医・大門未知子~』など人気ドラマにレギュラー出演するなど華々しい活躍ぶりだったが、14年に突然引退した女優・林丹丹。10年の時を経て、1月に芸能界に復帰した。現在34歳。結婚して2児の母になっていることは明らかになっているが、そもそも10年前になぜ引退したのか。なぜ今、復帰なのか。林に単独インタビューを試みた。

芸能界に復帰する理由を語った林丹丹【写真:ENCOUNT編集部】
芸能界に復帰する理由を語った林丹丹【写真:ENCOUNT編集部】

教育熱心な2児の母「8年はお受験の業界にいたような感覚」

 2006年の「第11回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリに輝き、テレビ朝日系『ドクターX~外科医・大門未知子~』など人気ドラマにレギュラー出演するなど華々しい活躍ぶりだったが、14年に突然引退した女優・林丹丹。10年の時を経て、1月に芸能界に復帰した。現在34歳。結婚して2児の母になっていることは明らかになっているが、そもそも10年前になぜ引退したのか。なぜ今、復帰なのか。林に単独インタビューを試みた。(取材・文=中野由喜)

 まずは10年前の突然の引退。何があったのか

「17歳から仕事をしてきて、引退するまで芸能界以外の人とほとんどお話をしたことがなく、どんどん自分の世界が狭くなっていく不安を感じました。芸能の仕事をしていく意味も徐々に見出せないようになり、引退する2、3年前から違う職業を経験したいと思うようになったんです。引退は24歳の時。何か新しい仕事を始めるならこの時期かなと決意しました」

 13年12月の実業家との結婚が引退の理由ではなかったのか。

「交際を始めたのは13年の夏でした。当時は芸能界を引退したら、まずは少しお休みして自分が何をしたいのかを見つけようと思っていました。そんな中で、今の夫のアプローチが強くて(笑)」

 結果、新たな世界は妻として母としての生活となった。

「この10年は子育てに振り切っていました。長男が9歳、長女は7歳です。新しい仕事は子育てと言ってもいいほど奮闘し、忙しくて鏡も見ない日はしょっちゅうでした。私は専業主婦も重要な職業と捉えています。幼い時から母が家事をする姿を見て、大変な仕事だと思っていましたから」

 結婚から芸能界引退まで4か月あった。どんな思いだったのか。

「引退しようかどうか少し悩んだとは思いますが、私はスパッと決めるタイプなので、結婚を機に1度芸能の仕事をお休みして家庭に入って、その間に社会のいろんな人たちと話して自分の世界を広げようと思っていました」

 ここで夫の魅力も尋ねてみた。

「自営業的な仕事をしている人です。精神的にタフで常に前向き。行動力もあり、私にない部分を持っています」

 どんな母でどんな妻なのか。聞くと今回、復帰しようと思ったきっかけをまず話してくれた。

「子育てに振り切ってから、母として幼稚園や小学校のお受験を経験し、子どもと向き合う時間がすごく長かったんです。結婚10年のうち8年はお受験の業界にいたような感覚(笑)。いい母、いい妻でありたいと頑張り過ぎると自分を見失い、バランスの取れない時期もありました。加えてコロナ禍もあって人と関わりが薄れたり、悩んだり。でも壁を乗り越えて、自分なりに答えを見つけてきました。私のように悩んでいる同世代のお母さんたちに発信することで、みんなが楽しく育児ができたらと思ったのが復帰しようと思ったきっかけです。今、テレビを見ると昔の自分とは違った見方で役を見たり、理解が深まったりしています。昔と比べてもっといい表現ができるかなと思っています。もっと言うと社会の一員の自分を見つけたいんです」

 いろんな仕事がある中、選んだのは再び不規則で多忙な芸能界の仕事。家庭との両立は大丈夫なのか。すると、覚悟を感じる力強い言葉が返ってきた。

「気合ですね(笑)。社会の一員として働くお母さんの姿を息子と娘に見せたいんです。芸能界を選んだのは10年前、青かった自分が中途半端で終わらせたなという思いがあるからです」

 夫や子どもたちの復帰への反応はどうか。

「今の子たちはYouTubeなどもあるせいか、こういう仕事に何の違和感もないようです。夫は応援してくれます。だいぶ前から働きたいと伝え、何度も話し合ってきました」

 あらためてどんな母なのか尋ねた。

「寄り添う育児を目指しています。子どもに対して、あなたのことを理解しているよ。ずっと見ているからね、という気持ちがちゃんと子どもに伝わることを大事にしています」

 妻としてはどうか。

「夫の考えを大事にしています。あまり、いろんなことを根掘り葉掘り聞かないようにもしています(笑)。あとは思いやり。思いやりを大事にしています」

 質問にすぐにきちっと明確に答える、頭脳明晰(めいせき)なしっかりタイプ。ソフトな口調に、温かく包み込むような優しさも感じる。ここで一般人として、芸能界をどんな思いで見ていたのか聞いてみた。

「ドラマで共演していたお友だちが活躍している姿を見ると、応援したい気持ちになりました。それと、子どもを通じていろんな職業のお母さまのお友だちもできたりして、いろんな職業がある中の一つが俳優という感覚になりました。私が俳優をしている時は俳優の世界しか目に入っていませんでしたが、世の中にはいろんな仕事があって、いろんな所でたくさんの方が頑張って社会が成り立っていることを日々感じ、世の中の人への感謝の気持ちがすごく増えました」

 芸能界に復帰して、どんな仕事をしたいのか。

「主婦や30代の女性の役に限らず、私を必要としてくださるなら最大限の努力をしたいと思っています。声優や子育て世代の方に発信するほか、いろんなジャンルに挑戦したいです」

 最後に主婦として母として身に付けたことを聞いた。

「たくさんあります。まずは感謝の気持ち、忍耐力、理解力…子どもたち、家族を愛する気持ちでしょうか。守るものがあるので強くなったと思います」

□林丹丹(はやし・たんたん)1989年7月10日、大阪出身。日本人の父と中国人の母を持つ。06年の「第11回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリ。第11回では審査員特別賞を忽那汐里、演技部門賞を宮崎香蓮が受賞し、武井咲がモデル部門賞とマルチメディア賞をダブル受賞した。08年にテレビ朝日系ドラマ『交渉人~THE NEGOTIATOR~』で女優デビュー。日本語、英語、中国語が話せるトライリンガル。趣味はピアノ、クラリネット。血液型A。

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