高良健吾、同年代の大東駿介&石田卓也と共演「16歳から知っていて信頼感ある」

俳優の高良健吾(36)が映画『罪と悪』(2月2日公開)に主演した。監督は助監督時代から10年以上交流があった齊藤勇起で、これがデビュー作。20年前、ある罪を共有した3人の幼なじみの姿を描くミステリー。企画から一緒に話し合い続けた作品に、高良は「僕にとっても特別な作品になった」と語った。

映画『罪と悪』で主演を務めた高良健吾【写真:矢口亨】
映画『罪と悪』で主演を務めた高良健吾【写真:矢口亨】

10年来の付き合いの助監督のデビュー作で初タッグ

 俳優の高良健吾(36)が映画『罪と悪』(2月2日公開)に主演した。監督は助監督時代から10年以上交流があった齊藤勇起で、これがデビュー作。20年前、ある罪を共有した3人の幼なじみの姿を描くミステリー。企画から一緒に話し合い続けた作品に、高良は「僕にとっても特別な作品になった」と語った。(取材・文=平辻哲也)

 本作は幼なじみの3人の少年が背負った罪と、22年後に起きた少年殺害事件が交錯していくミステリー。齊藤監督デビュー作にして、完全オリジナル脚本。高良は、少年時代に罪を背負い、現在は裏社会の仕事もする実業家の春を演じ、幼なじみ役は同年代の大東駿介(37)、石田卓也(36)が演じた。

 齊藤監督とは10年くらい前からの知り合いで、一時期は自宅も近所だった。

「齊藤さんから『こういう企画を考えています』と打ち明けられて、近くの公園やカフェで話し合いながら、作品が出来上がっていくのを見ていました。『いつか一緒に』という話はいろんな場面であるのですが、形になることは初めてで、感慨深いものがありました」

 齊藤監督には元々、絶大な信頼感があった。

「スーパー助監督だったんです。齊藤さんがいると、現場が回る。齊藤さんの言うことは何でも聞きたいと思ってしまう。初監督の現場でも、決断には潔さがあって、出来上がった作品にもスケールの大きさを感じました」

 そんな面白さも感じながら、同時に難しさも感じた。それを救ってくれたのは、幼なじみ役を演じた同年代の大東、石田の2人だった。現場に入る前には監督を交えて、4、5時間じっくり話し合う時間もあった。

「だからといって、何かが固まるわけではないです。現場に入って変化していく部分もありました。多分、大東くんも石田くんもそうだったと思います。2人とは16歳のときからオーディションなどでずっと一緒で、誰かが受かって、誰かが落ちることも経験してきました。めちゃくちゃ仲良いわけじゃないけれども、信頼関係はあって、互いに出ている作品にも気にかけていた。自分の中でも特別だったんです」

春を演じるうえでの心境を告白「覚悟の持ち方が半端ない」【写真:矢口亨】
春を演じるうえでの心境を告白「覚悟の持ち方が半端ない」【写真:矢口亨】

 主人公・春は、覚悟を決めた男だという。

「演じるときは、表情を決めないのですが、小者に見えないようにしようとは思っていました。春は相手に一つ一つ反応するような男ではない。ただ、怖い表情を見せるのも違うと思いました。僕自身が、春を怖いなと思った瞬間は、仲間に人を殺させている時に、春自身はコンビニのレジに立って、お客さんを相手にレジ打ちをしている場面。春は、覚悟の持ち方が半端ない。そこが魅力だし、かっこよさだと思っています」

 本作は、善とは何か、悪とは何かを問いかける社会派ミステリーだ。

「この町に住む大人たちは、過去にあったことを『なかったこと』にする人で、この町は罪人だらけだと思うのです。ただ、これは、日本の縮図だとも思っています」

 ロケは監督の地元でもある福井県で行った。

「映画の中では、場所は特定していないと思いましたが、福井は最高でした。撮影期間の3週間、1度も東京に帰らず、過ごしました。僕の部下を演じてくれた人たちの多くも、福井の人たちなんです。気合が入っていて、本物かと見紛うほどなんですが、そのおかげで助けられた部分もありました」と振り返った。能登半島地震の際には、福井の関係者とも連絡を取り、無事を確認。親交は映画クランクアップ後も続いている。

□高良健吾(こうら・けんご)1987年11月12日、熊本県出身。2006年『ハリヨの夏』で銀幕デビュー。11年映画『軽蔑』で第35回日本アカデミー賞新人俳優賞、12年映画『苦役列車』で第36回日本アカデミー賞優秀助演男優賞、13年『横道世之介』で第56回ブルーリボン賞主演男優賞・第23回日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞を受賞。待機作に『レイニーブルー』(24)、Netflixシリーズ『忍びの家』(2月15日配信)など。

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