THE RAMPAGE・武知海青のプロレスデビューで話題、DDT大社長が明かす“出会い”と芸能人のスカウト

「文科系プロレス」DDTを四半世紀以上に渡りけん引し、「社長レスラー」としては20年のキャリアを誇る高木三四郎大社長(株式会社CyberFight代表取締役社長)。高木といえば、多くの芸能人をスカウトしてプロレスのリングに招いている。今大きな話題になっているのが、バリバリの現役ダンサーでもある武知海青(THE RAMPAGE)のプロレスデビュー。高木に、芸能人をプロレスへスカウトする際のポイントを聴いた。

高木三四郎といえば「ファイヤーポーズ」【写真:橋場了吾】
高木三四郎といえば「ファイヤーポーズ」【写真:橋場了吾】

プロレス適性があるのはリング度胸があることが一番

「文科系プロレス」DDTを四半世紀以上に渡りけん引し、「社長レスラー」としては20年のキャリアを誇る高木三四郎大社長(株式会社CyberFight代表取締役社長)。高木といえば、多くの芸能人をスカウトしてプロレスのリングに招いている。今大きな話題になっているのが、バリバリの現役ダンサーでもある武知海青(THE RAMPAGE)のプロレスデビュー。高木に、芸能人をプロレスへスカウトする際のポイントを聴いた。(取材・文=橋場了吾)

 高木が武知に初めて会ったのは、ドラマ『覆面D』(2022年11~12月にABEMAにて放映)の撮影現場だった。関口メンディー(GENERATIONS、EXILE)演じる大地大輔の敵役・ハオウを演じていたのが武知だ。DDTはこの番組に全面協力し、高木始め多くのレスラーが出演している。

「初めてお会いしたときに、めちゃくちゃイケメンだなと。そして身体がすごかったんですよ。こんなごつい人がLDHさんにいるんだと思って。プロレスのコーチをしていた選手も『彼(武知)、すぐデビューできますよ』と言うわけですよ。そして藤田社長(藤田晋/株式会社サイバーエージェント代表取締役社長)が撮影を見に来られたときに『武知さんみたいな方がプロレス界にいたら、スターになれますよね』と言った一言が頭に残っていて。撮影中も『デビューしましょうよ』と声をかけていて、最初は『え?』という感じだったんですが、撮影の終わりに『またリングでお会いしましょう!』と社交辞令的にあいさつしたところ、武知さんは真顔で『はい!』と答えてくれたんですよね。これはチャンスがあるぞ、と」

 1.28後楽園ホール大会で、武知のデビュー戦のカード(武知海青&上野勇希&勝俣瞬馬vs遠藤哲哉&岡谷英樹&正田壮史)が発表された。デビュー戦のゴングは、2.25後楽園ホール大会に鳴る。

「(2.25後楽園大会は)増席しました。結局、プロレスのマーケットの話になるんですが、THE RAMPAGEの『X』のフォロワーが約78万人いて、この規模にはどの団体も達していないんですよ。マーケットを広げるためには、より多くの人にリーチして、武知さんのような方にプロレスをしてもらうのは本当に大事なことだと思います」

 過去にはモデル・タレントだった赤井沙希を立派なプロレスラーとして成長させた高木。そしてSKE48の荒井優希は、今や東京女子プロレスでシングルのチャンピオンにまでなった。TikTokerだった長野じゅりあも、まもなく卒業するものの、東京女子でタッグ王座に挑戦するまでに成長。タレント・映画評論家のLiLiCoも、DDTですさまじい引退試合を行っている。

「スカウトのポイント……直感です。僕は『プロレスはキャラクタービジネス』だと思うので、まず荒井さんはリングに立ったとき(デビュー前にアイアンマンヘビーメタル級のベルトを戴冠している)の佇まいが抜群に良かったですよね。こういう子が戦ったら面白いだろうなという。長野さんはTikTokで看護師や空手の映像を見て、こんな綺麗な子が空手やっていてすごい再生回数だなと思って調べてみたら、後輩が代表を務めている事務所に所属していて……「じゃあ、よろしく」みたいな(笑)。長野さんは即答でOKでしたね」

 前述した選手は皆、タイトルホルダーなりタイトル挑戦までたどり着いている。

「芸能界にはプロレス向きの方がゴロゴロいるんだなと思います。もちろん、芸能界以外にも適性のある方はいるんですけど、芸能界でプロレス適性の高い方に出会う確率が高いですよね。あとは、僕は”引き”が強いです。飯伏幸太も正田壮史のように、プロレスの練習をする前から映像を見て頭でイメージするだけで、その通り体が動く人間がいるんですよ。ダンスの振り付けをすぐ覚えられる人は、適性があると思います。見たままをトレースして、自分の身体で表現できる……プラスして日々の基礎練習をして強さを身につけていって、最後はリング度胸ですね。即戦力的な適性は、これが一番大きいかもです。100できることがあるとすると、リング上では緊張して40くらいしか出せない人が大半です。荒井さんも武知さんも、大観衆に見慣れられているんですよ。荒井さんなんか、さいたまスーパーアリーナも東京ドームも緊張していないか声をかけると『私、何度か経験しているんで……』みたいな感じでした(笑)」

武知海青デビュー会見には上野勇希とともに出席【写真:橋場了吾】
武知海青デビュー会見には上野勇希とともに出席【写真:橋場了吾】

2024年のプロレス界はさらに世代交代が進む

 今年創立27年目を迎えたDDTでは、赤井沙希、坂口征夫といったここ10年のDDTを支えてきたレスラーが相次いで引退。高木も7月以降無期限欠場に入るなど、マット上の風景がどんどん変化してきている。業界全体ではオカダ・カズチカの新日本プロレス退団も、世界中で大きな話題となっている。

「DDTは、(プロレスとは)違うところからファンを引っ張ってくる、ですね。ここはぶれずにやっていきたいです。あと、プロレス業界全体的に、世代はさらに変わると思います。世界初のインターンレスラーである鈴木翼(学生プロレスにおけるリングネームはマザコン・キッド)が21歳で、そういう有望な若手がどんどん出てきますし。その一方で、ベテラン選手の経験値はとても大事で、若い選手は勢いはありますけどお客さんを沸かせるポイントはベテラン選手にはかなわないですよね」

 DDTでいうとKONOSUKE TAKESHITA(竹下幸之介/28歳)がDDTとAEWの二団体所属レスラーとして、太平洋を行き来して活躍している。スティングやリック・フレアーといった超レジェンドとの接触もあり、最も注目されているレスラーの一人といえるだろう。

「プロレスにおいては、30~40代で火が付く選手はまれで、やはり20代で何かしらの実績を残すんですよ、スターになる選手は。TAKESHITAはクリス・ジェリコ戦(2023.11.12両国国技館)もすごかったですし、本当に頼もしいですよね。彼の今の本腰はアメリカだと思うので、ぶれずに成功してほしいなと思います。海外は会場の規模感が全然違いますし、TAKESHITAと飯伏幸太はウェンブリースタジアム(AEWがイギリス・ロンドンで2023.8.27に大会を開催)で8万人の観衆を経験しているわけで。そういう経験値を得られることを考えると、海外を目指すというのは大きいと思いますね」

 最後に、今DDTに上げたい選手はいますか?と問うと……。

「今欠場していますけど、やっぱりケニー(・オメガ)をもう一度DDTで見たいですよね。ケニーは……会いたいなあ。チャンスがあれば、いいなと思います」

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