堀ちえみ、『スチュワーデス物語』から学んだ教訓 JAL機事故で往年ドラマ注目

日本航空(JAL)の客室乗務員(CA)の訓練生を描いた1983年のドラマ『スチュワーデス物語』(TBS系)が再び注目を集めている。2日に羽田空港で発生したJAL機と海上保安庁機の衝突事故で、JAL機の乗客367人が全員生還したことを受け、CAの活躍ぶりがクローズアップされたためだ。ドラマで描かれた教訓を思い出す視聴者は多く、40年たってもドラマの影響力を示す形に。主演を務めた歌手でタレントの堀ちえみに当時を振り返ってもらい、現在の心境を聞いた。

取材に応じた堀ちえみ【写真:ENCOUNT編集部】
取材に応じた堀ちえみ【写真:ENCOUNT編集部】

視聴者の記憶に残る訓練シーン

 日本航空(JAL)の客室乗務員(CA)の訓練生を描いた1983年のドラマ『スチュワーデス物語』(TBS系)が再び注目を集めている。2日に羽田空港で発生したJAL機と海上保安庁機の衝突事故で、JAL機の乗客367人が全員生還したことを受け、CAの活躍ぶりがクローズアップされたためだ。ドラマで描かれた教訓を思い出す視聴者は多く、40年たってもドラマの影響力を示す形に。主演を務めた歌手でタレントの堀ちえみに当時を振り返ってもらい、現在の心境を聞いた。

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 昨年デビュー40周年ライブを終えた堀。公開中の映画『巡る、カカオ ~神のフルーツに魅せられた日本人~』では2019年の口腔がん手術からのリハビリの末、初のナレーションを務めるなど精力的に活動している。今年の目標については、「ナレーションのお話をいただいたときには、家族の反響がすごかったです。私がこういう部位のがんになって、言葉が不自由になったので、非常に喜んでもらえました。表現者として誰かの心に染みる何かを伝えていけたらいいなと思っています」と、心機一転の様子だ。

 そんな堀にとって、衝撃が大きかったのが羽田の事故だ。暗闇の中、燃え盛る機体の映像を見て、他人事ではいられない気持ちになった。

「亡くなった方もいらっしゃったので非常に胸は痛みます。一方で、乗客の皆さんは全員ご無事だった。JALの避難訓練は本当にすごいものなんですね。私もドラマのときに実際に習いました。短時間でいかにして乗客を安全に脱出させるか、混乱なく脱出させるかというのが今回、本当に見事にできていたと思うので、機長さんを始めCAさんたちの功績は素晴らしいなと思います」

 海外でも“奇跡”と報じられたJAL機の全員脱出。それは堀が40年前、『スチュワーデス物語』の撮影で学んだことに通じるものがあった。

 ドラマで堀が演じたのは主人公のCA訓練生・松本千秋。教官役の村沢浩(風間杜夫)から「お前はスチュワーデスには向いていない」と罵倒されるほどの劣等生だった。ところが、村沢の言葉に奮起すると、救難訓練で荷物を持って出ようとした搭乗客役を平手打ち。「自分の荷物と命とどっちが大事なんですか」と言い放つシーンは鮮烈な印象を残した。

 平均視聴率は約20%を記録し、社会現象に。ドラマからCAを目指した若者も相次ぎ、劇中で堀が連呼した「教官!」のセリフは1984年の新語・流行語大賞で「大衆賞」を受賞した。

 40年前とはいえ、当時のインパクトは強く、今回の事故を受けて改めてドラマを思い浮かべた人は多かった。

 ネット上には「堀ちえみがスチュワーデス物語で脱出シューターの訓練してたの思い出した」「スチュワーデス物語の堀ちえみが大袈裟なことじゃないのだと知った」「子どもの頃に見たこのドラマが強すぎてある程度の年齢の日本人はみんな脳内で緊急避難時の心得できてる」「CA役の堀ちえみがビンタして荷物取り上げたシーンめちゃめちゃ覚えてる」といった反応が噴出。

 また、「緊迫したシーンが頭に残ってたから、大人になって飛行機に乗る時はヒール履かないようにしてたし、貴重品はすぐポケットに入れれるようにしてた」という声もあった。

 堀はこれらに驚きつつも、ドラマがもたらす社会的役割を前向きに受け止めた。「本当の訓練に添って、本物の教官が出演されていたり、教官のご指導のもと作られたドラマでした。避難訓練のシーンも『お客はどういう心構えで飛行機に乗ればいいのか』ということも理解をしていただけたらと当時から思っていましたし、CAはただお茶をついだり、飲み物をお出したりという仕事ではなくて、乗客の方々の安全を守る職業だということを改めて認識していただけたらいいのかなと思っています」と話した。

 スロープを使った脱出場面では、「とがったもの、万年筆、時計を取って。靴も脱いでください」のセリフもあった。教官の教えは厳しく、一つ一つが当時の実際の訓練に基づき、画面からは緊張感が漂っていた。

 撮影後、堀はプライベートでも飛行機に搭乗する際は、ドラマを教訓にしてきたという。

「なるべくパンツをはくとか、動きやすい格好で乗るとか、あと何かあったときには自分自身も何か役に立てるように動こうとか、そういうふうに心がけています」

 いつ起こるか分からない大事故に、備えることの大切さも訴えていた。

「起きてはならないことですけど、起こりうることなので、緊急時の知識として持っている。飛行機に乗ったら、空の旅を安全という面から考えて、万が一のときにどういうふうに自分が行動すればいいのか、頭のどこかに残したまま旅に出かける、ということも必要なのではないかなとは思います」と続けた。

「今年はスローペースでやっていきたい」【撮影:キシノユイ】
「今年はスローペースでやっていきたい」【撮影:キシノユイ】

能登半島地震に心痛める

 また、堀は「今年になってからほんのわずかで、社会は大変なことになっています。北陸や金沢には友達もいますし、皆さん大丈夫でしたけど、これからがメンタルも含めて大変だと思うので支えていけたらいいなと思いますし、寄り添っていきたい」と話し、芸能活動を通じて能登半島地震を支援していく考えも表明。

 4月20日には東京・日本橋三井ホールで今年初ライブも決まり、「昨年はかなり飛ばしていろんなことをやったので、そういう意味では今年はスローペースでやっていきたい。コンサート、ライブにしてもガンガンいくのではなく、皆さんと一緒に何かできるようなコンセプトでやっていけたら」と意気込んだ。

次のページへ (2/2) 【動画】自身初のディナーショーを歌と衣装で盛り上げた堀ちえみの実際の様子
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