懐かしさ満点 愛車マークIIは“動くキャバレー” 昭和世代歓喜 「気持ちが若返る」「渋い」の声

ドライバーにとって愛車を自分色に染め上げるのは、楽しみの一つだ。埼玉県のゆかさんはトヨタの1990年式マークII(GX81)を“平成初期風”にアレンジした。室内は白で統一。シャンデリアを吊るしたり、と随所にこだわりを見せている。平成生まれのオーナーがなぜ、時代をさかのぼったのか。詳しい話を聞いた。

1990年式マークIIに乗るゆかさん【写真:ENCOUNT編集部】
1990年式マークIIに乗るゆかさん【写真:ENCOUNT編集部】

カスタムは「100点以上」 父親の影響も

 ドライバーにとって愛車を自分色に染め上げるのは、楽しみの一つだ。埼玉県のゆかさんはトヨタの1990年式マークII(GX81)を“平成初期風”にアレンジした。室内は白で統一。シャンデリアを吊るしたり、と随所にこだわりを見せている。平成生まれのオーナーがなぜ、時代をさかのぼったのか。詳しい話を聞いた。

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 もともとドイツ車好きだったゆかさんは、フォルクスワーゲンのビートルを乗り継いできた。

 ドリフトに興味を持ち、マニュアル車に乗りたいという思いにかられ、昨年2月、ネットで購入したのが、この車だった。

「最初はマニュアルの車のスポーツカーが欲しいと思ったんですけど、ちょっと探しているうちにこれが出てきて。1GGEツインカムで、5速、そしてまさかの同い年ということで気づいたらポチっていました」

 車好きで、イベントには10年以上前から参加。マークIIやクレスタに乗る仲間の姿を目撃してきた。

 とはいえ、このタイミングでこの車種の購入には驚きの声が上がる。

 夫は「ほんま、珍しいですよね。よくぞこれをチョイスしたなって。ワンジー(エンジンの型式のこと)乗るんかいみたいな。びっくりしましたね」。

 教習所でマニュアル免許を取ったが、「ほぼ同時というか、車が先に来ちゃった。しかも、車より先にホイール買ってましたね(笑)」と、気持ちはすでに運転席にあった。

 購入したときはフルノーマルだった車を次々とカスタマイズ。排気系のマニホールドやマフラー、ホイール、ハンドルにシフトノブ…。車高調も入れた。

 そして特徴的なのが内装だ。

「生まれた世代の平成初期をイメージしています」

 ボディーと同じ白で統一。純正のシートカバー、カーテンをつけ、シャンデリアを吊るした。金華山のダッシュマット。かつてのキャバレーのような雰囲気を出した。「プリクラを貼りまくっていたり、ファーをつけたり」と、バブル期からその後の時代のすう勢を再現している。

「今の50歳くらいの人が、懐かしいなって感じるような雰囲気をイメージして作っています。うちのお父さんがちょうどそれくらいの年代。430のグロリアとか乗っていたんです。ちょっと昭和になっちゃうんですけど、シャコタン☆ブギとかの世代。そういう影響も少しあって、いいなと思って。これを買ってから結構旧車に興味が出てきて、いろいろ調べるようになりました」

「ヤングレディ」のステッカー【写真:ENCOUNT編集部】
「ヤングレディ」のステッカー【写真:ENCOUNT編集部】

50代のドライバーから大反響 「渋い」の声に喜び

 ほかにも、ダミーのパーソナルアンテナ、「ヤングレディ」のステッカーなど細部まで追求。昨年11月には、“車女子の祭典”ガールズカーコレクションに初エントリーし、異色の存在感を放った。

 乗り心地も満足している。ヤマハ開発のエンジンが心地よい音を奏でる。「硬いバネが入っていて、乗るとぴよんぴょんします。それがちょっと昔っぽくて、かっこいいなと思っています」

 カスタムはまだ未完成というが、「個体自体がかなりレア。もう100点以上ですね」と、愛車にぞっこんだ。

 当時を知る世代からも、好反応が届いている。

「50代くらいの世代から『気持ちが若返るね』と言われたときは、いい影響を与えているのかなってうれしかったです。『懐かしい』とか『渋い』と言ってもらえるのがうれしいです」。車イベントやオフ会でも注目を集め、オーナー同士の横のつながりも広がった。“先輩ドライバー”から、カスタムの助言をもらうこともある。

 一方、当初のドリフト走行という目的はまだ果たせていない。

「ドリフトやるのはもったいなくてできない」と、サーキットデビューはお預けになっている。

 とはいえ、今年は、その夢を少しずつ、かなえていくことを決意している。「目標は車の細かいところをきれいにしたいのもあるんですけど、もうちょっと運転上手くなって、ドリフトまでいかなくてもサーキットを回れるくらいまでできたらなと思っています」とほほ笑んだ。

後部にはイベント向けにパーソナルアンテナをつけている【写真:ENCOUNT編集部】
後部にはイベント向けにパーソナルアンテナをつけている【写真:ENCOUNT編集部】

“同級生”は人生の相棒 免許返納まで走り抜く

 もう1台の愛車ビートルとは、あらゆる方向性が違う。

「大事に乗ろうと思っています。やっぱり同級生というのがすごく気に入っているので。もう友達みたいな感じですね。今後の人生をこの81とともに歩んでいけたら。周りの友達も一生乗ったほうがいいよって言ってくれているので、免許返納するくらいまでは持っておきたい」

 自動車業界は電気自動車の普及で、今年も転換期の流れとなりそうだ。

 古きよき国産車を乗り続けるドライバーは減少傾向にあるが、「あんまり電気は興味なくて…。どちらかと言うと、ガソリン燃やす系の車のほうが好き。エンジンもすごいいい。やっぱガソリンだろうっていう感じです」と、ゆかさんは結んだ。

次のページへ (2/2) 【写真】平成初期をイメージした内装
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