Sexy Zone、東京ドームで改名前最後のライブ 菊池風磨「誇りを持ってここに立つことができている」

Sexy Zoneが、自身2度目となるドームツアー「SEXY ZONE LIVE TOUR 2023 ChapterII in DOME」の東京ドーム公演を25日に開催。この日は5万5000人を動員し、ファンとともに熱いクリスマスの夜を過ごした。

「SEXY ZONE LIVE TOUR 2023 ChapterII in DOME」で『麒麟の子』を披露するSexy Zone
「SEXY ZONE LIVE TOUR 2023 ChapterII in DOME」で『麒麟の子』を披露するSexy Zone

4人のソロ曲も披露

 Sexy Zoneが、自身2度目となるドームツアー「SEXY ZONE LIVE TOUR 2023 ChapterII in DOME」の東京ドーム公演を25日に開催。この日は5万5000人を動員し、ファンとともに熱いクリスマスの夜を過ごした。(取材・文=水谷賀奈子)

 昨年、初のドーム公演(東京、大阪 全4公演)を成功させたSexy Zoneが、今年は初の3大ドーム公演(東京、大阪、福岡 全7公演)を行った。彼らがメンバー全員で何度も話し合い、“Sexy Zone 第二章”という意味も込めたアルバム『Chapter II』(6月7日発売)を軸におきつつ、グループの歴史とドームならではの演出が楽しめるライブを作りあげた。一方で、10月にはグループ名を改名することを発表しており、“Sexy Zone”としては最後のライブとなり、メンバーにとってもファンにとっても感慨深いツアーとなった。

 会場にはメインと、アリーナの中央・後方(=以下、センターステージ・バックステージ)に1つずつ、全部で3つのステージを設置。それらの3つのステージを一直線でつなげる縦の花道、アリーナ外周を一周する花道、センターステージと外周をつなげる横の花道が存在し、上から見ると漢字の「田」のような構成だ。さらに、外周の花道とバックステージの横には地上18メートルまで上がるスーパークレーンを、花道とセンターステージにはLEDライトを設置することで、各ステージから離れているからこそ楽しめる演出・構成が詰め込まれており、ファンへの愛が感じられた。また、往年の音楽番組で使用されていた楽曲紹介のフラップ式パネルを現代風にアレンジした“セクシーフラップ”をメインステージの上部に配置。公演を通してすべての楽曲タイトルが表示される演出だ。

 そして、メインステージには、アリーナツアー「SEXY ZONE LIVE TOUR 2023 ChapterII」で使用した、アルバムのアートワークコンセプトである“音楽のある夜の街に繰り出すSexy Zone”から夜の東京の街をイメージしたセットを踏襲(とうしゅう)。随所に散りばめられたメンバーの名前が含まれた看板や東京タワーなどのセット、スクリーンに映し出された渋谷を思わせる建物とスクランブル交差点の映像に加え、昭和・平成の歌謡曲が会場内に流れており、開演前からコンセプトに浸ることができる。

 開演の10分前になると、チラホラとツアーグッズのペンライトが灯り始めた。3分前に会場内の照明が少し暗くなり、1分前にはステージ裏でSexy Zoneのメンバーとダンサーらが「おー!」と円陣を組む声が聞こえ、観客たちも手作りのうちわやペンライトを手に立ち上がった。

 開演定刻を迎えると、真っ暗になった会場のスクリーンにオープニング映像が流れた。メンバーの佐藤勝利はゲームセンターでUFOキャッチャーやバッティングセンターで遊んでいるところを、松島聡は夜の人少ない渋谷を堪能しているところを、菊池風磨は花魁に囲まれているところを、中島健人は賭け事を楽しんでいるところを誰かに見つかり追われるようなシーンから始まる。それぞれの場所からとあるビルの屋上へたどり着くと、4人が横に並び、朝焼けを眺めながらの乾杯がライブスタートの合図となった。

 センターステージの下からゆっくりと主役の4人が姿を現すと「待ってました」と言わんばかりの歓声が。菊池主演の日本テレビ系ドラマ『ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~』の主題歌で、彼らの最新曲となる『人生遊戯』がライブのオープニングを飾った。4人はアリーナ公演でも使用していた白と黒のブロックチェック柄と明るい黄色がだいたんに入った衣装を着用。また、この日佐藤は赤みの強い茶髪パーマ、松島はオレンジ色のストレート髪にカラーサングラス、中島は明るい茶色のサラツヤストレート、菊池は黒髪のツーブロックというビジュアルだ。菊池が担当するRAPとスピード感のある楽曲を歌いながら花道を歩いてはファンと距離を縮め、1曲目とは思えないほどの盛り上がりを見せた。

 2曲目となる『Try This One More Time』ではよりカラフルな照明演出の中でスーパークレーンに乗り込み、スタンド席のファンと同じ高さまでせり上がる。間奏で中島が「メリークリスマス! 聖なる夜に一緒に過ごせてうれしいです。今日は後悔のない時間を過ごさせます、よろしく」と呼びかけた。菊池も「声出てる? 騒いでる? “Sexy Zone”って叫べるのこれが最後なんだぞ! 叫べ!」。そして、松島が「メリークリスマス! 僕たちに会いたかったですか? 僕もみんなに会いたかったよ」と、佐藤が「ヘイ、東京ドーム! 最終確認です、盛り上がっていけるか? 盛り上がれるか? 最後まで一緒に盛り上がっていこうぜ!」とファンを煽った。歌いながら4人がバックステージに集まり、ポジションにつくと『麒麟の子』のイントロが。イントロの手首を動かす特徴的な振り付けに合わせて、白の照明も小刻みに上下左右に動き、ダンスと照明演出とのシンクロが楽しめる一曲に。続く『Freak Your Body』では、EDM曲をいっそう盛り上げるカラフルな照明が会場内を旋回し、LEDライトが設置されて鮮やかな光を放つ花道にはダンサーも登場した。曲中はメインステージに向けて外周を歩きながらも、松島がカメラ目線で「抱いてやるから声出せよ」と歌詞をアレンジして煽ると、ファンからは今までにない“悲鳴”が。そして、メインステージでの『BUMP』はイントロから重低音に合わせてファイヤー特攻が、『RIGHT NEXT TO YOU』はレーザー照明が加わり、オープニングから勢いが止まらない。一方で、Sexy Zoneのダンス曲としてファンから人気がある一曲ということもあり、明るすぎない照明のなかでバックダンサーらとともに踊る“ライネク”は、彼らの影の動きも楽しめて、ダンスで魅せるパフォーマンスとなった。

 4人がステージから捌けると、お笑い芸人・ガンバレルーヤの2人とシソンヌの長谷川忍が登場する映像がスクリーンで流れた。キャバクラで働く3人のもとにSexy Zoneの4人が現れ、「かくまってください!」とお願いをする。断られながらもなんとかボーイとして働くことになった4人……。

 実際に白シャツに黒ベスト、黒の蝶ネクタイというボーイの衣装に身を包んだSexy Zoneが再びメインステージに登場した。ステージ中央にはシャンパンタワーが積み上げられており、ブロンドヘアとピンクのワンピースを着用したダンサーたちの手を取りながら『君にHITOMEBORE』を歌唱。間奏では、4人がタワーにシャンパンを注いで見せた。そして、『スキすぎて』では最新曲『人生遊戯』の予約特典映像として突如公開したメンバーイチ推しスペシャルアレンジバージョンで、ステージはホストクラブのような空間に。「スキスキスッキー スキスキスッキー スキすぎる」というクセになるコールに続けて、松島が「キスしてもいいかな」、中島が「早く俺のものになれよ」、菊池が「俺にチューせよ」、佐藤が「大好きだよ、お姫さま」とアレンジセリフを発し、“異空間”のなかでもファンの心を一瞬で奪っていた。シャンパンを飲み干すコールをしながらも、曲の終わりには中島が「シャンパンではなく水です。ナイスセクシー」と説明する一言を添え、笑いを誘った。

 そして、今回のツアーでは、4人のソロ曲も披露。菊池は黒のタンクトップと黒のダメージボトムスにゴールドのアクセサリーを身にまとい登場。バックダンサーを引き連れ、ファイヤー特攻や紫・緑・ピンクといった照明の中で「全てこの手に」という歌詞に合わせて見せた“したり顔”で一気に『My World』へと引き込んだ。続く中島は、ネイビーの光沢のあるスーツ姿で赤い手袋を装着した右手にはワイングラスが。キングチェアに腰掛けた状態で登場すると、歌い終えてステージを捌ける前の菊池と「カンッ」とグラスを合わせ、ダンサーらとともに『Rosso』を歌い踊った。途中、口で手袋を外す仕草や口紅を塗った唇を指でなぞる仕草を見せ、大人の色気でファンを魅了した。

 一方で佐藤のソロ曲『雨に唄えば』では、ウサギ・ペンギン・ゾウなど9頭の着ぐるみが登場。その中のライオンが頭をとると、まさかの佐藤が登場。その場で着ぐるみを脱ぎ、ベージュを基調としたチェックのセットアップに早着替えすると、スタンドマイクを前に歌い上げた。松島は、事前にファンに「ペンライトを消して見てほしい」とお願いをしており、真っ暗の中スモークと白い照明に包まれてバックステージに姿を現した。赤のチェックシャツにデニムというシンプルな衣装だが、曲名『Turbulence』は『乱気流』を意味し、スモークと照明という演出を利用して乱気流を作り上げたのだ。

 また、途中で4人は赤と黒を基調とした衣装で登場。よく見ると、この衣装には数字のデザインが入っている。菊池の衣装には「1995」という自分の生まれた年が、中島の衣装には「0929」とSexy Zoneの結成日が、松島の衣装には自分の生まれた年の「1997」とグループ結成日「20110929」が。それぞれ衣装のデザインは異なっているが、自身やグループそのものを衣装でも表現してみせた。

衣装には“意味のある”数字が書かれている
衣装には“意味のある”数字が書かれている

AIカラオケ採点チャレンジ企画も行われた

 MCでは25日ということもあり、サンタ帽のカチューシャやトナカイの被り物などクリスマスグッズを身に着けて進行。身につけるグッズを選ぶ順番を“セクシーじゃんけん”で決めるだけで、MCタイムの半分を使用してしまうのも全てに全力な彼ららしさだ。そして、松島からの「今日来られなかった人のために」という提案で、公式インスタグラムに投稿する用の動画と写真をステージ上で撮影。また、今回のツアーでは第一興商が全面サポートのもと、AIカラオケ採点チャレンジ企画も行われた。ロックバンド・BIGMAMAの金井政人が作詞を担当した『せめて夢の中でだけは君を抱きしめて眠りたい』という曲で、4人一緒にカラオケに挑戦。スクリーンに映し出された映像も街中のカラオケBOXで流れるものと同じで、ファンに背を向けてまでも夢中に歌う彼らの姿が、この企画への本気度を表していた。しかし、この日の点数は「91.885点」となり、過去最高の「92.919点」を越えられず。「え、なんで?」「なにがだめ?」と4人は納得のいかない様子だったが「みんながもっと俺たちとカラオケしたいってことか~」とポジティブに変換した。

 笑いの絶えないMCタイムが終わり、ライブの後半に入ったところで、アルバム『Chapter II』のリード曲『Purple Rain』を披露。全身ゴールドのラメ衣装姿の4人がレッドカーペット(花道のLED照明で表現)の上を歩くという演出で、センターステージからバックステージへ。ポジションに付くと紫のセットアップを着用したバックダンサーも登場し、曲のイントロが流れた。この曲は、スタートからダンサーらが佐藤を持ち上げる場面やフォーメーションを活かしたダイナミックさが魅力の一つであり、ダンサーが欠かせない存在になっている。紫・青・オレンジ・ピンクといった、ミュージックビデオをも彷彿とさせる照明の中、ダンサーたちとの息の合ったパフォーマンスで後半への勢いをつけた。

 そして、“SZメドレー”と題し、「みんなで歌うとより盛り上がる」約10曲をリミックスバージョンでたたみかける。そのなかには、7月15日にオンラインで開催されたファンミーティング内での企画『せく詞~ミュージック造~ン』でできあがった曲『ワィ ワィ Haワィ』も初披露。アロハポーズを取り入れた振り付けやハイビスカスとウクレレのイラスト、さらには「aloha」という文字を東京ドームの天井に映し、黄色・オレンジ・黄緑の照明でトロピカルな空間へとファンをいざなった。また、菊池が「これが最後の“Sexy Zone”だぞ!」と声をあげ、「セクシー!」「ゾーン!」「セクシーセクシーセクシー」「ゾーン!」とお決まりのコール&レスポンスで会場を一つにした。

 そんな“SZメドレー”の前後を『Forever Gold』がはさむセットリストとなっており、メドレー後にはメインステージで4人が肩を組み、微笑み合いながら歌唱。続けて、彼らのデビュー曲『Sexy Zone』を歌い始めると、スクリーンには『Sexy Zone』を披露する彼らの過去の映像が流れ、エモーショナルな演出となった。

 本編最後の曲は、22年末にグループを卒業したマリウス葉さんを含むメンバー5人でのラストライブのために、5人が制作した楽曲『timeless』。会場のペンライトは、自然とマリウスさんのメンバーカラーのオレンジ一色に染まり、会場にいる全員の思いが一つになった瞬間だ。マリウスさんのパートは本人の音声がそのままで、彼が歌う映像をもスクリーンに流れ、思わず涙ぐむファンも見られた。メンバーも歌詞をかみしめながら、思いをこめて歌い上げ、静かにステージを去った。

 本編終了後のエンドロールの映像は、4人にマリウスさんを加えた5人がゲームのキャラクターになり、これまでのすべてのライブのステージセットの前を歩いていくというものだった。22年の東京ドーム公演のステージセットにたどりつくと、マリウスさんは手を振ってその場に立ち止まり、4人はさらに前へと歩みを進めた。こうして、今東京ドームでの公演を無事に終えたのだった。

 しかし、これで公演が終わることはなく、ファンからは「Sexy Zone」とアンコールを求めるコールが止まらない。そのコールに応えるべく、4人は今回のツアーパーカー姿で2台のフロートに乗って上手(菊池・佐藤)と下手(中島・松島)から再登場。フロートは、今回のツアータイトルやツアーグッズの象徴にもなっている瓶が描かれたトラック型で、ナンバーも【せ・しぶや929 11-16】とSexy Zoneの結成日とデビュー日が記載されており、細部にまでこだわっている。4人の手元にはサインボールがあり、『Sexy summerに雪が降る』を歌いながら、ファンへの“クリスマスプレゼント”を配った。そして、フロートでメインステージへと戻ると、中央に集まった4人。顔を見合わせ、最後の曲『RUN』をパフォーマンスした。当時新たに設立されたレーベル「Top J Records」からの第1弾作品となるシングルであり、18年11月から約1年9か月活動休止していた松島が復帰した際に最初にメンバー5人そろって披露した曲として、彼らにとっても特別な一曲だ。サビに差し掛かると「止まらないで 止まらないでよ 僕らはまだ始まったばかりさ」と歌いながら、バックステージまで4人で走っていく。力強く歌い上げて「ありがとう!」「楽しかったよー!」と感謝を伝えながらもメインステージへと戻ると、中島が「今宵最上級の声出せますか? 俺らの“Sexy Zone”という名前、叫べますか?」とファンへ投げかけた。毎度ライブの最後お決まりの「We are~?」「Sexy Zone~!」のやりとりで、ライブは幕を閉じた。

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