タワマンに押しかけてきた近隣在住クレーマー 「責任取れ」への適切な対処法とは?

「大クレーム時代」とも呼ばれる現代。さまざまな業界においてクレーマーへの対応が優先課題となっている。これは企業だけにとどまらない。今回はとあるタワーマンションでの一風変わったクレーマーを紹介しよう。

タワーマンション(写真はイメージ)【写真:写真AC】
タワーマンション(写真はイメージ)【写真:写真AC】

押しかけた近隣住民がクレーム「マンションに携帯電話のアンテナをつけろ」

「大クレーム時代」とも呼ばれる現代。さまざまな業界においてクレーマーへの対応が優先課題となっている。これは企業だけにとどまらない。今回はとあるタワーマンションでの一風変わったクレーマーを紹介しよう。

軽トラからセンチュリー、バイクにバギー…大御所タレントの仰天愛車遍歴(JAF Mate Onlineへ)

「数年前の出来事になるのですが……5月の中旬ごろ、私が住んでいるマンションの総会が開かれていた際の話です」

 そのときのことを思い出すたび苦笑してしまうと明かすのは、都内某所に建つタワーマンションの中層階に住む栢原瑠南さん(仮名・39歳)。世帯年収2000万円超というパワーカップルで、20代後半で結婚してからタワマンに住むために貯蓄を開始。しっかりと資金を貯めたところで、新築分譲のタワマンを購入したという。

「管理組合の運営に興味があったのと、せっかく住むなら他の住人と仲良くなりたいと思い、初年度から理事として参加したんです。いろいろ学ぶことが多く、『そうか、マンションってこうやって守られているんだ』なんて感心することが多かったように思います」

 タワマンに入居してから1年ほどが経過したとときのこと。瑠南さんは年に1度行われる総会に出席していたが、そこに招かれざる客が乱入してきた。

「突然、会場に男女合わせて4~5人が押し掛けてきたんです。『どなたですか?』と管理会社の人が問いかけると、『マンションの近隣に住む住人だ!』と」

 総会に押しかけてきた理由を聞くと、このタワマンが建ったせいで携帯電話の電波の入りが悪くなったため、改善してほしいとのこと。その後も騒ぎ続けるため総会どころではなくなり、理事会の会長と管理会社の担当がその人たちを連れて別室へ去っていったという。

「『マンションに携帯電話のアンテナをつけろ』とか、そんなことを言っているようでしたが、とにかく全員で一斉にしゃべるので、何をどうしたいのかまるで分からなかったんですよ。しばらくたった今でも時折苦情を言いに来るようですが、これって私たちがお金を出して対処しなければならないものなのでしょうか」

因果関係がはっきりしない場合は「ヘタに動かないほうが得策」

 タワーマンションや高層ビルが近所に建ったことで、携帯電話の電波が入りづらくなった……こうした話を聞くのは、決して珍しいことではない。しかし、マンションの住人が責任を負う必要はあるのだろうか。20年以上のキャリアを持ち、不動産業界に精通する中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんに話を聞いた。

「端的に言ってしまうと、責任を取る必要はないです」

 姉帯さんはこう話すが、その理由は……。

「まず、電波が届かなくなった理由がそのタワーマンションのせいかどうか、詳細に調べてみないことには分かりません。携帯電話のアンテナが移動しているかもしれませんし、アンテナからの出力が弱くなった可能性もあります。また、近隣住人が5Gに対応していない携帯電話を使い続けているかもしれません。因果関係がはっきり分かっていない以上は、ヘタに動かないほうが得策です」

 その後も近隣住民は「責任を取れ」と訴え続けているというが、対応するだけでもストレスになるもの。根本的な解決策はないのだろうか。

「携帯電話会社が電波を改善する以外に方法はないと思います。その住人の方々が次に来ることがあったら、どのキャリアを利用しているか確認を。それから、お住まいのマンションの管理組合側から当該する携帯電話会社に働きかけ、ブースターを設置してもらうか、アンテナの位置を改善してもらうようにするといいでしょう」

□姉帯裕樹(あねたい・ひろき)「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください