内村選手は第1巻の巻末インタビューで「体操の魅力を伝えるのに、最適な舞台は漫画ではないかと僕は以前から思っていました」と語っている。その言葉通り、本作品には体操の魅力がたっぷり落とし込まれている。

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“体操の華”といわれる鉄棒では主人公の橘翔馬や飛田尊が大活躍。伸身コバチ、アンドリアノフ、伸身新月面といった高難度の技が紹介されている。複雑な技を画で表現するのは難しいが、さすがは”体操漫画の第一人者”菊田氏。内村選手のアドバイスもあり、リアルで躍動感あふれる演技シーンが描かれている。

　また、一見地味と見られがちなあん馬の演技では、同種目を得意とする潮田凪が超大技ブスナリを披露して「まるでオスプレイ!?」と会場を沸かせる。実在する選手では谷川翔選手がブスナリを得意としており、4月の全日本選手権でも華麗に決めて高得点を叩き出している。世界選手権でも披露される可能性があるので要注目だ。このようにユニークな表現で技が紹介されているほか、作品の中では基本的な体操のルールも丁寧に説明されている。体操入門書としてもオススメだ。

　開幕間近の世界選手権。残念ながら内村選手は不在となるが、本作品のように、次世代ジムナストたちの活躍に期待が集まる。本作品で体操の魅力に触れれば、実在する選手たちをもっともっと応援したくなるだろう。体操を100倍楽しめる漫画、それが「THE SHOWMAN」なのだ。

(イシイ　ヒデキ／Hideki　Ishii)