『おちょやん』弟役で注目の倉悠貴が伝説的なヤンキー役「まさか、こんな役が自分にくるとは」
俳優の倉悠貴(23)が、品川ヒロシ監督の映画『OUT』(公開中)に主演した。累計発行部数670万部を突破するヤンキー漫画が原作で、保護観察中で次にけんかをしたら、アウトになる主人公、井口達也。倉にとって、本格的なアクションシーンは初めてとなった。
倉悠貴インタビュー、映画『OUT』で主人公役
俳優の倉悠貴(23)が、品川ヒロシ監督の映画『OUT』(公開中)に主演した。累計発行部数670万部を突破するヤンキー漫画が原作で、保護観察中で次にけんかをしたら、アウトになる主人公、井口達也。倉にとって、本格的なアクションシーンは初めてとなった。(取材・文=平辻哲也)
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倉は2021年にNHK連続テレビ小説『おちょやん』で杉咲花演じる主人公の弟役を演じ、注目を浴びた23歳。今年は重岡大毅&橋本環奈主演の『禁じられた遊び』(9月8日)、主演『こいびとのみつけかた』(10月27日)、馬場ふみか主演『コーポ・ア・コーポ』(11月17日)、杉咲花主演『市子』(12月8日)と映画公開作が目白押しだ。
『OUT』は「狛江の狂犬」と言われる伝説の超不良・井口達也(倉)が少年院を出所したその後の人生を、新たな仲間たちや家族との絆を通して描く実録青春ムービー。西千葉に住むおじ(杉本哲太)、おば(渡辺満里奈)の夫婦が営む焼肉店で働くことになったが、ふとしたことから暴走族同士の抗争に巻き込まれていく……。
不良、ヤンキーには無縁の10代を過ごしたそうで、「まさか、こんな役が自分に来るとは」と驚く。品川監督からはしっかり体作りをしてほしいというリクエストがあったそうで、毎日のようにジム通い、撮影中も現場にあったダンベルやベンチプレスでトレーニングに勤しんだ。
「監督から『筋肉は裏切らないから』と言われました。庄司(智春)さんではなくて、まさか品川さんから言われるとは」と笑い。「斬人」副総長の安倍要役の水上恒司(24)とジム通いしながら、役作りにも役立ったという。
「人気漫画が原作ですから、ファンの方の期待を裏切らないようにしながら、ある意味、成長物語なので、生きている人間に見えるようにと意識しました」
筋トレのシーンでは、腕がはち切れそうになるくらいパンプアップをするなど新たな経験もした。
「体を鍛えることで、自分の体が変わっていくのを感じました。けんかシーンなどは初めてのことだったので、周囲にご迷惑をかけたかもしれませんが、できないながらも精いっぱいやったので、それが達也らしい泥臭さになっていればと思っています。監督はアクションの練習から撮影まで一緒に作り上げていく感じでした」と振り返る。
井口達也は小説『ドロップ』(名義・品川祐)の登場人物で、実在の人物。品川が監督を務めた09年の映画版では水嶋ヒロ、WOWOWドラマでは板垣瑞生が演じてきた。品川監督からは、「ナイーブな部分がいい」「陰の部分も良かった」との評価ももらった。
ヤンキー仲間との交流が描かれる中、杉本哲太と渡辺満里奈演じるおじ夫婦とのホームドラマのような展開もある。
「お二人との共演は初めてでした。非常にあたたかい雰囲気で、ある種、別の映画を撮っているような気分になりました。お二人は細かい芝居をされていて、その後ろ姿を追いかけていました。特に、杉本さんは肉を切るだけのシーンでも何十分も練習されるなど入念に準備をされているのが印象的でした」
寒い時期での撮影となったが、醍醐虎汰朗(23)を始め同年代が集まり、現場は熱く、ライバル心も高まった。
「『OUT』はアクションとコメディが盛りだくさんで、非常に多彩な要素が詰まっています。個人的には、人間ドラマの要素も非常に魅力的だと思います。映画ではアウトローな世界に足を踏み入れるかどうかという境界線が描かれており、リアルな要素もあります。ヤンキーという世界は一見遠いと感じる人もいるかもしれませんが、共通点も多く存在し、達也の成長と人間らしさを感じてもらいたいです」と倉。新境地に手応えを見せた。
□倉悠貴(くら・ゆうき)1999年、大阪府出身。2019年、俳優デビュー。池田エライザが初監督を務めた映画『夏、至るころ』(20)に大沼翔役で主演、話題を呼ぶ。以後も『スパゲティコード・ラブ』(21/丸山健志監督)や『衝動』(21/土井笑生監督)、ドラマ「犬と屑」で主演、ドラマ「生き残った6人によると」(22/MBS・TBS)や映画『窓辺にて』(22/今泉力哉監督)などでも印象深い芝居を見せる。今年は『禁じられた遊び』(9月8日公開/中田秀夫監督)、『こいびとのみつけかた』(10月27日公開/前田弘二監督)、『コーポ・ア・コーポ』(11月17日公開、仁同正明監督)『市子』(12月8日公開、戸田彬弘監督)がある。