中村獅童、次男・夏幹くんの障がい公表 複雑胸中も親心「それが最大の武器になる」

歌舞伎俳優の中村獅童が13日、都内で行われた歌舞伎座新開場十周年『十二月大歌舞伎』第一部・超歌舞伎Powered by NTT『今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)』の取材会で、3歳の次男・小川夏幹くんについて、生まれつき小指がないことを公表。夏幹の歌舞伎役者への道について、葛藤したことを明かした。

取材会で次男・夏幹くんについて語る中村獅童【写真:ENCOUNT編集部】
取材会で次男・夏幹くんについて語る中村獅童【写真:ENCOUNT編集部】

「倅が自分と同じ道を歩みたいと言ってくれたことは純粋にうれしい」

 歌舞伎俳優の中村獅童が13日、都内で行われた歌舞伎座新開場十周年『十二月大歌舞伎』第一部・超歌舞伎Powered by NTT『今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)』の取材会で、3歳の次男・小川夏幹くんについて、生まれつき小指がないことを公表。夏幹の歌舞伎役者への道について、葛藤したことを明かした。

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 この日獅童は、「今日がこの話をするのは最初で最後。包み隠さず全てお話する」と語り始めた。「長男にも次男にも『歌舞伎をやれ』と言ったことはなくて、幸いなことに陽喜も『やりたい』と言ってくれて、環境的に弟も『やりたい』と。さぁ。歌舞伎役者として『指がない』というのは、それは隠せるものではない。見えてしまいますから。歌舞伎役者にさせるべきしゃないのか、悩みました」と、胸の内を吐露した。

「子どもって(顔を)お化粧することがハードルなんですね。先月、お化粧のお稽古をしたんですけど、妻が歌舞伎座まで送って、役者以外は楽屋に入れないので離れ離れになって。見送ったときに泣いちゃうんじゃないかと心配しましたが、夏幹が颯爽(さっそう)と歌舞伎座の楽屋に入っていった姿を見て、妻は『あぁ、この子は本当に歌舞伎がやりたいんだ』と思ったそうです。一門に顔(のお化粧を)してもらって、泣き出すかなと思ったけど、そのハードルは乗り越えることができた」と、息子の姿を見て、歌舞伎役者の道を応援することを決めたという。

 夏幹くんの指の状態が分かったのは出産直後。「強いことばっかり言ってますけど、『これからどんな人生を歩んでいくんだろうな』と思ったとき、最初は泣きました。妻が泣いているときに、自分は泣いちゃいけないと思って、僕は(それからは)泣いてないです。僕が泣いている場合じゃない。この事に関して泣いたのは、出産の日、それだけですね」と、当時の様子を明かした。

 その後、夏幹くんは、『骨を切り離す手術』と『指の形を整える手術』の2回の手術を行い、今後手術をする予定はないという。

 獅童は、「障がい者とか、ハンディキャップとか、いろいろな言い方がありますが、外国では『チャレンジド』という言い方があるそうで。チャレンジドって、すごくかっこいいなって思う。前を見据えて、チャレンジしていく精神。僕もその気持ちを忘れたくない」と語った。

 夏幹くんが歌舞伎役者を目指すことについては、「倅(せがれ)が自分と同じ道を歩みたいと言ってくれたことは純粋にうれしいです」と喜び、「その中でも、独特な個性の持ち主ですから、それが世間にどう受け入れてもらえるのか、親としては、葛藤がないと言えばうそになる」と、複雑な気持ちも。しかし、「時代を変えていきたいし、せっかく表舞台に立たせていただく仕事なわけですから、どんよりとした世の中を少しでも明るくしていける存在になってもらいたい」と息子への思いを語った。

 獅童は夏幹くんのことを「なっちゃん」と呼び、「なっちゃんにしか分からない悲しさがあるかもしれない。『キミにはキミの悲しさがある。それが最大の武器になる。すべて芝居につなげていける。感じてきたことすべてが、芝居につながる』と、(夏幹に)自分の言葉で話せたらと思います」と語った。

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