テレビとネット動画は共存できるのか? テレビ東京が「意地」で創り出す面白動画番組の可能性

テレビ局が意地でYouTuberになる――。そんな挑戦心にあふれる番組がある。斬新な発想で面白動画を作成し、テレビ放送と併せてYouTubeチャンネルでも世界に発信するテレビ東京のバラエティー番組「内村のツボる動画」だ。内村光良・近藤春菜(ハリセンボン)・澤部佑(ハライチ)がMCを務め、不定期放送を経て4月から月1回のレギュラーになった。同局の若手アナウンサーが美声で歌を披露するなど独自企画が話題に。一見、相反するようなテレビとネット動画の“壁”を打破しようとする番組作りについて伊藤隆行クリエイティブプロデューサーに聞いた。

テレビ東京のバラエティー番組「内村のツボる動画」(今年4月14日放送時の写真)(C)テレビ東京
テレビ東京のバラエティー番組「内村のツボる動画」(今年4月14日放送時の写真)(C)テレビ東京

テレ東バラエティー「内村のツボる動画」プロデューサーに聞く

 テレビ局が意地でYouTuberになる――。そんな挑戦心にあふれる番組がある。斬新な発想で面白動画を作成し、テレビ放送と併せてYouTubeチャンネルでも世界に発信するテレビ東京のバラエティー番組「内村のツボる動画」だ。内村光良・近藤春菜(ハリセンボン)・澤部佑(ハライチ)がMCを務め、不定期放送を経て4月から月1回のレギュラーになった。同局の若手アナウンサーが美声で歌を披露するなど独自企画が話題に。一見、相反するようなテレビとネット動画の“壁”を打破しようとする番組作りについて伊藤隆行クリエイティブプロデューサーに聞いた。

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 2019年7月から不定期放送の「内村のツボる動画大賞」として始まり、今春にレギュラー化された同番組。世界を視野に入れてバズる動画の発信を目指すプロジェクトだ。これまでに作成したのは、チャーハンや卵割りの料理人の手さばきを取り上げる「高速職人シリーズ」や、YouTube界でも人気を集める大食いチャレンジ・ドッキリ仕掛け……。“ツボにはまる”内容を追い求め、流行りをすぐに採り入れる柔軟性も魅力の一つだ。

 スマートフォンを使えば、手軽に映像を撮影でき、YouTubeを通して世界に発信できる。いわば“1億総クリエイターの時代”だ。この時代の変化に着目したことで、新たなスタイルが生まれた。伊藤プロデューサーは「テレビ局もYouTuberになっちゃえばいい。即時的に世界とつながることができる動画配信の強みを生かし、演出家・クリエイターでもあるテレビマンとして、面白がって仕掛けていく」と強調する。

 それに、子供たちはスマホで動画を楽しむ時代になった。実際に伊藤プロデューサーの小学3年生の娘が「(動画投稿アプリTikTokを発信する)TikTokerになりたい」と言い始め、動画から笑いや言葉のセンスを覚えようとする様子を日頃から見ているという。「子供たちはスマホやYouTubeに夢中になっていて、動画を観てみるとぶっちゃけて面白い。かつてテレビがそうだったように、いまの子供たちは動画配信を入り口に得ているものがたくさんある。もちろんテレビとしても親子が楽しめるものを変わらず作り続けたいです」と話す。

 動画配信の可能性を実感する中で、正反対の立場にいるようなYouTubeとテレビ番組をかけ合わせる構想につながっていく。伊藤プロデューサーは「テレビとネットは敵対しているという論調があります。しかし、その構図を作る必要はない。一時は議論のあった映画とテレビもいまは共存していますよね。日常を楽しむツールが増えていい時代になった。選択肢が増えたと考えています」と語る。

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