原田知世、トレーニングを重ね見えた今後の目標「50代の表現者としてどうありたいか」

俳優で歌手の原田知世が25日にニューアルバム『恋愛小説4~音楽飛行』をリリースした。誰もが知っている国内外の有名曲をカバーする第4弾。今回は、カーペンターズの『遙かなる影(Close To You)』、来年1月に来日するビリー・ジョエルの『シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン』など洋楽を選曲し、透明感のある歌声で表現した。昨年でデビュー40周年。俳優と歌手をバランス良く行き来してきたが、近況と恩師でもある故高橋幸宏さんへの思いなどを聞いた。

大好きな洋楽カバーアルバムをリリースした原田知世【写真:荒川祐史】
大好きな洋楽カバーアルバムをリリースした原田知世【写真:荒川祐史】

大切にしたい「しなやかで芯のある歌声」

 俳優で歌手の原田知世が25日にニューアルバム『恋愛小説4~音楽飛行』をリリースした。誰もが知っている国内外の有名曲をカバーする第4弾。今回は、カーペンターズの『遙かなる影(Close To You)』、来年1月に来日するビリー・ジョエルの『シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン』など洋楽を選曲し、透明感のある歌声で表現した。昨年でデビュー40周年。俳優と歌手をバランス良く行き来してきたが、近況と恩師でもある故高橋幸宏さんへの思いなどを聞いた。(取材・文=福嶋剛)

 原田には、「世界で一番幸せだった」と言える日がある。昨年10月16日、都内で40周年ライブを開催。大貫妙子、鈴木慶一ら豪華ゲストに祝福され、ラストは約5000人の観客に代表曲『時をかける少女』を披露した。そして、感極まった。

「ゲストの皆さん、バンドメンバー、スタッフ、何より会場に駆けつけてくださったファンのみなさんの愛情をいっぱい受け取って、『こんなに幸せでいいのかしら』と怖くなるくらい感動し、『ここまで歩んできて良かった』と心から思えた日でした。あの日、みなさんからいただいた栄養が次に進む原動力になっています」

 年が明けると、悲しい知らせが届いた。バンド・pupaのメンバーとして活動をともにし、公私ともに支えてくれた高橋さんの訃報だった。

「(高橋)幸宏さんとの思い出はたくさんあり過ぎて、まだ現実として受け止め切れていない自分もいます。『紳士』という言葉がピッタリのすてきな方でした。スタジオでレコーディングするときも、いつもピカピカの革靴を履いてドラムをたたいていらっしゃいました。私はあんなにオシャレな人には会ったことないですし、ご自身のスタイルをいつも大切にされていた姿を側で見てきました。とにかく優しい方で、私のアルバムはもちろん、出演した映画やドラマも全て見てくださり、いつも感想を送ってくださいました。幸宏さんとの最後の会話は『いい音楽を残そうね。pupaをまたやろうね』でしたね。もっと、話をしたかったです」

 悲しみを乗り越え、原田は“ライフワーク”と言える『恋愛小説』シリーズの制作を始めた。「ラブソングの主人公を歌声の響きで演じる」をテーマに新たな表現に挑戦し続け、今回で4作目となった。

「40周年が終わって一区切りがつき、昨年から始めているボイストレーニングの成果も出てきて、『もっと歌いたい』という意欲が出てきました。そのタイミングでレコード会社のディレクターの方から『次は洋楽のカバーをやりませんか』とご提案をいただきました。『大好きな洋楽が歌える』と思い、うれしくて『やります!』と即答しました(笑)。早速、プロデューサーの伊藤ゴローさんとディレクターの3人で『60年代、70年代の誰もが1度は耳にしたことがある名曲』をあれこれと選曲していきました」

 原田は子どもの頃から洋楽を好んで聴いていた。洋楽の魅力はどこにあるのか。

「子どもの頃って英語が分からないから、歌声も楽器のメロディーと捉えてラジオから流れてくる海外のヒット曲を聴きながら『こんなことを歌っているのかな?』という想像を楽しんでいた人も多いと思います。私もその1人です。このカバーシリーズを始めるときに、聴いてくださった人がいろんな想像をできるように楽曲の世界観を大切にして歌っています」

芝居にはない音楽の醍醐味を話してくれた【写真:荒川祐史】
芝居にはない音楽の醍醐味を話してくれた【写真:荒川祐史】

カバーソングは歌手として成長していく上で生かされている

 1曲目は、ジョージ・ハリスンが手掛けたビートルズの『ヒア・カムズ・ザ・サン』(1969年)。高橋さんはジョージの曲が大好きだった。

「『太陽が昇ってきた もう大丈夫』という歌詞の内容がアルバムの1曲目にピッタリだったので、全員一致で決まった曲です。『幸宏さんに聴いてもらいたかったな』って。もし、聴いてくださったら何ておっしゃったのでしょうね。ちょっとドキドキしますけど(笑)。きっと喜んでくれたと思います」

 3曲目はジョニ・ミッチェルの『青春の光と影』(68年)。原田が20代の頃にリリースしたアルバム『カコ』(94年)でもカバーしている。

「お芝居では同じ役を演じることがめったにないのですが、音楽は同じ曲をいくつになっても歌えますし、時間とともに変化していく様子も楽しめて、そこに音楽の醍醐味があると思うんです。だから、今回は『今の歌声で20代の自分と向き合ってみたい』。そう思ったんです」

 4曲目はニール・ヤングの『オンリー・ラヴ・キャン・ブレイク・ユア・ハート』(70年)。原田が、「絶対にカバーしたかった」と話す思い入れのある楽曲だ。

「原曲はギターと歌というシンプルな構成なのに、ニール・ヤングさんの独特な歌声とコーラスの美しいメロディーがしみてきて、『いつかカバーしたい』と思っていました。今回はオリジナルの世界観を大切にしながらチャレンジしてみました。出来栄えには大満足です(笑)」

 ボイストレーニングの成果も出てきたことで、この先への希望も満ちている。

「『50代の表現者としてどうありたいか』という目標が見えてきました。歌手として成長していく上でもカバーソングは生かされています。『この人みたいに歌ってみよう』と挑戦していくことで、新しい引き出しも生まれています。それはお芝居と似ているところで、これからも『しなやかで芯のある歌声』を目指して歌っていきたいです」

□原田知世(はらだ・ともよ)1967年11月28日、長崎市生まれ。約5万7000人が応募したオーディション『角川映画大型新人募集』で特別賞を受賞。14歳だった82年にフジテレビ系ドラマ『セーラー服と機関銃』(大林宜彦監督)で俳優デビュー。翌83年、映画初出演作の『時をかける少女』で主演。近年は映画『サヨナラCOLOR』『しあわせのパン』、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』、日本テレビ系連続ドラマ『あなたの番です』など数々の話題作に出演。歌手としても3枚目シングル『時をかける少女』を大ヒットさせ、鈴木慶一、トーレ・ヨハンソン、伊藤ゴローらさまざまなアーティストとのコラボレーションでコンスタントにアルバムを発表。姉は俳優の原田貴和子。

次のページへ (2/2) 【写真】原田知世のインタビューカット
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