デスマッチ戦う伊藤麻希、海外でも支持される異色レスラーが持ち続ける思い「同世代の女性ファン増やしたい」
9月27日のDDT後楽園ホール大会で、GCWにおける宿敵ともいえるマット・カルドナと対戦した伊藤麻希。カルドナのマネージャー、ステフ・デ・ランダーの乱入行為により惜しくも敗北を喫したが、カルドナの額をピザカッターで切り刻み、吹き出す血を自身の頬に塗りたくったその姿は衝撃を与えた。そして東京女子プロレスの直近のビッグマッチでは、体重差30キロ以上というAEWで活躍する怪物、ナイラ・ローズを相手に善戦。アイドルとして活躍していた時期も長い、一味も二味も違う女子プロレス人生を歩む、伊藤が今思っていることとは。
海外では大きい相手と戦うのが当たり前…東京女子ではヒールに?
9月27日のDDT後楽園ホール大会で、GCWにおける宿敵ともいえるマット・カルドナと対戦した伊藤麻希。カルドナのマネージャー、ステフ・デ・ランダーの乱入行為により惜しくも敗北を喫したが、カルドナの額をピザカッターで切り刻み、吹き出す血を自身の頬に塗りたくったその姿は衝撃を与えた。そして東京女子プロレスの直近のビッグマッチでは、体重差30キロ以上というAEWで活躍する怪物、ナイラ・ローズを相手に善戦。アイドルとして活躍していた時期も長い、一味も二味も違う女子プロレス人生を歩む、伊藤が今思っていることとは。
海外遠征が増えた伊藤は、カルドナ、ローズといった自身より数回りも大きい選手と戦うことが当たり前になってきている。そのことで、東京女子における自分の立場が変化してきたと感じているという。
「海外では小学生みたいなものなんですよ、自分のこのサイズ感だと。パワーボムのように頭上に抱えられてたたき落されるのは、日常茶飯事になってしまいましたね。一方、東京女子ではサイズが同じか小さい選手との試合が多いので、いつのまにかヒール(悪役)になっているような気がしています(笑)」
東京女子における最高峰といえば、プリンセス・オブ・プリンセス王座(以後、プリプリ王座)。伊藤は数度となくこの王座に挑戦しているが、まだ戴冠したことはない。現在東京女子に所属している選手で、そのプリプリ王座を獲得しているのは、山下実優、中島翔子、坂崎ユカ、辰巳リカ、瑞希の5選手。筆者の感覚としては、この5選手のトップグループに伊藤が追いついたとファンが感じているからこそ、ヒールのような立ち回りになるのではないかと。
「そうだとうれしいんですけどね。プロレスとアイドル活動の共通点ってよく聞かれるんですけど、成長を見てもらえるところかなと思うんです。同世代の女性ファンを増やしたいという気持ちも常々持っているんですが、デビュー当時からずっと見てくれているファンには、進化する自分を見てもらいたいですね」
WWEを見て「この人、似てる!」と思ったレジェンドレスラー
その伊藤が今、懐疑的になっていることがある。それはサイン会についてだ。
「もちろん、ファンの方と触れ合える機会があるのはいいことだと思うんですが、アイドルの時代から、サイン会については実は反対派です。これには理由があって、毎週会えてサインをもらえる伊藤麻希って……ダサいかなって(笑)。だからこそ、海外で戦う比率も増えて、日本にいるのが貴重になった伊藤のサイン会の方がカッコいいと思うんです」
11月にはまたアメリカに渡りGCWに参戦する伊藤。コロナ禍では、みちのくプロレスにハマった伊藤だが、もうひとり気になったレスラーがいた。それが世界最大のプロレス団体WWEのレジェンド、ザ・ロック(映画俳優としてはドウェイン・ジョンソンの名で有名)だ。小さいころから絵を描くのが好きだったという“表現”を大切にする伊藤が、ロック様という生粋のエンターテイナーに心を奪われたのは納得だ。
「ロックを見たときに、ああなりたいなと思いました。あのパフォーマンスを見て『私に似てる!』と思って好きになったんです(笑)」
伊藤はかわいくデコレーションされたマイクを持ち、自身が歌う『Brooklyn The Hole』に乗せて入場する。そして、サビのタイミングではリングからファンに「自由を追いかけて 誰かにギュッとして欲しくて 本当の愛を探すんだ」と歌いかける。日本と海外を自由に行き来し、世界中のプロレスファンから「The cutest in the world」と認められた今こそ、伊藤麻希が本当の愛を手にするときなのかもしれない。