生見愛瑠、経験できなかった“青春” 人生初の短髪で体験する「ノーマルな社会人ライフ」

モデルの“めるる”こと生見愛瑠(ぬくみ・める)。彼女は俳優活動も積極的で、出演作を重ねるごとに評価を高めている。10月22日スタートの日本テレビ系連続ドラマ『セクシー田中さん』(日曜午後10時30分)では、トレードマークのロングヘアを封印。ショートヘアで愛され系の女子社員に扮している。撮影が進む中、生見に「演じる」ことへの思いを聞いた。

芸能界入り以来初めてのボブヘアを見せた生見愛瑠【写真:矢口亨】
芸能界入り以来初めてのボブヘアを見せた生見愛瑠【写真:矢口亨】

22日スタートの日テレ系連続ドラマ『セクシー田中さん』に出演

 モデルの“めるる”こと生見愛瑠(ぬくみ・める)。彼女は俳優活動も積極的で、出演作を重ねるごとに評価を高めている。10月22日スタートの日本テレビ系連続ドラマ『セクシー田中さん』(日曜午後10時30分)では、トレードマークのロングヘアを封印。ショートヘアで愛され系の女子社員に扮している。撮影が進む中、生見に「演じる」ことへの思いを聞いた。(取材・文=大宮高史)

 生見は平凡な派遣社員の倉橋朱里を演じている。ショートヘアで過ごす時間は楽しいようだ。

「芸能界に入る前からずっとロングなので、これだけ短い髪は人生で初めてです。『短くしてみたいな』と前から思っていたところに、こんなチャンスが生まれてうれしかったです」

 同名コミックが原作の『セクシー田中さん』は、朱里がアラフォー同僚・田中京子(木南晴夏)が、実は「セクシーなベリーダンサー」であることを知る場面から始まる。ベリーダンスのために鍛えたスタイルとダンスを堂々と披露する主人公の田中さん。一方、朱里は「若くてかわいいことにしか自分の価値はない」と焦り、合コンで将来の夫を探そうとする毎日にモヤモヤを抱えていた。生見にとっては新境地の役どころだ。

「10代からモデルをやらせていただいて、青春といわれるようなことをほとんど経験していないんです。バイトもしたことがなくって…ドラマとはいえ、ノーマルな社会人ライフを体験できていることが私にとってこの現場の面白さですね。制服がある会社員の役も初めてです」

 取材日に撮影していたのは、ペルシャンレストランで踊る田中さんと朱里が出会う大切なシーンだった。会社での姿からは想像できないエキゾチックなベリーダンサーの田中さん。その姿に惹かれてしまう朱里の気持ちになりきっていた。

「以前から好きな女優さんだった木南さんと共演できること自体がドキドキでした。ベリーダンスを踊っている姿も格好よくて、目の前に迫ってくると、きれい過ぎてビックリなんです。原作コミックで読んだ田中さんのキラキラ感のままで、見ている私も自然と朱里になっていたのではないかなと思います。」

「どんな小さい役でも挑戦してみたい」と語った【写真:矢口亨】
「どんな小さい役でも挑戦してみたい」と語った【写真:矢口亨】

役の引き出しを増やす「現場経験を積んでいきたい」

 会社では地味な田中さんが色っぽいベリーダンサーに変身するように、ドラマのキーワードのひとつは「二面性」。快活でオシャレなイメージの生見にも、ファンが知らない「裏の顔」があるのかも…。思い切って聞いてみると、生見は正直に言った。

「隠しているつもりはないのですが、初対面の方からは『思ったより物静かで落ち着いている』って言われます。テレビを見てくださる方は結構、私に『明るい』イメージを持っているようで…。でも、カメラの前とそれ以外で性格が切り替わるような感覚もなくて、どちらも本当の私ですね」

 今年に入り、生見はどんどん役の引き出しを増やしている。5月にフジテレビ系『風間公親‐教場0‐』第4話で、19歳で妊娠・出産する大学生の役を演じた。4月期のABCテレビ・テレビ朝日系連続ドラマ『日曜の夜ぐらいは…』では、祖母と田舎暮らしをしながら、ラジオをきっかけに出会った友人2人と心を通わせていく役を丁寧に表現した。

「演技に評価をいただいている実感は自分ではまだまだないですが…『本番に強い』とはよく言われます。そこは強みなのかもしれません。でも、もっと自信がつくように、たくさんの作品に出て、現場経験を積んでいきたいです。今は、バラエティー番組とのギャップがあるからこそ、新鮮でポジティブに見てもらえている面もあると思います。だから、これから『女優:生見愛瑠』にもっと馴染んでもらえるように、引き出しを増やしていきたいです」

 生見はどんな現場でも、楽しんで役に入っていけるという。「自信はあまりないですね」と繰り返すが、物おじしない度胸も強みだ。

「目標を1つに絞ったりができない性格なんです。モデルのお仕事は今でも原点に思っていますし、バラエティーの楽しさも好きです。そして、女優業は今、一番突き詰めて研究していきたいジャンルです。演技力をつけるのはもちろん、新しくのめり込みたくなるワクワクできる経験も見つけたいですね」

モデル・俳優・バラエティ…どのジャンルでも活動意欲は尽きない【写真:矢口亨】
モデル・俳優・バラエティ…どのジャンルでも活動意欲は尽きない【写真:矢口亨】

主演の木南晴夏や初共演の俳優とも親交「役者力を吸収していきたい」

 キュートなティーンエイジャーから壮絶な苦労人まで、フィクションの中の人物になりきる時間を楽しんでいる。

「意外と今どきの元気な女の子の役をいただいたことって少ないんです。映画『モエカレはオレンジ色』(2022年)の佐々木萌衣くらいですね。今までのイメージで『明るい役が来るのかな』と思っていたら、真逆のやさぐれているような役柄も演じる機会が多くて(笑)。でも、場面ごとに衣装もメイクもかわいくしていただいて、俳優でありつつもモデルとしてカメラの前に立っている感覚もあって、好きなお仕事を同時にやっている気分になれます。プライベートでは絶対に経験できないような人生をお芝居の中で、もっともっと生きてみたいです」

 主演の木南をはじめ、初共演の俳優とも親交を深め、「役者力を吸収していきたい」と前向きでいる。

「初めてご一緒する方ばかりで、私が一番年下で、今日も緊張しがちでした。でも、朱里と田中さんが仲を深めていくように、皆さんと仲良くなっていけたら『うれしいな』って思います。かわいいのに言動は意外と毒がある朱里なんですが、それでも許せてしまう彼女の女子力の高さを見習って、原作らしさを出していきたいです」

 天真爛漫さと愛され力を発揮しつつ、謙虚に成長を目指す21歳。彼女の将来を大勢のファン、芸能関係者が楽しみにしている。

□生見愛瑠(ぬくみ・める) 2002年3月6日、愛知県生まれ。12年モデルデビュー。現在はCanCamの専属モデル。日本テレビ系『ヒルナンデス!』『スクール革命!』などにレギュラー出演している。21年に女優デビュー。22年7月公開の『モエカレはオレンジ色』での演技が評価され、第46回日本アカデミー賞『新人俳優賞』を受賞した。

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