スープラ愛する25歳、旧車に詰まった「今のクルマにない」魅力 故障も楽しむ愛車生活

2年前のクリスマスに23歳で買ったのは、トヨタ・70スープラ。1991年式で自分より年上のクルマだ。故障を直すことも楽しみながら、彼女を乗せてドライブを満喫。25歳男性会社員の“旧車ビギナー”ライフに迫った。

ダークグリーンマイカが印象的な70スープラ【写真:ENCOUNT編集部】
ダークグリーンマイカが印象的な70スープラ【写真:ENCOUNT編集部】

91年式の70スープラ、父親がトヨタ86購入も転機に

 2年前のクリスマスに23歳で買ったのは、トヨタ・70スープラ。1991年式で自分より年上のクルマだ。故障を直すことも楽しみながら、彼女を乗せてドライブを満喫。25歳男性会社員の“旧車ビギナー”ライフに迫った。(取材・文=吉原知也)

 小さい頃からの根っからのクルマ好き……ではなかった。「電車が大好きでプラレールでよく遊んでいたんです。特にクルマに興味は持っていませんでした」。

 転機となったのは、免許の取得。18歳でマニュアル免許を取り、運転の楽しさを徐々に知るようになった。たまたま父親がトヨタ86(ZN6型)を購入。乗せてもらったことでスポーツカーの走りを体感するようになった。

 こうしてすっかりクルマに目覚めると、マイカーが欲しくなった。譲れないポイントを2つ決めた。「レトロでかわいい」と思う「リトラクタブル・ヘッドライト」と、走りにこだわりたい「直列6気筒エンジン」だ。

 その条件に合致したのが、70スープラだった。「今のクルマにないもの。ここに憧れたんです」と言葉に力を込める。

 だが、旧車ならではの最初の壁にぶつかった。エンジンは動く状態で生きていた。しかし、「足回りや水回りがボロボロに近い感じで……。雨漏りでトランクの中に水たまりができる、そんな状態でした」。業者と相談して整備を開始。部品を取り換え、一つ一つ修理していった。

 内装は自分で手を入れたところも。ドアの内側をはがして丹念に掃除。鍵が1つしかなかったため、ドアを外して鍵の番号を探してスペアキーを作った。

 約半年かけて修理完了。晴れて、昨年5月から走れるようになった。ダークグリーンマイカのクールな色合い。「五感で走る」充実感を覚えながらハンドルを握っている。

 彼女は『名探偵コナン』の登場キャラクター・安室透がマツダ・RX-7に乗っていることから、マニュアル車好き。共通の趣味を持つ2人は、文字通りにお似合いのカップルだ。

 若い世代であるが、あえて旧車を選んだ。部品調達や整備面で難儀が重なり、修理費もかさむ。それでも、「愛着の感覚」がどんどん分かってきているという。「パワステのオイル漏れがあったり、今年の夏にはエアコンが壊れてしまいました。手がかかってますよ(笑)。乗り始めた頃は『なんでこんなに壊れるんだよ』と困りましたが、最近は愛着が湧いてきました」。面倒がかかるが、憎めない。旧車乗りの“あるある”の思いを実感している。

「おじさんになってから買うという選択肢も考えましたが、どんどん昔のクルマはなくなっていきます。今買っておかないと。今しかない。これが僕の決断でした」。平成初期の名車に、乗れる限りずっと乗っていくつもりだ。

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