秋葉原で客も店員もサイリウム片手にフィーバー アニソンカフェの知られざる世界
怒涛のカラオケ 定番エヴァに、るろうに剣心、レイアースにデビルマンまで
お客さんと店員たちの会話に耳を傾けると、聞きなれないカタカナや固有名詞が乱れ飛ぶ。どうやら「ポケモンGO」の話題のようだ。ストーリーについて熱く議論されている「ファフナー」というのは、「蒼穹のファフナー」のことだという。これは分かった。1人で来店した女性や、スーツ姿の壮年の男性客も会話を楽しんでいた。
地下1階のカラオケフロアは、奥のステージが華やかで、広いスペースだ。アニメのフィギュアやぬいぐるみ、「ラブライブ!サンシャイン!!」や声優のポスターで埋められている。
いよいよカラオケが始まる。メモを取れた範囲では……
LiSA「Catch the Moment」(ソードアート・オンライン)
きただにひろし「ウィーアー!」(ONE PIECE ワンピース)
JUDY AND MARY「そばかす」(るろうに剣心)
田村直美「光と影を抱きしめたまま」(魔法騎士レイアース)
そして、「デビルマン」の主題歌まで……。
新旧織り交ぜたラインナップが途切れることがない。ものすごいエネルギーに圧倒された。
プレイングマネージャーを務める佐藤さんは、ホテルのバーテンダーから高級クラブのマネージャーまで経験してきた接客業のプロ。アニソンカフェ経営に転身し、社会で通用するスタッフの人材教育にも力を注ぐ。「アニソンカフェやカラオケといえば、『すた~ずに行こう』となるような文化をつくりたい」と強調する。「すた~ず」は現在、都内と神奈川県内に計5店舗。佐藤さんは「屋号として市民権を得たい。全国展開をしていきたい」と意気込む。
佐藤さんやルカさんの熱い思いに触れる中で、記者はただカラオケを聞いているわけにはいかない。ちょっとカッコつけて「君の名は。」の「前前前世」(RADWIMPS)と、これだけは“オタク”といえる「新世紀エヴァンゲリオン」の「残酷な天使のテーゼ」(高橋洋子)を歌ってみた。
恥じらい交じりだったが、ちょっぴり快感も覚えた。「アキバ」が、これまで以上に近くなった瞬間だった。