女子高生でハコスカ購入を決意 人生初愛車が1972年式の旧車、決断のワケは「世間知らず」
人生で初めて買ったクルマは、なんと1972年式の旧車。それも、日産スカイラインGT-X。女性オーナーで会社員ながらラジオパーソナリティーの顔を持つアグさんは、“走らせてナンボ”の精神で大事に乗り続けている。夢をかなえたカーライフに迫った。
1972年式の逸品 「大きな故障やトラブルは一度もない」
人生で初めて買ったクルマは、なんと1972年式の旧車。それも、日産スカイラインGT-X。女性オーナーで会社員ながらラジオパーソナリティーの顔を持つアグさんは、“走らせてナンボ”の精神で大事に乗り続けている。夢をかなえたカーライフに迫った。(取材・文=吉原知也)
「ハコスカを買おう」と心に決めたのは、高校生のときだ。とあるカーイベントで、専門学生がレストアに取り組んだハコスカを目の当たりにしたことがきっかけとなった。「古いクルマでもしっかりと手を加えれば、乗り続けることができるんだ」。純粋に感動した。
クルマ好きとして思いを募らせ、社会人1年目の夏に念願を成就させた。歴代オーナーがちゃんと取り扱っていたことで、エンジンは「いわゆる当たり」。しっかりした状態だった。下回りはサビでボロボロの箇所はあったが、業者に頼んで1年かけて整備。もともとのシャンパンゴールドの車体は、ローズレッドパールにオールペン(全塗装)してもらった。そこから約16年乗り続けている。
人生初のマイカーが旧車。「1台目、これしか乗ったことがないんですよ」。夢あふれるが、クルマ愛好家であってもなかなかできない決断でもある。
ある意味、勢いで買った。その若い頃の自分の判断は“正解”だった。「乗ると決めて買ったのですが、当時自分にはまだまだ知識がありませんでした。今だったら、旧車には尻込みをしてしまうかもしれません。でも、いい意味で世間知らずなところが逆によかったんです」。
直しながら乗って「走っている方が調子がいいんですよ」
故障が多いという、旧車乗りならではの苦労も感じている。一方で、旧車だからこそ、長く乗れるポイントがあるという。「旧車の造りは鉄板も薄く、傷つきやすいです。でも、ガタガタと異音がすると、『おかしいな』と気付けるんです。『予防整備』と呼んでいるのですが、私自身にクルマに耳を傾ける習慣が身に付いていて、何かあれば直しながら乗っています。大きな故障やトラブルはこれまで一度もないんですよ」と言葉に力を込める。
週末ドライバーで、年間3000~4000キロを走っている。この“走らせること”について聞いてみると、「私自身は、クルマはツールで移動手段であるという考えも持っています」。旧車をガレージで長期保管する所有スタイルにもちろん理解を持っているが、「私は雨が降っていても、出かけたいときは出かけます。このクルマが唯一の愛車ですし、生活の中に溶け込んでいる感覚です。それに、走っている方が調子がいいんですよ」と語る。
カーライフは「本当にラッキーな巡り合わせばかりで、当時の自分を褒めてあげたいです」。充実感あふれる表情を浮かべる。もちろんずっとこのクルマのハンドルを握る覚悟だ。「ハイオクのガソリンが提供される限り、乗っていきたいですね」。貴重なハコスカはきょうも元気にエンジン音をうならせている。