登録者数180万人超えのYouTuberカルマが俳優に 友人の死が転機に、avexから世界へ さらなる飛躍を誓う

有名人に変装し、街の人にドッキリを仕掛けるなど奇想天外な動画を投稿し、瞬く間にトップYouTuberになったカルマが出演する、テレビ東京系連続ドラマ『推しが上司になりまして』(水曜深夜0時半/『U-NEXT』では水曜午後9時より毎話独占先行配信中)が4日から放送される。主人公ら周囲をピリつかせる癖のある同僚役に「僕も僕を嫌いになるくらい嫌なヤツ」と苦笑。1年間の活動休止を経て、公の場に戻ったカルマは、役者として2作目となるドラマ出演を「快感と言えるほど、楽しい」と真っ白な歯を輝かせた。亡くなった友の遺志を胸に、トップクリエーターとして研さんを積んだ自分だからこそできる表現で、世界に羽ばたきたいと語った。

俳優デビュー2作目のドラマでは、同僚らをピリつかせる癖のある会社員を演じている【写真:ENCOUNT編集部】
俳優デビュー2作目のドラマでは、同僚らをピリつかせる癖のある会社員を演じている【写真:ENCOUNT編集部】

新作ドラマではクセが強い役に 「僕も僕を嫌いになるくらい嫌なヤツ」

 有名人に変装し、街の人にドッキリを仕掛けるなど奇想天外な動画を投稿し、瞬く間にトップYouTuberになったカルマが出演する、テレビ東京系連続ドラマ『推しが上司になりまして』(水曜深夜0時半/『U-NEXT』では水曜午後9時より毎話独占先行配信中)が4日から放送される。主人公ら周囲をピリつかせる癖のある同僚役に「僕も僕を嫌いになるくらい嫌なヤツ」と苦笑。1年間の活動休止を経て、公の場に戻ったカルマは、役者として2作目となるドラマ出演を「快感と言えるほど、楽しい」と真っ白な歯を輝かせた。亡くなった友の遺志を胸に、トップクリエーターとして研さんを積んだ自分だからこそできる表現で、世界に羽ばたきたいと語った。(取材・文=西村綾乃)

 ドラマは、マンガ家の森永いと、東ゆき原作の同名作コミックが原作。主演は歌手でモデルの鈴木愛理で、主人公が大好きな2.5次元俳優(GENERATIONSの片寄涼太)が突然上司になって現れ、恋に落ちていくという破天荒な物語。カルマは、鈴木と同じ会社で働く藤井元久を演じる。

「ドラマの出演が決まったとき、台本を4話までいただいたので、『どの役なんだろう』と思いながら読んでいました。藤井はすごいイヤなヤツだったので、こいつじゃないな。僕が演じるのは、好青年の中村(和馬)なんだろうと想像していました。だから『藤井役だよ』と聞いたときは絶句しました。しかもスタッフの方から『いつも通りでお願いします』と言われて『えっ?』ってなりました。僕は好青年で売っているのになぁって」

 16歳のとき「有名になる」と福岡から上京。養成所で研さんを積むが芽が出ず、アルバイトに打ち込む日々が続いた。『イヤなヤツ』と眉をひそめた藤井の役作りでは、YouTuberとして活躍する前にしていたアルバイト経験がいきたという。

「仕事ができるけど、ヒエラルキーを気にする人間っていますよね。1番人間らしいと言えばそうだけど、僕自身はそうじゃない。自分の中にない要素をどうやって出そうかなと考えたとき、バイト先にいた当たりが強い上司のことを思い出したんです。原作にない役なので、のびのびと。思いっきりイヤなヤツになり切りました」

 21歳のときにYouTuberとして始動。登録者0人を100万人にするために、受け手が「見たいもの」を冷静に分析した。バズったアイデアがあっても、それにすがらず、新しい共感を得るため取捨選択を続けた。客観的な視線を持ち続けた結果、1年間で目標を達成した。

「大衆から支持されたいと、あらゆる方法を考えました。僕の動画の平均再生回数は、日本で上位5本の指に入るほど。6畳一間の部屋から配信した動画が、どんどん広がって最初はイケイケでした。点と点がつながった感覚がうれしかったけど、思ってもみないような速度で拡散されるようになり、だんだんプレッシャーになっていきました。編集した動画を配信する前に震えてボタンが押せないときもあったんです」

 総再生回数2億を超えるカルマのチャンネル。クリエイターとして、新しいものを発信し続けていたが、その活動を1年間休止。「このまま辞めてしまおうかな」と考えていたとき、アルバイト先で出会った同郷の友人が夭折(ようせつ)した。「同い年で同じ夢を追いかけていた友の夢をかなえることが、僕の夢でもある」と感じたことが、再びエンターテインメントの世界に身を置くきっかけになった。

 引退説や死亡説などを一蹴しようと2021年夏の会見で、復活と芸能事務所「avex」に所属し芸能界デビューすることを公表。今春放送されたテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『波よ聞いてくれ』で俳優として始動した。

「YouTuberとして活動していたときは、僕が見せたい僕を撮影・編集して発信していた。全て自分でコントロールできていましたが、役者は求められて始まるもの。僕が思ってもいなかった僕の表情を切り取られることもあり、そこに不安もありました。でもYouTuberのときは文字ベースでしかなかった称賛が、役者としてお仕事を始めてからは、共演者やスタッフの方などたくさんの人たちが現場にいて、いいことも、悪いことも反応を直に感じることができている。役者は役になるためにたくさんの引き出しが必要だけど、何にでもなれる開放感がある。それがだんだん快感になっています」

 デビュー作に続き2度目の共演になった片寄とは、休憩中にお互いの寝顔を撮り合うなど、和やかな時間を過ごしたという。ドラマでは鈴木が片寄を盲目的に「推す」が、カルマには「推し」がいたことがあったのだろうか。

「僕の推しは、僕です。アニメーションでも人間でも、他のものに目を向けたことはありません。いつ何時でも僕を見逃したくないと、2フロアに分かれた自宅には、全身を映すことができる鏡を各部屋に備えています」

 突飛な内容も、大真面目で口にするカルマはにくめない存在だ。現在は180万人がチャンネル登録をするトップクリエーターに上り詰めた。今後の目標は。

「映画を見たりすることが好きで、たくさんの作品を見てきたのですが、この俳優さんみたいになりたいなとか目指す人はいません。0を1にするのは難しいことだけど、何者にでもなれるのが役者の魅力。YouTuberとして培ってきた経験を、役者の仕事にいかしていきたい。さまざまな人が活躍しているavexの強みを武器に、垣根を超えて世界で頑張っていきたいです」

□カルマ 1996年、福岡県育ち。16歳で上京し、2021年に芸能界デビュー。22年からは俳優活動もスタートした。2023年10月現在、YouTubeの登録者数は180万人を突破している。

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