『ルックルック』関口郷子さんの今 人生の縮図を疑似体験、たどり着いた新たな生活

1994年から99年まで日本テレビ系ワイドショー『ルックルックこんにちは』で生活情報コーナー『耳より90秒』のキャスターを務めて人気を得ていたフリーアナウンサー・関口郷子さん。同番組卒業後は通販番組などで活躍していたが、今はどうしているのか。取材すると、アナウンサー活動と並行して企業経営者らをクライアントとするコーチングの資格を取得して活動。さらに長野の実家近くにフィンランドハウス「千代和らぎの郷」を建て民泊施設のオーナーとして東京と2拠点生活をしていた。関口さんに『ルックルック』時代の思い出とともに近況を聞いた。

関口郷子さんが現在の生活について語る【写真:ENCOUNT編集部】
関口郷子さんが現在の生活について語る【写真:ENCOUNT編集部】

生活情報コーナー『耳より90秒』で人気を得ていたフリーアナ

 1994年から99年まで日本テレビ系ワイドショー『ルックルックこんにちは』で生活情報コーナー『耳より90秒』のキャスターを務めて人気を得ていたフリーアナウンサー・関口郷子さん。同番組卒業後は通販番組などで活躍していたが、今はどうしているのか。取材すると、アナウンサー活動と並行して企業経営者らをクライアントとするコーチングの資格を取得して活動。さらに長野の実家近くにフィンランドハウス「千代和らぎの郷」を建て民泊施設のオーナーとして東京と2拠点生活をしていた。関口さんに『ルックルック』時代の思い出とともに近況を聞いた。(取材・文=中野由喜)

「『ルックルック』で担当したのは健康、料理、省エネなど生活に役立つ情報を取材して伝えるコーナーでしたが、電車に乗っていると知らない人からよく肩をたたかれ『昨日見たわよ』と言われました。90秒の短いコーナーなのにうれしかったですね。特に京王線ではバンバン肩を。番組卒業後は老舗百貨店がスポンサーの通販番組を担当し、電車で『これ、あなたから買ったバッグなの』と声をかけられました(笑)」

 関口さんの明るく親しみやすいキャラクターに親近感をおぼえる視聴者は多かった。関口さんにとっては『ルックルック』はどんな存在だったのか。

「当時のワイドショーは人間ドラマそのもの。別れた家族と再会するコーナーや芸能情報、成功した人、失敗した人、女ののど自慢……番組は人生の縮図でした。疑似体験ですが、人生経験を積ませていただいたような思いです」

 そんな『ルックルック』で培ったコミュニケーション技術は次の仕事につながった。

「私、突然、現場に行って、足を止めてもらって人に話を聞くのが大好きなんです。100人斬りという言葉もある世界ですが、楽しいですね。特に台本にない、『そこ大事』『思わず本音』という話を引き出す楽しさと喜びを知ったので、その後のコーチングの仕事につながったと思います」

 コーチングはクライアントの思いや考えを質問によって引き出し、クライアントか自らが行動して目標を達成する事を一緒に伴走する仕事。ICF国際コーチ連盟マスター認定コーチの資格を取得して活躍しているという。

「コーチはコンサルタントと違い問題解決のためのアドバイスはしないんです。企業の経営者自らが、何を目指しどんな会社でありたいか、数年後のビジョンは? そこで今の課題は? などを、コーチとの双方向のコミュニ―ションで明確にして、自ら行動します。経営者が自分の軸を明確にし、立てた計画に対して、どう専門のコンサルタントを活用するか、コンサルタントにアドバイスを求める前の準備や実行などをサポートします。実はコーチングをしていると私自身にもコーチをつけないとなりません。コーチ自身が、いつも気がかりのない状態で、自分軸が明確でないと、クライアントに最良のコーチングが提供できませんから」

秘境取材の経験や『ルックルック』での経験が生きて現在に

『ルックルック』卒業時は38歳。「この先、私どうする」となった。将来や実家のことも明確にする必要に迫られ、自身もコーチングが必要な状況に。そしてコーチングの仕事と出会った。続いて2拠点生活の事情を尋ねた。

「正式に2拠点を始めたのは昨年から。場所は私の生まれ育った飯田市の実家の近くです。以前から両親と実家の土地を何とかしたいという思いがありました。そんな中、2017年に仕事でタイのチェンマイにあるゲストハウスに行ったんです。何もない山の中で世界中からいろんな人がリトリートに来る所。日常から離れた環境に身を置き、ゆったりと自分のやりたいことを確認する時間を過ごす。朝は鳥のさえずりで目覚め、庭で野菜を採ってサラダを作ったり。自然豊かな私の田舎に似ていると感じ、田舎でもできるかもと思いました」

 ちょうど地元に運動公園として貸していた実家の土地が30年の契約が終わって返ってくるタイミングだった。

「その土地が地域の人と都会から来た人が交流できるプラットホームになったらいいなと、19年にフィンランドから輸入した材料でログハウスを建設し、昨春プレオープンしました。今は知人や紹介者限定で使ってもらい、課題をフィードバックしてもらっています」

 作ったのは民泊施設。旅館や民宿と違い、食事などは一緒に野菜などを収穫して作って楽しむスタイル。

「来た方たちと一緒にご飯を作るのも、食材の収穫や薪を割るところからトライしてもらいます。完全ご紹介制、貸し切り制でメインのログハウスに4人泊まれます。750坪のドッグランも。そこは幼い頃は桑畑で、こだま遊びをした私の遊び場で、私自身が子どもに戻ったように天真爛漫になって人を迎えられる。そんな気持ちの私で迎えると、来た人もほっとし、解放される……。心も体も和らいでもらう場になってほしいと思っています」

 施設の設立には『ルックルック』前の仕事も影響していた。

「海外の秘境を取材することが多く、イヌイットに会いに行ったアラスカ北極圏では気温マイナス60度でした。帰宅すると家族で『今日も一日、生きられたね』と話していました。中国チベット自治区では庭に家畜がいて、野菜を採ったり、電気も水道も無い、人の生活の原点を感じました。その後、『ルックルック』でいろんな人間模様を疑似体験し『人にはいろんなことがある』と思いました。その経験から、大好きなふるさとは気楽な場所で、来ていただく方にもいろんなことから解放されるかなと。全部つながっているんです。来てくださる方は“大人の修学旅行”とか“大人の休み時間”と言ってくれます。心を開く場所になってもらえたらうれしい」

 秘境取材で人の生活の原点の良さを感じ、その後、『ルックルック』でさまざまな人間模様、人生の縮図を疑似体験し、『大人の休み時間』の施設につながった。大好きな言葉は「日々笑進の精神」。自身の経験を人のために生かし、日々精進し、人の笑顔につながる生き方をしたいという。

□関口郷子(せきぐち・きょうこ)1961年12月20日、長野県生まれ。テレビ信州のアナウンサーを経てフリーアナとなり、NHK『趣味百科』や日本テレビ系『ルックルックこんにちは』などのテレビ番組で司会やリポーターを務め、通販番組のキャスターとしても活躍。資格はICF国際コーチ連盟マスター認定コーチ、サンタフェNLP発達心理学協会認定プラクティショナー、真珠インストラクター。趣味はガーデニング、キャンプ、DIY、ドローン撮影、海釣り、クロスロードバイク(ビアンキ)、和太鼓。芸能事務所のオールウェーブ・アソシエツ所属。

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