乃木坂46金川紗耶、NGナシの体当たり「怒られない限りは何でも」 コメディー舞台で新境地

乃木坂46の金川紗耶が、舞台『ドクター皆川~手術成功5秒前~』(東京・本多劇場、10月12~29日)に出演する。モデル、テレビ番組レギュラーを務めてきたが、グループ外の舞台作には初出演となる。「実はドジっ子」だという彼女が、演技への抱負や仕事現場での意外な面も明かした。

初めて単独出演する舞台への抱負を語った金川紗耶【写真:舛元清香】
初めて単独出演する舞台への抱負を語った金川紗耶【写真:舛元清香】

10月12日から舞台『ドクター皆川~手術成功5秒前~』に出演

 乃木坂46の金川紗耶が、舞台『ドクター皆川~手術成功5秒前~』(東京・本多劇場、10月12~29日)に出演する。モデル、テレビ番組レギュラーを務めてきたが、グループ外の舞台作には初出演となる。「実はドジっ子」だという彼女が、演技への抱負や仕事現場での意外な面も明かした。(取材・文=大宮高史)

『ドクター皆川』は細川徹氏が作・演出する作品で、皆川猿時が扮(ふん)する外科医・皆川と医者たちが繰り広げる医療コメディー。お笑い好きの金川も、楽しみながらステージ上での立ち振る舞いをイメージしているところだ。

「すっごく楽しみです。おととしの『3年B組皆川先生』も客席から見ていて、本当にたくさん笑わせていただきました。コメディーを演じるのは初めてですが、舞台上の皆さんのキャラクターが1人1人すごく際立っていたので、私も濃いキャラクターを作っていかないとですね」

 細川徹が作・演出し、主演を皆川が務めた舞台には、2年前の『3年B組皆川先生~2.5時幻目~』に乃木坂46から清宮レイが出演している。

「レイちゃんもすごく振り切って演じていました。歌も踊りもあって、今回も『あれくらいのパフォーマンスが求められるんだな』と身構えつつ、レイちゃんが見せていた存在感に負けないように頑張りたいと思っています」

 金川が演じるのは「新人ドジっ子ナース」。やる気はあって一生懸命だが、血とカタカナが苦手で、看護師としては心もとないが、かわいさと愛嬌(あいきょう)で許されてしまう。脚本の細川氏からも「天然」と評された金川が、等身大で向かっていけそうな役柄だ。

「私、日常的にドジが多いんです(笑)。なので、私自身のドジエピソードをメンバーに聞いたり、メモして『ドジキャラを固めていこうかな』と思っています」

 言い間違いや勘違いもやってしまうと話していた矢先に、「『フランクフルート』……いや、フランクフルトだ(笑)」としゃべってしまい、取材の場に笑いが。そして、「フランクフルトとコーンフレークがごっちゃになっていたときがありました。言葉の意味より先にリズムで覚えてしまうみたいですね」と釈明し、また笑わせた。

昨年は日本ハムファイターズの『きつねダンス』を踊る姿も話題を呼んだ【写真:舛元清香】
昨年は日本ハムファイターズの『きつねダンス』を踊る姿も話題を呼んだ【写真:舛元清香】

『ラヴィット!』出演で鍛えられた“アドリブ力”

 これまでも、2020年の日本テレビ系『ノギザカスキッツ』、21年のテレビ東京系『芸人動画チューズデー』、22年のTBS系『ラヴィット!』で芸人と共演し、コントやアドリブの度胸もついてきた。

「『ラヴィット!』は特にファミリー感がある現場で、私がどんなボケをしてもツッコミを入れてくれていて。逆にオンエア前に打ち合わせをしていても、アドリブでボケてくださったりなので『どうリアクションすればいいか』の引き出しが鍛えられたかなと思います。この舞台も少人数で家族感があるので、のびのびとアドリブを試していきたいですね」

『ドクター皆川』では毎日アドリブが繰り出され、ドタバタ劇が展開されそうだ。だが、金川は「私の中にNGはありません。変顔でもむちゃぶりでも、怒られない限り何でもやります」と宣言。作品を盛り上げるために、三枚目に徹することも辞さない覚悟だ。

「乃木坂のメンバーにもファンにも私のドジっ子ぶりも見てほしいですね。特に弓木奈於ちゃん! よく一緒にいてよく笑う子なので、客席から舞台を盛り上げてくれれば(笑)。でも、本番中に見かけたらかえって緊張してしまうので、さりげなく見に来て、幕が下りるときにコンタクトをくれるとうれしいです」

 金川は乃木坂46加入から6年目のグループ4期生。2年目でファッション誌『Ray』専属モデルに選ばれ、昨年は『きつねダンス』で、地元の北海道日本ハムファイターズとコラボ。天然ぶりや明るいキャラクターをファンに見せているが、「感情表現が苦手です」と明かした。

「感情を態度で伝えることが苦手なんです。セリフ回しも棒読みのようになってしまって、初めての舞台(『3人のプリンシパル』/19年)のときも、『セリフや喜怒哀楽って、どう表現したらいいんだろう』と途方に暮れてばかりでした。だからこそ、過去のお芝居でも演じる役に振り切っていける楽しさが実感できました」

 一方で、「役に没頭する方がかえって気負わずにいられる」という感覚もあったという。4期生だけで出演した初めてのドラマ、Lemino『サムのこと』でのことだ。金川は借金を抱える女性・スミを演じていた。

「私と全然違うキャラクターで、特徴も際立っていたので、かえって思い切って役を研究していけたんですね。家を出て現場に向かう時からスミのモードに切り替えたりして、自分じゃない生活を送っている感覚を楽しめていました。自分の感情については、家族と毎日電話で話していると、『こういう気持ちはこう話せばいいんだ』と気づくことも多くて、お芝居のためにも『もっと素直に気持ちを出そう』と思っているところです」

「本番中に降ってくるアドリブで楽しんでもらいたいです」と意気込む【写真:舛元清香】
「本番中に降ってくるアドリブで楽しんでもらいたいです」と意気込む【写真:舛元清香】

演技経験のある乃木坂46メンバーの姿に刺激

 多くの演技経験のある乃木坂46メンバーのことも気になっている。

「山下美月さんや遠藤さくらちゃんのお芝居が好きです。美月さんは役に振り切りながら、美月さんらしさも出しているところが『すごいな』って思います」

 同期の遠藤は今夏、FODオリジナルドラマ『トラックガール』でトラックドライバーの主人公を演じた。金川は大いに刺激を受けている。

「さくちゃんはドラマで見ると、普段の彼女ではないんです。別人になりきっているさまは私にとって大発見でしたし、それくらいの驚きを私も客席に届けられるようにしたいですね」

 舞台では、乃木坂46のライブと同じく客席からの反応も追い風になりそうだ。

「友達やファンの方と目が合うと本番でも笑ってしまいそうです(笑)。とにかく『金川紗耶』に戻ってしまわないで、役になりきりながら、どこまでが台本でどこまでがアドリブかわからない。そんな笑いをお見せしたいなと思います」

 グループ外の仕事はテレビで重ねてきたが、舞台では初めて。「人見知りの改善」も目標にしている。

「グループ外の仕事現場ではクールになってしまって、人に話しかけたくてもちゅうちょしてしまうこともありました。ただ、大人計画さんの舞台は毎回、演者同士がすごく仲がいいとお聞きしているので、私も素直になって、皆川さんはじめ共演者の皆さん仲良くなりたいです」

 北海道から単身上京し、メンバーと多くの体験と時間を過ごしてきたが、コメディーにとどまらない俳優業での目標もできたようだ。

「ドジな役なので『いつもの私でもいいんだ』と思えば、リラックスして舞台に立てそうです。そして、私はホラーが大好き! 今回の経験もチャンスにして、いつか怖い作品で恐怖で思いきり絶叫したり、豹変(ひょうへん)する姿で皆さんを驚かせてみたいです」

 コントで鍛えたコメディエンヌぶりを開花させるチャンス。その先に、まだ誰も見たことがないオリジナルの「やんちゃんスタイル」をつかむ可能性が広がっている。

□金川紗耶(かながわ・さや)2001年10月31日、北海道出身。18年8月、坂道合同オーディションに合格し、乃木坂46・4期生としてデビュー。19年から女性ファッション誌『Ray』専属モデルを務める。22年に乃木坂46の31thシングル『好きというのはロックだぜ!』で初選抜入り。同年4月からは1年間、BSテレ東『東京パソコンクラブ~プログラミング女子のゼロからゲーム作り~』のレギュラーを務めた。今年11月からは、『乃木坂野球部』メンバーとして『eBASEBALLプロスピAリーグ』のスペシャルサポーターを務める。愛称は「やんちゃん」。165センチ。血液型O。

○『ドクター皆川~手術成功5秒前~』
2023年10月12日(木)~10月29日(日)/本多劇場
作・演出:細川徹
出演:皆川猿時、荒川良々、牧島輝、池津祥子、村杉蝉之介、上川周作、金川紗耶(乃木坂46)、早出明弘、本田ひでゆき(本田兄妹)
制作協力:大人計画
企画・製作:有限会社モチロン

ヘアメイク:東門稚乃、スタイリスト:松島茜(io)

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