イジリー岡田はなぜ、乃木坂46メンバーから愛されたのか 『ギルガメ』で鍛えた観察眼

アイドルグループ・乃木坂46やAKB48の冠番組に出演してきたイジリー岡田。番組内では、ブリーフ一丁で“高速ベロ”をさく裂させ、多くのメンバーを震撼させてきた。その姿は、ただの“変態おじさん”にしか見えないが、メンバーやファンからは、絶大な信頼と人気を得ている。その理由を本人に聞いた。

インタビューに応じたイジリー岡田【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じたイジリー岡田【写真:ENCOUNT編集部】

冠番組『NOGIBINGO!』で5年間司会 メンバーの“違う”表情を引き出す

 アイドルグループ・乃木坂46やAKB48の冠番組に出演してきたイジリー岡田。番組内では、ブリーフ一丁で“高速ベロ”をさく裂させ、多くのメンバーを震撼させてきた。その姿は、ただの“変態おじさん”にしか見えないが、メンバーやファンからは、絶大な信頼と人気を得ている。その理由を本人に聞いた。(取材・文=中村智弘)

 AKB48の冠番組やイベントなどに出演してきたイジリー。2013年からは乃木坂46の冠番組『NOGIBINGO!』(日本テレビ系)がスタート。司会を5年間務めた。プロデューサーの秋元康氏から直々の“指名”があったという。

「秋元先生や番組プロデューサーの中で、番組をやるにあたって、乃木坂46は“お嬢様”キャラだが、その真逆のタレントは誰だという話になったそうなんです。その時に、私の名前が出た。“高速ベロ”でメンバーと対峙した時、お嬢様たちはどのような表情をするのか。その“化学反応”を見よう、ということだったようです」

イジリーとメンバーの“化学反応”は見事にマッチし、『NOGIBINGO!』はシーズン10まで続いた。一体、どのようなところが支持されたのか。

「やっぱりファンって、笑顔も好きですけど、嫌がる姿もたまらないという心理があると思うんです。もう、笑顔は分かっていますから、メンバーの“違う”表情を見てみたい。そこを引き出せるのは私ということで、キャスティングされたのではと思っています」

『NOGIBINGO!』のシーズン2が始まる前、隠しカメラのある部屋で、「MCが再びイジリーが務める」と伝え、メンバーらの反応を見るというドッキリ企画を実施したことがあった。そこで、生田絵梨花は「イジリーさんはカメラが回っている時と回っていない時の優しさが違う。カメラが回ってない時のほうがいい」と話した。また、別のラジオ番組で、白石麻衣が「イジリーさんには愛がある」とも語っている。

「“高速ベロ”も最初は嫌がっていましたが、途中からメンバーたちが全然、避けなくなっちゃったんです。『なんで避けないんだよ』と言うと、いくちゃん(生田絵梨花)からは『だって、イジリーさん、ベロ、綺麗だもん』と言われました。深川麻衣ちゃんが卒業する時に、ブリーフ一丁で登場したら、『イジリーさん、すごい、足綺麗』と言われてしまって…。番組ではすごくいじめていましたが、本当はこの人はキャラクターでやっているんだというのを、すぐに見抜かれていたんでしょうね」

 番組が始まった当初、イジリーもスタッフも誰一人、メンバーのことが分からない状態だった。スタッフと「しゃべれるのは、この子とこの子」「困ったら、この子とこの子に振ってください」などと打ち合わせを重ねた。

 各メンバーのアンケートも入念に読み込んだ。印象的だったのは西野七瀬。アンケートには「バラエティーが苦手です。本当はやりたくない」と書かれてあった。収録で泣いてしまった彼女に、イジリーは「バラエティー、苦手だもんね」と優しく声をかけた。

「西野には『無理しないで、2回やって1回休んでもいいからね』と言ったら、本当に仕事で休むようになって、俺が休ませたみたいになっちゃっていて…(笑)。そうやって、メンバーの特性をできるだけ把握するようにしていました。『NOGIBINGO!』は1日の収録で3本撮るんです。1本目であの子が話せていなかったから、2本目では話を振ってあげようとか、全員が話せるように、バランスを整えるのは注意してやっていました」

 こうしたイジリーの“気遣い”は、『ギルガメッシュないと』で鍛えられたのかもしれない。1991~98年までテレビ東京系列で放送された深夜番組で、コンセプトは「男も楽しめる、女の子のためのエッチ番組」。イジリーもセクシータレントらとともに出演していた。

 当時の番組プロデューサーからは「セクシーグループ5人組がスタジオに入ってきた時、2人が手を繋いで、もう2人も手を繋いで、1人が残っていたら、この1人の子は仲間からはぐれちゃっているから、気にして声をかけたりしてあげてください」と頼まれたという。

 新しく番組に入ってきて、うまく話せなかったタレントがいたら、共演の山崎まさややスタッフとともに、居酒屋に誘った。そこで弾けたら「次の週から、こんな感じでやればいいんだよ」と伝えたという。

「その子が自分を出せるように、色んなことをやっていました。現場の雰囲気も画面から出て伝わってしまう。『ギルガメ』は結構、ハチャメチャにやっていそうで、実は繊細に進めていましたね」

 乃木坂46にとって毎年恒例となっている神宮球場ライブ。イジリーも番組プロデューサーとひっそりと訪れたことがある。三塁側内野席で見て、帰ろうとした時のことだった。ファンが「イジリーだ」と気付いてしまったのだ。

「これまで散々、乃木坂メンバーいじめてきたので『バレたら、殺される』と思っていました。一塁側は気付いていなかったのですが、三塁側は『イジリーがいるぞ』と騒然となった。でも、そのあと、『イジリー』コールで見送ってくれたんです。少しは認められたのかなあと思って、うれしかったですね」

 イジリーの“メンバーへの愛”は、確かにファンに届いていた。

□イジリー岡田(いじりー・おかだ)本名:岡田昇。1964年9月23日、埼玉県出身。86年、フジテレビ系『発表!日本ものまね大賞』に出場し敢闘賞。87年、ホリプロ入り。91年にスタートしたテレビ東京系『ギルガメッシュないと』にレギュラー出演。その後、『AKBINGO!』『週刊AKB』『AKB48 ネ申テレビ』などに出演。2013年にスタートした日本テレビ系『NOGIBINGO!』で司会を担当する。

次のページへ (2/2) 【動画】乃木坂46にブリーフ一丁で“高速ベロ”…当時「めちゃめちゃ叩かれました」と振り返る番組プロデューサー
1 2
あなたの“気になる”を教えてください