家族経営の洋菓子店が発したSOS、“店主の叫び”が話題を呼びまくって…平均以上の売り上げに
シャインマスカット、マロンなど季節のフルーツや果実をふんだんに使ったケーキがガラスのケースの中に並ぶ洋菓子店。香ばしいキャラメルソースとバニラビーンズの香りが魅力的なプリンなど、あれもこれ目移りすることも少なくないはず。SNSでは「ケーキがああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!! 減りまっせえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!!!!!!!!!」という店主の叫びが注目された。エベレストの頂上から地上で暮らすスイーツ好きに向けた悲痛な声は、京都府民らの心をがっちりつかんだようだ。投稿した菓子工房 菓楽里(からくり)(@Kyoto_karakuri)に聞いた。
京都御所西で20年続く洋菓子店
シャインマスカット、マロンなど季節のフルーツや果実をふんだんに使ったケーキがガラスのケースの中に並ぶ洋菓子店。香ばしいキャラメルソースとバニラビーンズの香りが魅力的なプリンなど、あれもこれ目移りすることも少なくないはず。SNSでは「ケーキがああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!! 減りまっせえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!!!!!!!!!」という店主の叫びが注目された。エベレストの頂上から地上で暮らすスイーツ好きに向けた悲痛な声は、京都府民らの心をがっちりつかんだようだ。投稿した菓子工房 菓楽里(からくり)(@Kyoto_karakuri)に聞いた。
烏丸一条にある虎屋本店、本田味噌本店など名店が多い京都御所西地区。穏やかな街並みに似つかわしくない、断末魔のような叫びが投稿されたのは、9日9日の午後2時前のことだった。
「ケーキがああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!! 減りまっせえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!!!!!!!!!(エベレストの頂上から叫ぶ感じで)」というコメント共に投稿された3枚の写真には、20年前のオープン当時から人気ナンバー1の「モンブラン」、1日8個限定の「エクレア」などおいしそうなケーキがずらり。午後3時のお茶の時間を前に、天候不順でもないのに客足が鈍かったこの日、店主は思い切った行動に出た。
「日頃から同じくらいの量を出していました。夏場は閑散期もありますが8月も終わり、少しずつ客足が増えるかなと思っていたのですが静かな日が多く……。商品が余ることもあったので、これまでも自虐ネタ風につぶやくことはありました……。今回も、どうしてもお客様が来ない、どう呼びかけよう……と試行錯誤して。叫ぶ→山を思い浮かべ、富士山はちょっと低いかな?と高い山を連想して、エベレストを選んだんです…」
叫び終え、投稿ページに目を落とすと「今からああぁぁぁぁぁぁぁぁ。買いにいいぃぃぃぃぃぃぃぃ。行きまあああああああああす(比叡山から叫ぶ感じで)」、「近くなら、行きたあああああああーいいいいいいい! 大人買いするーるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる!」と店主と同じ熱量を感じる言葉が寄せられた。次々に現れる賛同者に胸をなで下ろした店主は、「食べたいです」というコメントに対して、「ドローン技術が私にあれば…笑」とユニークなアイデアで返す余裕も生まれたほど。来店を希望する声は、京都を飛び出し大阪、東京など各地に広がっていった。
「ありがたいことに、いつも利用してくださってる常連様も多数こちらのアカウントフォローしてくださってるので、見てすぐご近所の方が来てくださったり近場の方が次々と買いに来てくださりました。結果的に少し商品は残ったもののほぼ売れました。久しぶりに平均以上の売り上げが出てびっくりでした。お店に入ってくる時に『X見てきました!』や、商品お渡しする際に『見てきました』と言っていただいたり。ほとんどのお客様が声をかけてくださりました。ごあいさつできる時は、直接私もお客様にお声がけを。ケーキを食べる前のお写真、食べた後の感想をまたXにあげてくださるお客様が数人いて。『おいしかったです!』『また行きます!』と言っていただけてたのが本当にうれしかったです」と激動の1日を振り返った。
買いやすい価格、同じ味を作り続けることが信条
熱いコメント、そして味で、お客さんの心をわしづかみしたケーキは、京都の人気洋菓子店・マールブランシュでオープン当初から在籍していた店主の父が手塩にかけて生み出したものばかり。ケーキへの愛情は「レアチーズケーキ」なら「冷たくするのがおすすめのたべ方です」。「苺ショートケーキ」なら「北海道産上質の生クリームに苺をサンド」など、思いがあふれる手書きのポップからもうかがうことができる。
「父はマールブランシュにオープン当初からいたパティシエです。山科で工場長もしておりました。その後色んな店舗でも修行を積み独立。今は菓楽里のチーフをしています。父、母、私、アルバイトさんが1人ですが、ほぼ家族で営業している街のケーキ屋さんです。チーフがいつも言うのは『お客様が買いやすい価格帯で、同じ味を変わらず作り続けること。お客様に喜んでもらうことが第一』ということ。今は映えスイーツ、流行スイーツなどありますが、当店は昔からある商品をずっと作り続けています。昔ながらの普通のケーキでも『また来たい』と思っていただけるよう、そんなお店を目指しております」
20年前のオープン当初からの常連客なども多くいる同店。1年を通して季節にあったさまざまな商品が店頭に並ぶという。「今なら秋の商品。かぼちゃを使用した『かぼちゃのモンブラン』、鳴門金時をそのまま使用した『スイートポテト』、『栗のミルフィーユ』など。オープン当初から人気のモンブランもショーケースに並ぶ際は随時SNSでお知らせ致します」と教えてくれた。
2.5万件ものいいねを集めたことについて、「チーフの経歴はアカウントに載せていましたが、ポストを見てお客様から『元マールブランシュの!』と多く反応をいただきました。また『以前は近くで利用していたけど、今は遠方で行けない』と言う方からもリポストで温かいメッセージをいただきました。『京都観光の際に行きます!』という声もうれしかったです。皆様のリプ、リポストを見ていると、私が思っている以上に(店を)ご利用いただいてるお客様が多く本当にうれしい気持ちになりました」と感謝。
続けて「今の時代、やはりSNSが主流になっていて自分で何か発信しないと皆様に知ってもらえない、気付いてもらえないことがあったりします。『父はすごい経歴を持ったパティシエであるけれど、あまり皆様にこのケーキのおいしさを知ってもらえてない。父は今も現役で頑張っている』。このもどかしさが私にはあり、いつの間にか一緒に仕事をするようなってからは、お店の知名度を上げるとともにとにかくケーキのおいしさを広めようとコツコツSNSを頑張ってきました。私も父のケーキのファンだから」と思いを込めた。
店舗の営業時間は午前10時~午後7時。月・火曜日は定休日。詳細はXか店のインスタグラムなどで確認を。