吉田類、初めての取材会でハイボールおかわり 名物番組は「気が付いたら」20年 “酒場の流儀”を伝授

「酒場詩人」こと吉田類が、自身のレギュラー番組『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS、月曜午後9時)が9月で放送20周年を迎えたことを記念し、都内で取材会を行った。赤坂の鶏ダイニングで記者陣と「乾杯!」。ハイボールをおかわりしながら約1時間、酒場談議に花を咲かせ、“類さんらしい”心温まる空気が広がった。

ハイボール片手に番組20年の思いをしみじみ語った吉田類【写真:ENCOUNT編集部】
ハイボール片手に番組20年の思いをしみじみ語った吉田類【写真:ENCOUNT編集部】

『吉田類の酒場放浪記』 原点は吉祥寺のいせや総本店 番組初の海外ロケ特番も

「酒場詩人」こと吉田類が、自身のレギュラー番組『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS、月曜午後9時)が9月で放送20周年を迎えたことを記念し、都内で取材会を行った。赤坂の鶏ダイニングで記者陣と「乾杯!」。ハイボールをおかわりしながら約1時間、酒場談議に花を咲かせ、“類さんらしい”心温まる空気が広がった。(取材・文=吉原知也)

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「これがあるほうがいいでしょ」。20年で初めての記者を集めての取材会。吉田は会場に入ってくるなり、勢いよくハイボールを注文した。「お酒を飲んで楽しんで、気が付いたら20年です」と心境を語った。

 74歳を迎えても、「お酒は自分にとっての薬だから元気なんですよ。全国の酒文化の向上に努めているのですが、(酒が)回り始めたら、そんなことは考えていない(笑)。酔っぱらって気持ちよく終われれば。そう思っているんですよ」と、グラス片手に笑った。

 番組は2003年9月に誕生。当初は大人の趣味を紹介する番組の1コーナーだったが、08年4月に単独番組に。09年4月にレギュラーで「月曜夜9時」の1時間枠となり、21年2月には放送1000回を達成した。オープニング曲『Egyptian Fantasy-エジプトの幻想-』は、もはや月曜夜の定番曲。河本邦弘によるナレーションも名物になっている。酒場の名店で飲んで食べて、お酒を通した人の縁を楽しむ吉田の姿は、多くの視聴者に愛され続けている。

 20年前の9月、東京・吉祥寺の焼き鳥の名店「いせや総本店」が初回放送の舞台となった。そこから東京都内の下町酒場を中心に巡り、全国を飲み歩いた。9月8日時点で、放送話数は1143回、店舗数は1121軒を数える。新型コロナウイルス禍の苦しい時期も、自宅ベランダでグランピングの“お家飲み”やキャンプ企画を新たに展開し、休まず放送を続けてきた。

 高知出身で、若い頃はヨーロッパを放浪して絵を学んだ経験も。下町酒場のルポ執筆に取り組んだことで、「東京の立ち飲み屋をはやらせたのは僕なんですよ」。関係者の目に留まり、テレビ出演の機会が巡ってきた。吉田が出した条件は非常にユニークなもの。「僕はただの画家の物書き。『ただ飲んで酔っ払いますよ。それでよければやるよ』ということで始まったんです。こんなに長く続くとは思いませんでしたよ。地上波ではなく、BSだからできたこと」と実感を込める。

 印象に残っているのは、やはり最初の一歩。「いせやは若い頃から通っていてね。一杯飲んでから近くの喫茶店に行って、原稿を書いていたんだよね。ちなみに、初回放送は(フォーク歌手の)常連だった高田渡さんが映り込んでいるんですよ」。

 長年培ってきたという“酒場の流儀”、“酒場の掟”を聞いてみると、「酒場は人生の学校なんです。面白いから飽きずに酒場を回っていける。大衆酒場に1人で行けるコツですか? 敷居は高いと思います。それはもうしょうがない。でも、僕はもともと食事は酒場で食べていた生活習慣があったし、ヨーロッパで初めての店にたくさん行って、ひと晩で国も言語も変わる経験をしてきて、最初から慣れているんです。コツを言うならば、構えないこと。カッコつけずに入っていくこと。すでに飲んでいるお客さんたちが安心できるようにお店に入っていくことですね。それで、最初に乾杯をしましょう。立ち飲みでは、常連のテリトリーを侵さないこと。僕は間合いと呼んでいるのですが、物理的にも精神的にも距離感を保つこと、酔っても節度を守ることが、スマートな大人の飲み方ですよ。泥酔はダメです」。含蓄ある教えに、記者たちはうなずくばかりだった。

 今月18日には番組初の海外ロケとなる2時間特番『吉田類の酒場放浪記 祝20周年初海外SP 台湾グルメで乾杯!』の放送を控えている。台湾の酒文化に触れる盛りだくさんの内容で、「改めて台湾と日本の歴史を知ることができました。どこもおいしくて、たっぷり楽しませてもらいました」。現地で台湾のファンと交流できたのもいい思い出だ。人気観光地・十分でランタン(天燈)飛ばしにも挑戦。ランタンに書いた目標は「目指せ、30周年」。意気軒高の願いを込めた。

 東京の神楽坂、神田かいわいがお気に入りで、冒険するなら下町。全国のたくさんの酒場ののれんをくぐってきたが、「まだまだ取りこぼしがいっぱいあるんですよ」という。地元・土佐のオススメの“酒の肴”を聞くと、「カツオの塩たたきが好きですね。それに、ウツボのしゃぶしゃぶは最高です」と満面の笑み。「まだまだ旅を続けないと、日本の酒場を知り尽くせないと思っています」。希代ののんべえの放浪はまだまだ続いていく。

次のページへ (2/2) 【写真】一杯ひっかけて幸せそうな類さんの表情
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