新日本プロレスが誇るジュニアの2大スター高橋ヒロムとエル・デスペラードの野望
新日本プロレスが誇るジュニアの2大スター、高橋ヒロムとエル・デスペラードが新日本から飛び出し、新たな闘いの道を開拓している。
毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.161】
新日本プロレスが誇るジュニアの2大スター、高橋ヒロムとエル・デスペラードが新日本から飛び出し、新たな闘いの道を開拓している。
芸能界屈指の肉体派が絶賛する驚きのトレーニングアイテムとは?
まずはデスマッチに乗り出したデスペラード。葛西純、ジョン・モクスリーら名うてのデスマッチ戦士と、凶器で渡り合い血だるまファイトを繰り広げている。プロレスラーになったのだから「プロレスをすべてやりつくす」が信条だという。
リングだけが戦場ではない。路上、マット……対戦相手とぶつかり合えるなら、かまわない。デスマッチもプロレス。あらゆるプロレスを味わい尽くす。デスペラードのバトルフィールドは、とてつもなく広く深く、底が見えないのだ。
業界一の新日本だから「プロレス」を守ることも求められているかも知れない。しかし「プロレス」の枠組みにとらわれ過ぎるのではなく、逆に新日本だからこそ、あらゆるスタイルに挑んでいくことも必要ではないか。デスペラードの心中には、こんな思いが渦巻いているはずだ。それはまさに新日本プロレス創設者・アントニオ猪木さんの「いつ何時、誰の挑戦でも受ける」というファイティングスピリット=闘魂だ。
もちろんグランドレスリングも得意。華麗な空中弾も披露する。加えてデスマッチの土俵にも果敢に乗り込んでいく。とことんプロレスをやり切りたい。殻を打ち破り、可能性を大きく広げたい。デスペラードは「闘いの大海」をどこまでも進んで行く決意を固めている。そこで、まだ見ぬ大陸を発見するかも知れない。
そして、IWGPジュニアヘビー級王者・ヒロムだ。他団体にどんどん参戦している。ベルト持参し見せつけに行く。全日本プロレス、ノアを始めドラディション、ドラゴンゲート、フリーダムズ、GLEATなど日本の各団体。加えてAWE、ROH、CMLLなど海外の団体にも乗り込んでいる。みちのくプロレスやDDTなどのビッグマッチ参加も予定されている。
今や、世界中のプロレスファンが注目する新日本のチャンピオンが、ベルト持参で渡り歩く。時代やシステムは違うが、かつてのNWA世界ヘビー級王者のチャンピオンスケジュールを思いだすオールドファンもいるのではないか。
たとえノンタイトル戦やタッグマッチでも、負けはもちろんぶざまなファイトは許されない。重い十字架を背負っての「プロレス行脚」を、突き進むヒロムのプレッシャーは大きいはず。
それでもヒロムは楽しんでいるようだ。ホームの新日本では10月9日の東京・両国国技館大会で、IWGPジュニアV6戦が控えている。マイク・ベイリー、リオ・ラッシュとの3WAYマッチとなる。挑戦者同士で勝敗が決してもベルトは移動する。王者にとっては何とも厳しい闘いとなるが、大きな視野で世界を見つめているヒロムにしてみれば、超えるべきハードルのひとつにすぎないだろう。
ヘビー級王者よりも自由に動きやすいジュニア王者の特権をフル活用し「ヒロム世界制覇」プランを、着々と進めるのみだ。ヒロムは人気がある。LINEのアイコンに使ったり、愛犬の名前を「ヒロム」にしたりという熱狂的ファンも多い。行く先々で新たなファンを獲得している。
デスペラードとヒロム。ともに強烈なキャラクターを持ち、従来の常識を打ち崩さんと行動している。2人とも、一気に経験値が上がった。さまざまな団体のリングで、いろいろな選手と対戦することによって得るものは大きい。
リングの大きさやマットの硬さ、ロープの張り、コーナーマットの形状、ファイトスタイル、試合の間、ファンの声援、空気感……。新鮮な驚きを実際に肌で感じているはず。そしてそれをホームリングに持ち帰れば、他の選手の刺激にもなる。「経験に勝るものなし」だ。ヒロムもデスペラードもイキイキと輝いている。
積極的に闘いの場を広げ、次々と新手を打ち出す2人の侍から、いよいよ目が離せない。