制服を尊ぶ22歳、久間田琳加「あと3年は着たい」と笑う理由 映画『夜君』でマスク女子高生

俳優・モデルの久間田琳加(22)が映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(9月1日公開、酒井麻衣監督)に、JO1の白岩瑠姫とともにW主演。本心を隠すためマスクが手放せない茜役は、今まで演じた役でも一番自分に近かったと語る。そのワケは?

人前ではマスクが手放せない主人公を演じた【写真:冨田味我】
人前ではマスクが手放せない主人公を演じた【写真:冨田味我】

『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』で白岩瑠姫とW主演

 俳優・モデルの久間田琳加(22)が映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(9月1日公開、酒井麻衣監督)に、JO1の白岩瑠姫とともにW主演。本心を隠すためマスクが手放せない茜役は、今まで演じた役でも一番自分に近かったと語る。そのワケは? (取材・文=平辻哲也)

 本作は汐見夏衛の同名恋愛小説を『美しい彼』シリーズ、『明日、私は誰かのカノジョ』で知られる酒井麻衣監督が映画化。優等生の茜(久間田)と、自由奔放で絵を描くことを愛する銀髪のクラスメイト・青磁(白岩瑠姫)の物語だ。茜は、正反対の性格の青磁を苦手に感じていたが、青磁の描く絵と、まっすぐな性格にひかれ、2人は少しずつ距離を縮めていく……。

 茜は自分の気持ちを隠し、人前ではマスクが手放せない主人公だ。

「私も自分の感情をすぐに言葉にできないタイプなので、役に共感できました。特に私も、中学高校時代は、自分の気持ちを表現するのが難しかったんです。ちょっと回り道してしまう、そんな昔の自分の性格に似ていたので、分かるところがありました」

 コロナ禍を経て、マスクの意味合いも変わってきたが、実際、久間田自身もプライベートではマスクをつけることが多いという。

「大人になるにつれ、自分の意見を言わないといけない場面も増えてきたので、本音を伝えるように心がけてきましたが、マスクは何かお守り的な存在にはなっていると思います。自分の気持ちを隠しやすい。だから、今でも茜と似たところはあるのかな」

 ただ、前半部分のマスクをつけたままの芝居に悩んだ。

「原作や台本を読んだ際、非常に不安に感じました。実際、口元は表現する時にとても重要だと感じました。顔の半分が隠れていることで感情を伝えるのが難しかったです。鏡を使って表情の練習をしましたが、監督からは『目線を下げて、マスクを上げるようにした方が良い』というアドバイスを受けました。それによって、役の感情がより伝わると感じました」

 茜がマスクを外して、青磁に思いをぶつけるシーンが前半のヤマ場にもなっている。

「すごくドキドキしたんですけど、テストの段階から逆に気持ちが溢れすぎたほどでした。心情的には辛いシーンでしたが、気持ちを解放できたので、すごくすっきりしました。このシーンは自分の中でも大きなポイントだったと思っています」と振り返る。

 白岩とは初共演。最初はあまり話す機会はなかったが、次第に打ち解けたという。

「とても自由な方で、毎日お菓子を食べていたり、撮影現場のムードメーカーでした。彼の髪の色も目立っていて、話題の中心になっていました。共通の趣味である少女漫画の話題で盛り上がったりしました。演じている時と休憩時のギャップがあまりなく、私も役に入りやすかったです」

 ドラマ『お茶にごす。』『青春シンデレラ』のような学園モノなどで制服を着る機会も多いが、「先輩方からは『高校を卒業してからの方が制服をたくさん着るよ』と聞いていました。本当にそうなったと思います。学生時代は、制服をすぐにでも脱ぎたくて、大人になりたかったですが、今は制服が尊く感じます。だから、お仕事で制服を着るのは嬉しいですね。制服は、あと3年は着たいです」と笑う。

酒井監督とのタッグは念願だったと話した【写真:冨田味我】
酒井監督とのタッグは念願だったと話した【写真:冨田味我】

『明日、私は誰かのカノジョ』の大ファンで、酒井監督とのタッグは念願だった。真冬、太陽の美しい早朝や夕方を狙っての撮影には大変さもあったが、特にラストシーンの美しさには報われた思いもあった。等身大の主人公を演じた本作はどんな作品になったのか。

「酒井監督から『もっとやれるよ。いけるよ』と励ましの声をかけていただき、そういう瞬間に『できているかも』と感じることができました。女性ならではの視点があって、キュンとするポイントもあるので、女性の方には共感していただけると思います。お芝居の面でも、役作りの過程で『こういう時、私はこう思っているんだ』と自分を再認識できたんです。この作品は私にとって、自分を見つめ直し、自分をより深く知ることができた作品になりました」と語る。

 最近は赤楚衛二主演の日本テレビ系『こっち向いてよ向井くん』では、向井くん(赤楚)を翻弄するスパイス&バーのアルバイト店員役、蒔田彩珠主演のNHK夜ドラ『わたしの一番最悪なともだち』では就活生役などさまざまな役に挑戦しているが、「いろんな役に挑戦させてもらえるのはうれしいですが、最近思ったのは、結果、どれも難しいということ。どれも難しすぎちゃって、いつも悩みながら楽しんでいます」と微笑んだ。

□久間田琳加(くまだ・りんか) 2001年2月23日生まれ、東京都出身。雑誌「nicola」でモデルデビュー。現在は「non-no」専属モデル。ドラマ『ブラザー・トラップ』、映画『おとななじみ』(23)で主演を務める。その他の主な出演作に連続ドラマW-30『ながたんと青と-いち日の料理帖-』Netflixシリーズ『君に届け』(23)などがある。現在、日本テレビ系ドラマ『こっち向いてよ向井くん』第二話に出演して話題を集めた。

【STORY】 無彩色で息苦しいこの世界。救い出してくれたのは、“私を嫌い”な君でした――。
マスクが手放せず、周囲の空気ばかり読んでしまう「優等生」の茜。
自由奔放で絵を描くことを愛する、銀髪のクラスメイト・青磁。
何もかもが自分とは正反対の青磁のことが苦手な茜だったが、
彼が描く絵と、まっすぐな性格に惹かれ、茜の世界はカラフルに色づきはじめる。
次第に距離を縮めていくふたりの過去がやがて重なりあい、初めて誰にも言えなかった想いがあふれ出す――。

映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』絶賛公開中

出演:白岩瑠姫(JO1)、久間田琳加、箭内夢菜、吉田ウーロン太、今井隆文/上杉柊平、鶴田真由
監督:酒井麻衣 
原作:汐見夏衛『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(スターツ出版 刊)
脚本:イ・ナウォン 酒井麻衣
音楽:横山克 濱田菜月 主題歌:JO1「Gradation」(LAPONE Entertainment)
製作:『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会 制作プロダクション:C&Iエンタテインメント、アスミック・エース
配給:アスミック・エース
(C)2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会

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