『パヤパヤ』などヒットで人気爆発 レピッシュが結成40周年、フロントマンが明かす亡くなった上田現との約束
『パヤパヤ』『ハーメルン』などのヒット曲を持つミクスチャーロックバンド、レピッシュが9月15日に、川崎クラブチッタ(神奈川)で10年ぶりのワンマンライブ『CLUB CITTA' 35th Anniversary レピッシュ~動~』を開催する。ボーカル・トランペットのMAGUMIが24日に還暦を迎えること、会場が開業35周年を迎える節目ということもあり、お祭りのような内容になるという。MAGUMIに結成40年を迎えたバンドについて、60歳を迎える思いを聞いた。
24日の誕生日で還暦に、健康維持の秘訣は草野球
『パヤパヤ』『ハーメルン』などのヒット曲を持つミクスチャーロックバンド、レピッシュが9月15日に、川崎クラブチッタ(神奈川)で10年ぶりのワンマンライブ『CLUB CITTA’ 35th Anniversary レピッシュ~動~』を開催する。ボーカル・トランペットのMAGUMIが24日に還暦を迎えること、会場が開業35周年を迎える節目ということもあり、お祭りのような内容になるという。MAGUMIに結成40年を迎えたバンドについて、60歳を迎える思いを聞いた。(取材・文:西村綾乃)
MAGUMI、ギターの杉本恭一、ベースのtatsu。1980年代後半から90年代の音楽シーンを彩ったレピッシュのオリジナルメンバー3人が、川崎の舞台に立つのは10年ぶりのこと。ライブを行う川崎クラブチッタは、バンドにとってホームともいえる場所だ。
「ライブを行うクラブチッタが開業したのは1988年。当時はZeppなどのライブハウスがなかったので、スタンディングで見られる大型のハコ(ライブハウス)が出来たことは画期的なことでした。僕らが所属していた事務所(キティ・アーティスト)と会場の設立や運営に携わっていた会社が兄弟会社だったこともあり、よくチッタに立っていました」
90年に初来日したアメリカのバンド、RED HOT CHILI PEPPERSもライブをした歴史ある場所。ホールと違い座席がない会場は、激しい縦揺れも発生した。レピッシュがライブをした夜には、都市伝説のようなエピソードも残っている。
「曲に合わせてお客さんが跳ねたりするので、地震のような揺れが起きていたと聞きました。会場の近くにある雀荘(麻雀店)から、『麻雀パイが倒れた』とクレームがあったみたい。持ち手が分かっちゃうから、ゲームにならないよって。とにかく揺れがひどかったみたい」
何度もライブを行った場所での1番の思い出は、91年に行ったステージだという。
「それまでにリリースした4枚のアルバムを、1日1枚ピックアップして、4デイズのライブを行ったんです。ゲストも招いたりして。その様子は翌年、初のライブ盤『FOUR DAYS in CLUBCITTA ~LA-PPISCH SUMMER LIVE’91~』としてリリースすることもできました」
83年に結成したバンドは、87年にメジャーデビュー。2年後にリリースした3枚目のシングル『RINJIN』(89年)がCDラジカセのCM曲に起用され、メンバーも出演するとその名が一躍向上。トッド・ラングレンがプロデュースした3枚目のアルバム『KARAKURI HOUSE』をリリースした89年には、ファーストシングル『パヤパヤ』がトヨタ・スターレットのCM曲として流れたこともあり、人気を全国区にした。
「『芸能人になる』と熊本から上京して、中学からの幼なじみでもあった恭一とバンドを組んで、東京で出会った(キーボードの上田)現ちゃんが84年に加入。アマチュア時代はアルバムを1枚出すことを目標にしていました。当時は『どんなに頑張ったって3万枚しか売れない。バンドで飯は食えない』と言われた、夢のない時代でした。トヨタの方から『パヤパヤ』をCMに使いたいと連絡をいただいたことが転機になりました。発売時には1万枚しか売れなかった曲を、耳が早い社員の方が気に入って、光をあててくれた。レコード会社は新曲を押したかったみたいですけどね」
おもちゃ箱をひっくり返したようなユニークな音楽性はもちろん、人気が拡大したのは、その高いファッション性も一因にある。
「ロックバンドは汚いというイメージを払拭したかったので、スーツで活動しようと決めました。僕自身ファッションが大好きなので、パンクっぽいもの、デザイナーズブランドっぽいものなどアイデアを出していって。(4枚目のシングル)『Magic Blue Case』の衣装は、黒をベースに恭一は右の袖だけ青くしたり、現ちゃんは背中だけ赤色にしてと指定したんです。これはカッコ良さよりも、後ろから見たときにおさるさんのお尻みたいに見えれば良いなっていう」
上田現代表曲を歌って送り出した告別式
バンドにとって愛されキャラクターだった上田は、2008年3月9日に肺がんのため47歳の若さで旅立った。
「現ちゃんが入ったときに、2つ決まりを作ったんです。1つは『10年たっても古くないものを作ろう』、もう1つは『聴いたことがあるようなメロディーは避けよう』ということ。亡くなる前、三日三晩一緒に過ごしました。息を引き取ったときは悲しかった……。告別式では、(ドラムの)雪好がタンバリンを持って、僕はアカペラで現ちゃんの代表曲『ハーメルン』を歌って送り出しました」
今年はバンド結成40年の節目の年。長い活動の中で1度だけ、「未来が見えず、怯えた時期があった」と明かした。
「24歳でデビューして、ずっと行き当たりばったりでやってきた。CM曲をきっかけにブレークして、東京駅で修学旅行生に『MAGUMIだ!』と囲まれたこともありました。ライブが終わった後に、雑誌のインタビュー取材を受けるなど目まぐるしい日々を過ごす中で、30歳を迎える前に、『いつまでこの体力が続くのか』と恐怖を感じたことがありました。忌野清志郎さんが30歳を過ぎたとき、ジャンプが低くなっているような気がして、30歳の壁ってあるのかなと不安になって。僕ら先輩と呼べる人はいなかったので、アドバイスをもらえるような機会がなかったので、ただただ不安でした」
24日には60歳の誕生日を迎える。80歳で現役を続けるミック・ジャガーの姿を見習い、体力維持のため続けていることがある。
「35歳のときから月に3回、仲間と草野球をしています。打席に立って打ったら、ファーストまで全速力で走るじゃないですか。大人になると日常の中で、全速力で走るなんていうことはなくなってくるから、このときだけでも全力でやろうって。週に1回、合唱の指導をしているのですが、心肺機能に変化がないか自覚するためにも大事な時間になっています。60歳という数字に実感はないのですが、健康でやりたいことがやれたら。自分にストレスをかけないように、好きなことを続けていきたい」
15日のライブでは、キーボードの奥野真哉(ソウル・フラワー・ユニオン)、トロンボーンの増井朗人(Codex Barbes)、ドラムの矢野一成(MOON・BEAM)らサポートメンバーと共に、ヒット曲を披露し節目を盛り上げる。
「ライブのチケットは完売しているのですが、会場に来られない人のために、生配信をすることが決まりました。カラオケボックスでライブを楽しめる企画もあるので、ライブを見て、歌って楽しんでもらいたい」
配信サービスは、PIA LIVE STREAM、Streaming+、ローチケ LIVE STREAMING、楽天チケットが実施。カラオケルームでライブをリアルタイムで楽しめるJOYSOUND「みるハコ」のチケットも販売中だ。
□MAGUMI(マグミ)1963年9月24日、熊本県生まれ。ギター・ボーカルの杉本恭一、キーボード、サックス・ボーカルの上田現、ベースのtatsu、ドラムの雪好と結成したレピッシュでボーカル・トランペットを担当。87年にシングル「パヤパヤ」でデビューした。現在はMAGUMI AND THE BREATHLESSとしても活動中。9月24日には、東京・下北沢CLUB251で還暦ライブを行う。
□レピッシュメンバー情報
杉本恭一は2014年3月20日に、還暦ライブ「KYO1KYO60」を東京・渋谷PLEASURE PLEASUREで実施。tatsuはTHE GOOD KIDSとして、10月29日に東京・渋谷GRITにてライブを行う。そのほか詳細はレピッシュメンバーそれぞれの各公式サイトなどで確認を。
▼MAGUMI OFFICIAL:https://magumi.club/
▼杉本恭一 OFFICIAL:https://kyoichi-s.com/
▼tatsu X:https://twitter.com/tatsu_todoroki