子育て終わって「もうファミリーカーは要らない」 50代女性、学生時代の夢かなえた国産スポーツカー

学生時代に憧れたハチロク、子育てが一段落した今、その夢を存分に謳歌(おうか)している。50代女性会社員の愛車は、2018年式のトヨタ86(後期型)だ。しかも、真っ黒なボディーのところどころにピンク色の意匠を施した、唯一無二のデザイン。“今を楽しむ”ドライブ人生とは。

黒×ピンクのトヨタ86はカーイベントでも注目の的だ【写真:ENCOUNT編集部】
黒×ピンクのトヨタ86はカーイベントでも注目の的だ【写真:ENCOUNT編集部】

2018年式でもうすぐ10万キロでも「もう好き過ぎて替えられない」

 学生時代に憧れたハチロク、子育てが一段落した今、その夢を存分に謳歌(おうか)している。50代女性会社員の愛車は、2018年式のトヨタ86(後期型)だ。しかも、真っ黒なボディーのところどころにピンク色の意匠を施した、唯一無二のデザイン。“今を楽しむ”ドライブ人生とは。(取材・文=吉原知也)

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 大学時代は自動車部。同じ部で夫と出会ったのも、クルマ好きが縁だ。それに、自動車学校の教習指導員を務めた経験もある。「AE86に憧れたのですが、学生時代は買えなかったんです。子育てに励んできて、子どもの手が離れて、それで、『もう大きなファミリーカーは要らない』『久々にマニュアル車に乗りたいな』。そう思うようになったんです」。

 学生時代の“走りたい”という感覚が舞い戻ってきた。

 8年ほど前に86前期型に乗り始め、約3年で現在の愛車に乗り替えた。

「主人に買いたいって言ったら、『買ってもいいよ』って。『でも、色だけは決めさせて』と言われて、黒のボディーカラーになりました」。

 だが、このド派手な見た目。カーイベントでも注目を集めるほどだ。何が起きたのか。

「主人のアドバイスもあって、ホイールをピンクにしてみたら、そこからハマっちゃって……」。ホイールだけでなく、リップスポイラーやサイドミラー、エンジンルームに至るまで、さまざまなところにピンク色のアクセントが入っている。ボディー横の独特なカッティングシートも印象的だ。「主人からは『いい加減にして』と言われているのですが、『きっかけはアナタなのよ』と返しています」と笑う。

 同世代のクルマ仲間とツーリングに出かけたり、バケットシート導入でサーキットで走ったり。それでいて、スーパーの買い物など、普段使いでも乗っている。

「ブイブイ走るわけではありません。私は車庫入れも下手くそなので(笑)。強化クラッチを入れるのは重くて大変なところもありますが、とにかく楽しんで乗っています」と実感を込める。

 目立つカラーリングだが、「ちなみに、スーパーの駐車場は端っこに止めてます。それに信号待ちでも『見られてるよなあ』と思って、ちょっと緊張しちゃう(笑)。『なんでこんな色にしちゃったのか』という声が聞こえてきそうで(笑)」。

 トヨタのスポーツカーが、人生に新たな彩りをもたらしてくれた。「今まで趣味がなかったのですが、今はもうこのクルマに乗るのが楽しくて楽しくて。新しいお友達もできて、長距離ドライブもへっちゃらになりました。1日1回は乗らないと落ち着かない。私にとっての精神安定剤みたいなものです」と語る。

 走行距離はもうすぐ10万キロになる。「これはずっと乗っていきたいです。もう好き過ぎて替えられないです」。青春時代のようなワクワクを感じながら、きょうもハンドルを握っている。

次のページへ (2/2) 【写真】50代女性オーナーの“独特過ぎる”トヨタ86、実際の車体
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