堤幸彦監督、久々の連ドラに感じる手応え 配信全盛の時代に感じる変化「どれだけ話題になるか」

SixTONESの松村北斗、なにわ男子の西畑大吾がダブル主演する、テレビ朝日のオシドラサタデー『ノッキンオン・ロックドドア』(土曜午後11時、全9話)。1、6、9話を手掛けるのが、堤幸彦監督だ。ドラマに限らず、映画、舞台などジャンルレスに活躍するヒットメーカーが、ジャニーズ2人の魅力、ドラマ作りの今を語った。

『ノッキンオン・ロックドドア』を手掛ける堤幸彦監督がドラマ作りについて語った【写真:ENCOUNT編集部】
『ノッキンオン・ロックドドア』を手掛ける堤幸彦監督がドラマ作りについて語った【写真:ENCOUNT編集部】

テレ朝系連続ドラマ『ノッキンオン・ロックドドア』の演出手がける堤監督インタビュー

 SixTONESの松村北斗、なにわ男子の西畑大吾がダブル主演する、テレビ朝日のオシドラサタデー『ノッキンオン・ロックドドア』(土曜午後11時、全9話)。1、6、9話を手掛けるのが、堤幸彦監督だ。ドラマに限らず、映画、舞台などジャンルレスに活躍するヒットメーカーが、ジャニーズ2人の魅力、ドラマ作りの今を語った。(取材・文=平辻哲也)

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『ケイゾク』、『池袋ウエストゲートパーク』、『TRICK』シリーズ、『世界の中心で、愛をさけぶ』、『SPEC』シリーズなど数々のヒットドラマを手掛けてきた堤監督だが、ここ最近は連続ドラマから遠ざかっていた。テレビ朝日の連ドラとしては2007年7月期の『スシ王子!』以来となる。

「映画や舞台、コンサートなどいろいろなプロジェクトに関わっていて、11月の舞台公演の準備やリーディングの舞台も進行中です。最近はテレビの仕事はあまりしていませんが、長いことやっていないのは、依頼がないだけで、やりたくないわけではありませんよ」と笑う。

 同作は、青崎有吾氏の同名小説を原作に、インターホンもドアチャイムもノッカーもない探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」に属する2人の最強探偵が難事件に挑む本格ミステリードラマ。松村は「不可能(HOW)」専門探偵・御殿場倒理を、西畑は「不可解(WHY)」専門探偵・片無氷雨を演じている。堤監督は第1話の1時間SP、6、9話(各30分)の演出を手掛けた。

「原作小説と脚本の完成度が非常に高く、演出の答えが明確に見えたので、迷いはありませんでした。シンプルながらも、的を得た要素が詰まっていたので、非常にやりやすかったです。コンパクトで高品質なミステリーを作りたいと思い、よくあるギャグや冗談、シュールでとっぴな要素は排除しました」

 9月2日放送の6話は、家政婦アルバイトの薬師寺薬子が耳にした会社員の言葉「10円玉が少なすぎる」をきっかけに、御殿場倒理(松村)がその謎を解き明かす会話劇。堤監督が自らドラマ化したいと熱望したもので、しかも、1日で撮りきったという自信作だ。

「本多劇場でそのまま上演できるような面白い内容になりました。短い時間で面白いものを撮ることは、プロの仕事だと思っています。会話だけでの表現は難しいのですが、松村君はそれを見事にやってのけました。さらに、その会話劇が進行している間に、別場所で西畑君が事件を目撃して、そのリアクションをスマホで共有するという部分も非常に面白い展開となっています」

 これまで数多くのジャニーズ事務所所属の俳優たちとタッグを組んできたが、松村&西畑のコンビにもプロ意識と節度を感じたという。

「ジャニーズ事務所の俳優さんに共通するのは真面目さです。松村さんは、二枚目ですが、どんな役でも演じてくれそうな感じがします。動きや性格、さらには昭和風のレトロな魅力も感じるので、今後も非常に楽しみです。西畑君は、独特の勘と役へのそしゃくが素晴らしい。僕が特にいいと思っているのは、(レノア クエン酸 in 超消臭CMの)鬼太郎なんですが、ドラマや映画でも、ああいう役をやってくれるといいなと思います」

 若い2人の俳優とタッグを組む一方、2人の恩師の大学教授役には『ケイゾク』シリーズの渡部篤郎を起用している。渡部とは21年ぶりの再タッグとなった。

「篤郎さんの存在は、このドラマにとって非常に大きなものでした。かっこいい男の役でしっかり締めてくれました。若い主役2人に対するバランスを取る上でも非常に重要でした。彼の演技を見ていて、うれしくなります」

 数々のバディものを手掛けてきたが、コツはキャラクターの違いを明確にすること。

「キャラクター作りがうまくできると、視聴者も物語に没頭しやすくなります。今回はキャラクターがはっきりと分かれていて、彼らの心理や専門的な知識を駆使しての謎解きが展開されます。倒理君の粗暴さと氷雨の常識的な性格の対比は視聴者に楽しんでもらいたい要素の一つです。事務所は東中野という設定ですが、中野サンプラザがチラリと映るのは、70代ロックシーンへのこだわりです」

 最終9話に向けては、「30分ではあるのですが、これまでの展開した謎や関係性について決着をつけていくエピソードとなっています」と明かす。

 昨今、ドラマ業界はTVerなどオンライン配信の登場によって、大きく様変わりをしてきた。そんな状況をどう見ているのか。

「視聴率に関しては2、3年前の常識とは全然違います。以前はこの時間帯で10%に近い数字が目指されていたんですが、今はTVerの回転率や人々の話題としてどれだけ取り上げられるのかが大事。今は放送時間に見られなかった視聴者がスマホで後日視聴するなど、多様な形でコンテンツが消費される時代ですから。一生の中で価値がこんなに激変することはないと感じますが、緊張感を持ちつつ、これからもまい進していきたいと思っています」。今後も高いプロ意識を持って、面白いエンタメを作り続ける。

□堤幸彦(つつみ・ゆきひこ)1955年11月3日、愛知県出身。数多くの人気TVドラマや映画、舞台等を手掛ける。2015年には 『イニシエーション・ラブ』と『天空の蜂』で報知映画賞監督賞を受賞した。

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