【サマソニライブリポ】SEKAI NO OWARI、YOASOBIにファン歓喜の一斉ジャンプ、伝説の英ロックバンド・BLURも登場

国内最大級の都市型フェス『サマーソニック(SUMMER SONIC) 2023』が19、20日の両日、東京(千葉・幕張メッセなど)と大阪(大阪・舞洲ソニックパーク)で開催された。今年の『サマソニ』は史上最速で全種チケットが完売。豪華な顔ぶれで注目度が例年以上だったことを示しており、ENCOUNTは現地で取材。今回のリポート後編では、19日、東京会場に登場したSEKAI NO OWARI(セカイノオワリ:End of the World)、GEN HOSHINO(星野源)、Blur(ブラー)、YOASOBIのステージをお伝えする。

貫禄のステージを展開したSEKAI NO OWARI【写真:ERINA UEMURA】
貫禄のステージを展開したSEKAI NO OWARI【写真:ERINA UEMURA】

SEKAI NO OWARI→GEN HOSHINO→BLUR→YOASOBI、J-POP界と英ロックの大御所に熱狂の5時間

 国内最大級の都市型フェス『サマーソニック(SUMMER SONIC) 2023』が19、20日の両日、東京(千葉・幕張メッセなど)と大阪(大阪・舞洲ソニックパーク)で開催された。今年の『サマソニ』は史上最速で全種チケットが完売。豪華な顔ぶれで注目度が例年以上だったことを示しており、ENCOUNTは現地で取材。今回のリポート後編では、19日、東京会場に登場したSEKAI NO OWARI(セカイノオワリ:End of the World)、GEN HOSHINO(星野源)、Blur(ブラー)、YOASOBIのステージをお伝えする。(取材・文=鄭孝俊)

 午後4時35分。マリンスタジアムのステージにSEKAI NO OWARIの4人が立った。Nakajin(ギター)、Fukase(ボーカル)、Saori(ピアノ)、DJ LOVE(DJ)。手を振りながら姿を見せると、満員の会場が大歓声で包まれた。

 メンバーは『炎と森のカーニバル』『Witch』『虹色の戦争』『RPG』を続けて披露。MCではFukaseが「こんにちは。SEKAI NO OWARIです。暑い中、大丈夫? 無理しないでね。つらそうな人がいたら声をかけてください」と呼びかけた。『Habit』を披露する前には、「ワクチンの副反応で39度の熱が出た日に歌詞を書きました」と苦笑いで告白した。

 続けて『RAIN』『Umbrella』『ターコイズ』を披露。ラストの『DragonNight』では、Fukaseの掛け声「ジャンプ!」に合わせ、観客がジャンプを繰り返した。そして、熱気に触れた4人は会心の笑顔。曲の配列やステージ進行は熟練の域に達しており、野外フェスでの盛り上げ方にも余裕を感じた。

砂浜をファンで埋めたGEN HOSHINO【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】
砂浜をファンで埋めたGEN HOSHINO【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】

「幕張の浜」に設営されたビーチステージでは、午後7時15分にGEN HOSHINO(星野源)が登場する。幕張メッセ内の会場やスタジアムから大勢の観客がビーチへ向かって人波を作り始めた。スタジアムから通路を歩いて砂浜に出ると、左手はるか奥の方にステージが見えてくる。砂に足を取られてなかなか前へ進めない。ステージ近くへの移動をあきらめて足を止め、潮風に乗って響いてくる歌声をのんびりと聴いているファンも多い。

 砂浜には高低があるようで、前方に進むとステージが見えなくなる。逆に後方に移動すると遠くのステージで歌唱する星野の姿がチラチラ見える。『ステージ前はファンで埋まり、楽しそうだな』と想像していると、1曲目の『地獄でなぜ悪い』が始まった。ファンの大歓声が後方まで届く。次いで『ドラえもん』がかすかに聴こえてきたところで、伝説の大物バンド・Blurのステージへ移動。砂浜をザクザク歩きながら来た道を引き返し、マリンスタジアムへと向かった。

伝説のギターでファンを熱狂させたBlur【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】
伝説のギターでファンを熱狂させたBlur【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】

 午後7時30分過ぎ。Blurのステージは既に始まっていた。英国のロックバンドでデビュー当時は「ビートルズの再来」などと注目された。期待通り、90年代の英ロックシーンを代表する存在となり、2012年8月には、ロンドン五輪閉会記念コンサートにヘッドライナーとして出演。約8万人の観客を熱狂させた。約9年ぶりの来日となったメンバーは、デーモン・アルバーン(ボーカル)、グレアム・コクソン(ギター)、アレックス・ジェームス(ベース)、デイヴ・ロウントゥリー(ドラムス)の4人。それぞれが超満員の熱気を気にもしないようなクールな表情で確かな演奏を披露。新曲『St. Charles Square』から始まり、初めてブラス・セクションを取り入れた92年の『Popscene』、97年に全英1位を獲得した『Beetlebum』では懐かしいサウンドを響かせた。

 観客は心地よい音を聴き入った。生ビールを飲みながら恍惚(こうこつ)の表情を浮かべ、体を揺らす中高年男性の姿もあった。後半の『Tender』(1999年)は全英1位となったアルバム『13(サーティーン)』収録曲で、「曲の骨格」とも言えるグレアムの脈打つギターが、年配の観客にロック魂を思い出させた。全20曲。満足の大観衆は、ベテランバンドになったBlurに熱狂的な拍手を送った。

トリを務めたYOASOBI。『アイドル』の一斉ジャンプでファン大興奮【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】
トリを務めたYOASOBI。『アイドル』の一斉ジャンプでファン大興奮【写真:(C)SUMMER SONICAll Copyrights Reserved.】

 この日のラストはYOASOBI。私が幕張メッセ内のマウンテンステージに移動すると、会場は既に満員で立すいの余地もなかった。午後8時45分。大歓声の中、コンポーザーのAyase、ボーカルのikura、バンドメンバーがおそろいの白い衣装で登場し、すぐさま『夜に駆ける』を披露。会場を見渡したAyaseは気分上々で、「ジャンプ!」とあおりながら観客を盛り上げていく。2曲目の『祝福』が始まると、レーザー光線が複雑に飛び交いさらに会場はヒートアップ。ikuraも「最高!」と満面の笑顔だ。MCでAyaseはバンド時代にサマソニに応募したが、選ばれなかったエピソードを明かした他、ikuraも2017年にサマソニの小さなステージに出演したものの、大きなステージを見てさらなる飛躍を誓った思い出を語った。

 こうした過去があるだけに、YOASOBIとしてサマソニ初出演を果たした2人は強い意気込みを見せた。『もしも命が描けたら』『ハルジオン』『ツバメ』などを披露した後、『怪物』『群青』では、観客の大合唱と一斉ダンス。そして、満を持して披露したラストの『アイドル』では、激しいレーザー光線の交錯にファンが叫び、縦ノリダンスで会場が一体化した。

 瞬く間に全12曲が終了。ファンは皆「完全燃焼」でスッキリした表情を見せつつ、帰路に就いた。JR海浜幕張駅へ向かう長い行列からは英語、中国語、韓国語、タイ語などが聞こえてきた。サマソニが「ワールドワイドな夏フェス」になっていること印象付けた。

 午前10時30分から午後9時40分まで「山」と「海」を往来し、MAZZEL、SKY-HI、NewJeans、PALE WAVES、ENHYPEN、SEKAI NO OWARI、GEN HOSHINO、Blur、YOASOBIのステージを回った。グローバルな人気を集めるK-POPや伝説の英ロック、さらにはJ-POP界の大御所アーティストの音楽に直接触れる貴重な経験だった。猛暑の中、会場間移動はきつかったのも事実だが、アーティストのタイムテーブルを見ながら、「どう回ろうかな」と考えるのも楽しい時間だった。推しアーティストへの思いを抱きながら、来場した大勢の観客。心も体も熱くなった夏のひとときは、忘れがたい思い出になったことだろう。

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