林家木久扇、193cm体重105kgの弟子希林の大食いに嘆き「毎日続けられると貧乏になる」

落語協会(柳亭市馬会長)の新真打、林家まめ平、柳家かゑる改め柳家平和、柳家さん光改め柳家福多楼、林家きりん改め林家希林が24日、都内で真打昇進記者会見を開いた。身長163センチのまめ平から、「大谷翔平とまったく同じ193センチ105キロです」という希林まで、身長差30センチのデコボコ4人組。「普段楽屋では暴れないように、高座で頑張って暴れて」と市馬会長が期待する面々の魅力に迫る。

林家まめ平、柳家平和、林家希林、柳家福多楼(左から)【写真:ENCOUNT編集部】
林家まめ平、柳家平和、林家希林、柳家福多楼(左から)【写真:ENCOUNT編集部】

落語協会新真打、身長差30センチのデコボコ4人組「真面目にやりゃいいってもんじゃない」と弟子に不良の勧め

 落語協会(柳亭市馬会長)の新真打、林家まめ平、柳家かゑる改め柳家平和、柳家さん光改め柳家福多楼、林家きりん改め林家希林が24日、都内で真打昇進記者会見を開いた。身長163センチのまめ平から、「大谷翔平とまったく同じ193センチ105キロです」という希林まで、身長差30センチのデコボコ4人組。「普段楽屋では暴れないように、高座で頑張って暴れて」と市馬会長が期待する面々の魅力に迫る。(取材・文=渡邉寧久)

 師匠の林家正蔵が思い出すまめ平の第一印象は「一見どう見てもチンピラ風。素行の悪い人だと思って『1年たってまた気が変わらなかったら』」と、遠回しに断ったという。ところが律義にも、きっかり1年後に再び入門志願にやって来た。「顔付きが変わっていた。(1年後という)約束を守って、チンピラ風から脱していた」と、受け入れざるを得なかった理由を明かす。

 まめ平の人柄は「人をかき分けて出るタイプの人間ではなく、少し下がって静かにしているようなタイプです」というのが正蔵の弟子理解。「真打昇進が決まると、前へ出て行こうという意気込みが感じられるようになった」と目を細める。

 テレビのレギュラー番組をこなしながら寄席の高座を務める、多忙ながらも落語を大切にした師匠の姿がまめ平を導いたようで、「正蔵の名前を継いで1、2年のころに入門しました。師匠が落語協会の副会長に上がっていく姿を、一番いい背中を見たなと思っておりますので、それを引き継げるように頑張っていきたい」と表情を引き締める。真打ちを機に「人情噺に力を入れていきたい」と目標を掲げた。

 平和の師匠の柳家小さんは「よくいうと機敏、悪く言うとガサツ。やたら壊す、目の前にあるとやたら食う。後で食べようと思って取って置いたら、全部食べちゃう」と、師匠宅での自由気ままな弟子の姿をぼやくが、言葉の端々には師匠・弟子の遠慮のない信頼関係がのぞく。

 昨年夏、かゑるは、オートバイで日本各地を回るという真夏の大冒険に打って出た。そのやり遂げは大きな自信になり「旅の噺や、各地で子どもたちに落語を聞かせたので、子どもが出てくる噺が得意になった」と胸を張る。

 アクティブな弟子は、師匠宅にも頻繁に足を運んでいたようで、小さんは「真打ちになりましたら、うちに来る回数は減ると思います。これで我が家は平和になると思います」と、弟子の高座名を絡めてあいさつ。同時に「何回か高座見ておりますけど、真剣勝負をしているような高座は見ていない。お客とたたかうという、真剣勝負というか、そういう高座を」と今後に課題を示した。

「見た瞬間、まじめ! 不良になってくんねぇか、ある程度こすっからいところがないとこの商売やっていけねえんだ」と、弟子に不良の勧めを説いた柳家権太楼は「今では立派な不良です」と福多楼の成長に目を見張る。

 福多楼は「前座のときに『てめぇ、真面目にやりゃいいと思いやがって』と、今までの人生で言われたことのないことを言われたので、これからも師匠のように、遊びまわりたいと思っています」といい意味での不良続行を宣言。福岡出身で福、それに博多の多、師匠権太楼の楼から名付けた「福多楼」という芸名に改名する。「こう見えておしゃれには自信があるので、おしゃれでは負けない」と、落語界屈指のおしゃれ番長としての矜持ものぞかせる。

 芸に関しては、「福多楼だけに、クスリと笑わせたい」と小さなシャレをさりげなく投入。師匠に「今、洒落言ったの! 偉い」と褒められて照れ笑いするばかりだった。

「身長193センチ、105キロ。大谷翔平と同じ、落語会で一番高いです」という希林は、大相撲の元大関、清国の息子で、「千代の富士関や多くの方に、『すぐ横綱になれるから』と誘われましたけど」という相撲界入りを袖にして、落語界に足を踏み入れた。

「お父さんと友達だった」という林家木久扇は、弟子にとって驚いた。「ずいぶんご飯を食べるんです。大きいどんぶりで7杯、生卵が5個。毎日続けられると私のところは貧乏になる。正座ができるまで半年かかりまして、手数がかかるお弟子さんです。とにかく売れてもらいたい、なんでかっていうと、彼がおはようございますと来ると(ご飯が食べられちゃうので)困っちゃう。出世を願っています」と冗談っぽく嘆くが、どうやら本心のようだ。

 真打ちになった弟子に期待することを取材陣に質問されると「なるべくうちに来ないで。ご飯を食べさせるために私も一生懸命働いているわけではございませんので、なるべく来ないでほしい」と何度も釘を刺す。冗談とも本気とも受け止めることができるとぼけた口調で、最後まで、大食漢の弟子を嘆き続けた。

 ちなみに林家きりん改め林家希林という漢字表記は、ドクターコパさんの勧めで決めたという。

 真打昇進襲名披露興行は9月21日、鈴本演芸場でスタートする。

次のページへ (2/2) 【写真】真打昇進記者会見の別カット
1 2
あなたの“気になる”を教えてください