ベンチ外だった甲子園出場校の元球児、ライブで聖地に立つ喜び「『いつか音楽で晴らす』と…」
大阪出身の3人組ボーカルユニット・ベリーグッドマンが結成10周年を迎え、11月18日に甲子園球場でワンマンライブを開催する。彼らの楽曲は有名人にも愛され、前田健太(ツインズ)や鈴木誠也(カブス)ら多くのプロ野球選手が登場曲に使用。お笑いコンビ・ミルクボーイやロバートの秋山竜次らはMVに出演している。そんなRover(ロバー)、MOCA(モカ)、HiDEX(ヒデックス)は47都道府県ツアーを開催。多忙な中で、10年の歩み、今後を語った。
結成10周年 ベリーグッドマンの思い
大阪出身の3人組ボーカルユニット・ベリーグッドマンが結成10周年を迎え、11月18日に甲子園球場でワンマンライブを開催する。彼らの楽曲は有名人にも愛され、前田健太(ツインズ)や鈴木誠也(カブス)ら多くのプロ野球選手が登場曲に使用。お笑いコンビ・ミルクボーイやロバートの秋山竜次らはMVに出演している。そんなRover(ロバー)、MOCA(モカ)、HiDEX(ヒデックス)は47都道府県ツアーを開催。多忙な中で、10年の歩み、今後を語った。(取材・文=福嶋剛)
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――記念イヤーですが、結成当時はどんな雰囲気でしたか。
MOCA「最初に会った時は2人とも殺伐としてました(笑)。『これ、3人でやるのはムズいな』と思いました」
Rover「僕は最初にヒデ(HiDEX)に誘われて、2人でRoofyというユニットで活動していました」
HiDEX「そう。2人組だったんですけど、死ぬほど売れなかったんです(笑)。『毎回、次は売れる曲だけ作ろう』って話していました」
Rover「そっから奮起して、僕がMOCAを誘って今の3人になりました」
MOCA「僕なんかはクラブで酒飲んでライブするみたいなタイプやったんで、2人とも同い年やのになんか先輩感を出してくるんですよ(笑)。僕が歌詞を書いて送ったら、Roverが『それ、書き直しや』とか言ってきて、『いやいや。どの位置から言うてきてんねん!』て思いながら4回ぐらい書き直ししました。でも、僕は野球部出身で根性だけはあったんで我慢していましたけど」
HiDEX「僕らの結成は2013年の11月15日で、12月半ばにインディーズのレコード会社でデビューできるとなって、Roverと『5月のワンマンライブに合わせて4月にアルバムを出すから、正月から動かないともう時間ないよ』って言われてピリついていました」
MOCA「僕は『正月は毎年家族旅行に行くことになってるんで、来年も行かせてもらいます』って言ったら、2人がめっちゃ怒ってきて」
HiDEX「MOCAに『ちょっと待って、これは仕事だよ。やっと3人で事務所に所属してCDを出せるのに、9曲中2曲しかできてないから今回は我慢しよう』と言ったんです」
Rover「そしたら、MOCAが『(旅行中に)“番狂わせの曲”を書いてきますから』みたいな苦し紛れで放ったひと言を聞いて、頭で『プチ』って音がしました(笑)。『番狂わせって、今まで何曲も書いてきたヤツが言うことや!』って(笑)」
MOCA「僕は人前でアホなことするタイプに見られがちなんですけど、意外と臆病なんです。『音楽で食って行くぞ』みたいな2人の気迫に負けてしまい、最初のアルバムは自分の歌うところだけを作って、あとは全く楽曲制作で力を発揮できませんでした。それで、『ちょっと続けるのムズいかも』と思いました」
Rover「そっから10年やってこれましたから。僕たちのやっている音楽って誰かを応援するとか励ますとかなんで、この先もきっと変わらないようなことを歌っていると思うんです」
――ベリーグッドマンの音楽は、人生の応援歌、家族や仲間との絆、自愛、ラブソングで、共感を呼ぶ普遍的なテーマがファンの心をつかんでいるように思います。
HiDEX「テーマに寄せて作ったことはなくて3人が思ったことをうそ偽りなく書いているところが、“らしさ”かなと思います。『俺はこういう伝え方をしたい』というのをRoverもMOCAもちゃんと持っているんで」
MOCA「『生きてる瞬間全てを曲にできひんかな』っていつも思ってるんです。『日常で僕たちが感じる喜怒哀楽をどういう風にして届けられるかな』と普段感じたことをメモ帳に残して、実体験をリアルに書くようにしているんです」
――MOCAさんは宮崎の強豪・延岡学園高に野球推薦で入学。ベンチには入れませんでしたが、チームは甲子園出場を果たしました。その時の実体験を基にした楽曲『ライトスタンド』は、大リーグに行く前の鈴木誠也選手が登場曲にしていました。ベリーグッドマンの曲は、多くのプロ野球選手が登場曲で使っています。
MOCA「球場で試合を見ながら僕たちの曲が流れるとうれしいですよ。それで言うと『ライオン』っていう曲もたくさんの選手に使ってもらっています。この曲がなかったら、『この10年間走れてなかったんちゃうかな』って思うくらい大切な曲です。“ベリーグッドマン代名詞”と言われたら、確実に『ライオン』です」
Rover「だけど、この曲は最初MVも作らなかったし、アルバムのリード曲でもなかったんです。リリースしてからライブでお客さんに育ててもらって大きくなった曲なんです」
MOCA「ただ、この曲を超えられるものがなかなか生まれなくて、応援ソングに苦しめられたんです。せっかく新しいレコード会社で自主レーベルを作らせてもらったのに『この先なんもなくて2年くらいで契約打ち切られたら、俺らめちゃめちゃダサいな』って。『なんかアイデアを出しとかな』って思ったんです」
Rover「レコード会社の方との初顔合わせをZoomミーティングでやったんです。そしたら、MOCAが『こんなデモがあるよ』と聴かせてきて、それが『アイカタ』でした」
HiDEX「最初にMOCAのデモがあって、次にRoverが違うメロディーを考えてくれて、どうやって曲を組み立てようかなってパズルみたいに3日間くらいずっと考えていたら、イメージ通りの納得のいく曲ができたんです」
Rover「友達2人に聴かせたら、『めちゃくちゃ良い』って電話かかってきました。MOCAも僕の家に来てくれたんですけど、なんかこう奇跡に近いような『できた!』という感じを味わいました。『アイカタ』に救われましたね」
3年前は無観客、再公演は10周年のゴール「もう、これ以上ない」
――そんな10年分の楽曲で全国47都道府県をツアー中です。
MOCA「コロナ禍でなかなか回ることができなかった場所も多かったので、あまり行ったことない会場で、お客さんの7割くらいが地元のファンだと知った時は『僕たちの音楽が届いているんだな』と実感しました」
HiDEX「最近はホールツアーが多かったんで、今回久しぶりにライブハウスを回ってみたらお客さんとの距離が近いし、熱気もダイレクトに感じて昔を思い出しました。機材も会場によって違うので、常に新鮮な気持ちで回ることができています」
Rover「今回のファイナルは11月に甲子園球場でライブを行うので、毎回ツアー先で『みんな甲子園に来てくれるか?』って聞くと、本当に『行きます!』という声をたくさんもらえるんです。それを聞いて僕たちも気合いが入ってきました。さっきの10年前の話やないですけど、なんかどんどんチームワークが良くなってきてるんかなって思います」
――甲子園球場で3年前に行ったライブはコロナ禍で無観客でした。そして、今回はお客さんを入れて11月18日に開催。ベリーグッドマンにとって10周年のゴールですね。
Rover「もう、これ以上ないゴールやと思ってます」
HiDEX「ほんまに周りの人の支えで甲子園に立たせてもらえると思うんで、恩返しというか『ここまで成長しました』ってところを見せられたらと思ってます。友達に言ったら、『俺やったら甲子園でライブできたらその日に引退するわ』って興奮してました。僕らは引退しませんけど(笑)」
MOCA「高校野球でベンチメンバーに選ばれずに甲子園の土を踏めなかったという悔しさを『いつか音楽で晴らしてやる』という思いでやってきたから、甲子園球場でのワンマンライブを発表したら、その時のレギュラーメンバーから『みんなで行く』と連絡もらいました。僕と同じくベンチに入れなかったやつも、今はカメラマンとして活躍していたりします。野球では甲子園に立てなかったんですけど、ベリーグッドマンという3人のチームとしてグラウンドに立てる。それがめちゃめちゃうれしいです」
Rover「やっぱり、めちゃめちゃラッキーな3人やなって思ってます。この巡り合わせとかも偶然でしかなくて。この先の10年もきっといろんなラッキーにめぐり逢えると信じています。なので、いろんな人に感謝しながらやっていきたいですね。あとはもう35歳なんで地域や社会にも貢献できるような大人になりたいです」
MOCA「出馬か?」
Rover「んなわけないやろ(笑)」
――10周年を迎えたベリーグッドマンの3人。今はどんな関係ですか。
MOCA「兄弟とか家族なんじゃないですかね」
HiDEX「兄弟ですよ」
Rover「『ONE PIECE』的に言うと仲間ですよ」
全員:笑
HiDEX「僕、甲子園ライブの日(11月18日)は誕生日なんです。プレゼントもらえるか、ちょっと心配なんですけど……」
Rover「いっぱいもらえるって」
HiDEX「もらえるか? そしたらおっきい車で行きますわ(笑)」
MOCA「これからも『ええ味出したおっさん』と言われるように、3人組でずっと続けていきたいです」
□ベリーグッドマン Rover、MOCA、HiDEXからなるボーカルユニット。『ライオン』『ライトスタンド』などの”パワーソング(応援歌)”が代名詞で、20年には自主レーベルを立ち上げ、『アイカタ』『花束』がヒット。19年1月20日、目標にしてきた大阪城ホールでのワンマンライブは結成5年で実現。22年9月3日には地元大阪のSENNAN LONG PARKで入場無料のワンマンライブを開催し、1万5000人を集めた。今年、『阪神甲子園球場100周年記念事業アンバサダー(アーティスト)』に任命された。
芸能界屈指の肉体派が絶賛する驚きのトレーニングアイテムとは?
ベリーグッドマン公式HP:https://berrygoodman.com/