【RISE】喧嘩ファイトのYA-MAN、ドランカーは「確かに怖い」 それでも「いまを頑張る」理由
立ち技格闘技イベント「ABEMA presents RISE WORLD SERIES 2023 2nd Round」(26日、東京・大田区総合体育館)では、初代RISEオープンフィンガーグローブ(OFG)マッチ65キロ王座決定戦が行われる。山口裕人と対戦するYA-MAN(TARGET SHIBUYA)が自身の「打ち合い」やドランカーについて語った。
山口裕人と初代RISE OFGマッチ王座決定戦
立ち技格闘技イベント「ABEMA presents RISE WORLD SERIES 2023 2nd Round」(26日、東京・大田区総合体育館)では、初代RISEオープンフィンガーグローブ(OFG)マッチ65キロ王座決定戦が行われる。山口裕人と対戦するYA-MAN(TARGET SHIBUYA)が自身の「打ち合い」やドランカーについて語った。(取材・文=島田将斗)
今年5月にMMAデビュー、三浦孝太に1R・TKO勝利を収めている。キックボクシングでは昨年10月に白鳥大珠に敗れるまでは破竹の6連勝だった。現在、所属ジムのTARGET SHIBUYAの他に「PRIDE」「UFC」で活躍した長南亮率いるTRIBE TOKYO MMA、ボクシング現WBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔の所属ジムである志成ボクシングジムでトレーニングを積んでいるが確実に「スキルアップ」を感じているという。
試合まで1か月を切るなか、コンディションも良好。「スパーリングをやったときに、いつもより『攻撃入るぞ』とか『もらわないぞ』っていうのを感じる瞬間に調子の良さを感じますね」とリラックスしている。
MMAを始めて、自身の体の動きが分かるようになった。白鳥戦で露呈した対遠距離ファイターへの苦手意識。打撃だけでなくグラップリングの展開もあるMMAで克服しつつある。公開練習では「1歩入れば当たる距離(間合い)よりもその半歩先で勝負できるようになりました。相手の攻撃をもらわずにキックボクシングできる」と胸を張った。
スキルはついても戦法は全く変えない。今回も極上の打ち合いを観客の前で繰り広げるつもりだ。気になるのはダメージへの意識だ。「攻撃をもらっているようでもらっていない」とこれまでの戦いを冷静に振り返った。
「これまで打ち合いのなかでも、そんなに(相手の攻撃を)もらっていないんですよ。攻撃が顔に入ってない。打ち合っているように見えて、実は自分しか打ってないんですよね。次の試合も一方的に打つイメージです」
効かされる攻撃をもらって、それでもやり返す。そんなイメージが強いが、「ギリギリでかわしているんですよ」と説明する。6連勝のうちKO勝ちは4度。攻撃力に目がいってしまうところだが、「普通のキックボクサーと比べてディフェンス力が高いんです」と明かす。
「近距離のディフェンスはボクシングの練習が生きていますね。井岡一翔さんをボクサーで一番リスペクトしているのですが、近い距離の攻防がすごくうまくて。井岡さんを参考にして近距離では戦っています」
攻撃面ではジャブを大事にしている。ストライキングでは基本のひとつ。KOパンチになることはなくとも打撃の起点となる一撃だ。YA-MANは打ち合いのなかでも出すことを意識しているという。
「打ち合いのなかでもジャブは大事です。ジャブを自分だけ当てていたら相手は嫌になってきて雑になるんですよね。そこに(カウンターを)合わせる。MMAの練習で前よりも少し遠い距離から届くようになりました」
ダメージへの心配はあるも「いま頑張らなかったら将来“後悔”する」
自身は成長するきっかけともなった白鳥戦。結果は判定負けだが、試合後のYA-MANはボロボロ。緊急搬送されるほどだった。「あの試合に関してはディフェンスを捨てていました」と苦笑いする。
「白鳥戦に関しては距離も相手が長いですし、上手い選手だったので、自分が『“うまく”進めたら負ける』と思いました。一発パンチを受けてみたんですよ。それで意外と軽いなと思ったので、あえて避けたりはしなかったんですよね。そしたらまさかの予想外の膝蹴りがきたので(笑)。そこは相手が一枚上手でしたね」
打たれても気合いで立ち上がる。そんな熱い部分が観客を沸かせているが、脳へのダメージへの心配もある。危険性を指摘する元格闘家もいるほどだが、本人もドランカーについて考えることもあるようだ。
「OFGはドランカーになりづらいんですよ。ボクシンググローブよりもOFGの方が長い目で見たら安全かなって。いち格闘家として考えてみると確かにドランカーになってしまうことは怖いです。遅れてくるって言いますしね。でも将来どうなるかはいま分からないし、とりあえずいまを生きられればいいんじゃないかな。いま頑張らなかったら将来“後悔”すると思う」
その上で「必要最低限のこと以上はやらない。練習でダメージが蓄積するのは多少は仕方ないです。練習後、脳にダメージがある状態で飲酒したりとかはしない。練習外で対処できるところはしっかりします。格闘技を好きでやっているから、ダメージがあるのも当たり前なんですけど、かと言って将来を考えていないわけではないですね」と自分に言い聞かせるようにうなずいた。
セコンドが危険などと判断した場合、「降参」などの意味合いで投入されるタオル。これを投入すると試合は終わる。YA-MANの試合ではあるのだろうか。
「入れられることってないんじゃないですかね。タオル投入って本当に危ないときもありますけど、気持ちが折れたときもある。自分の場合は気持ちが折れることは100%ないので、危ない倒れ方をしたとき以外はないです。ボコボコにやられてるからタオルを入れられるってことはないですね。何が効いていようが前に出るので」
白鳥戦の敗戦から約11か月。生まれ変わったYA-MANはどんな打ち合いを見せるのか。パンチだけでなく、ディフェンス力にも注目したい。