早乙女友貴が明かす兄・太一との関係「子どもの頃はうっとうしく…」でも今は「分かり合っている」

劇団☆新感線43周年興行・秋公演 いのうえ歌舞伎『天號星(てんごうせい)』(9月14日初日、東京・THEATER MILANO-Za)に、俳優の早乙女友貴が出演する。兄・早乙女太一とともに幼い頃から大衆演劇の舞台に立ち、10代になるとミュージカル、劇団☆新感線の舞台にも出演。着実にキャリアを重ねてきた27歳が、憧れの古田新太、太一、久保史緒里(乃木坂46)らと共演する同作への思い、役者として海外でかなえたい夢を語った。

舞台歴は20年以上。兄とともに大衆演劇を盛り立ててきた早乙女友貴【写真:冨田味我】
舞台歴は20年以上。兄とともに大衆演劇を盛り立ててきた早乙女友貴【写真:冨田味我】

劇団☆新感線秋公演 いのうえ歌舞伎『天號星(てんごうせい)』に兄弟で出演

 劇団☆新感線43周年興行・秋公演 いのうえ歌舞伎『天號星(てんごうせい)』(9月14日初日、東京・THEATER MILANO-Za)に、俳優の早乙女友貴が出演する。兄・早乙女太一とともに幼い頃から大衆演劇の舞台に立ち、10代になるとミュージカル、劇団☆新感線の舞台にも出演。着実にキャリアを重ねてきた27歳が、憧れの古田新太、太一、久保史緒里(乃木坂46)らと共演する同作への思い、役者として海外でかなえたい夢を語った。(取材・文=大宮高史)

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「新感線の舞台ではこれまでコミカルな役が多かったのですが、今回の役・朝吉はとことん男くさく、強い者と戦うことを求める剣客で、芝居も本格的な立ち回りで魅せるチャンバラ劇なので、シリアスな時代劇をお見せできますね」

 今作で友貴が演じる人斬り朝吉は、太一が演じる殺し屋の宵闇銀次を追って現れる渡世人だ。ところが、銀次(太一)は口入れ屋の半兵衛(古田)と中身が入れ替わってしまう。朝吉は、体は銀次なのに人格は半兵衛という兄の役に舞台上で対峙。迫力ある殺陣も見どころになる。

「兄弟で殺陣をやると自然といつもより間合いが近くなります。銀次を倒すために『当たってもいい』くらいの勢いで演じています」

 劇団☆新感線の看板俳優でもある古田に対しては、役者としていつか丁々発止に渡り合いたいと思っていた。昨年は『薔薇とサムライ2~海賊女王の帰還~』で共演。今作では、主人公格同士で派手に立ち回りも展開する。

「(古田は)色気もありますし、稽古場でも舞台でも省エネというか、100%のエネルギーを出していないよう見えます。それでも、存在感があって広い劇場の中でも人をひきつけてしまう。そのスター性は『古田さんならでは』なので、吸収できることは吸収して思いきり芝居をしていきたいです」

 大衆演劇の家に生まれ、太一とともに幼少期から舞台に立っていた。そんな中、映像で目にした新感線の作品にも衝撃を受け、2014年に『蒼の乱』で初めて客演の機会をつかんだ。

「『蒼の乱』の時はうれしかったとともに思うようにできない反省点ばかりでした。僕の俳優人生の中でも、強く記憶に残っている経験です。それから、何度も客演させていただいています。ただ、新感線の舞台稽古では役作りしていかないんですよ。演出のいのうえひでのりさんが、役者の良さを引き出すのがすごく上手なんです。稽古場でのやり取りに身を任せていれば、十二分に楽しんでいただける。そんな舞台ができるものと信じてやっています」

 大衆演劇では芝居に舞踊、二枚目に老け役、女役も演じた。演目も役も一座だけで作っていく。友貴にとっては役者としての原体験でもあるが、「芝居漬け」の子ども時代についてはクールに振り返った。

「学校にもほとんど通っていなかったです。同世代の子どもたちと合う話題もあまりなかったですね。大人と過ごす時間の方がずっと長かったですし、今思えば他人にあまり心を開けなかった子ども時代でした。舞台についても……好き嫌いというより生活の一部という感覚でした」

『天號星』では、人斬り朝吉として剣をふるい、得意の殺陣で活躍【写真:冨田味我】
『天號星』では、人斬り朝吉として剣をふるい、得意の殺陣で活躍【写真:冨田味我】

12歳頃抱いた複雑な感情「何でこんなことやってるんだろう。毎日同じ環境で…」

 日替わりでさまざまな役を演じていた。だが、思春期には、そこに義務感のような重荷を感じたこともあるという。

「12歳くらいの頃、『何でこんなことやってるんだろう。毎日同じ環境で……』と手詰まりのような気持ちを抱きました。その頃に外部の舞台も映像で見始めて、『こんなに面白い舞台があるんだから、頑張ってみよう』と気持ちを新たにしました。そのおかげで演劇への興味を持ち続けられたのかなと思います」

 外部出演の際は、時代劇やショー、ファンタジー、マンガが原作の作品など、多岐に渡って出演してきた。幼少から培ってきた立ち回りの技術も発揮。大衆演劇では、太一とともに率いた『劇団朱雀(すじゃく)』を19年に再結成し、定期公演を続けてきた。

「(太一を)子どもの頃はうっとうしく思う時もありました。一緒にいる時間が長かったせいもあるでしょう。今は同じ空間で過ごすことは少ないですが、会話に出さなくても、『考えていることは分かり合っている』と思っています。無口な者同士ですが、こういう関係だからこそ、殺陣も迫真の接近戦をお見せできているのかもしれません」

 大衆演劇で育った立場で、『将来、日本ならではの演劇を海外で見せたい』という夢も抱いている。

「殺陣って日本ならではのもので、海外のアクションとは違います。日本刀を使ったこの文化を広めていきたいので、大衆演劇での海外公演をいつか成功させたいですね。もちろん、殺陣の魅せ方も1つではありませんし、公演ごとの経験を糧にして、この夢が実現できればなと思います」

 パワフルな立ち振る舞いと目力は、舞台上のどこにいても存在感を放つ。これからもマルチプレーヤーとして、和物・洋物を問わず、演劇界を盛り上げる覚悟だ。

□早乙女友貴(さおとめ・ゆうき)1996年5月14日、福岡県生まれ。1歳半で初舞台を踏み、劇団朱雀の看板俳優としてキャリアを積む。主な出演作品に、舞台『キングダム』(2023年)、『陽だまりの樹』(21年)、『遙かなる時空の中で3』(18年)、『あずみ~戦国編』(16年)、『TRUMP』(15年)などがある。劇団☆新感線の作品には、『薔薇とサムライ2~海賊女王の帰還~』(22年)以来、『天號星(てんごうせい)』で通算5度目の出演となる。

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●劇団☆新感線43周年興行・秋公演 いのうえ歌舞伎『天號星』
9月14日~10月21日 東京・THEATER MILANO- Za
11月1日~11月20日 大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

ヘアメイク 国府田雅子(B.sun)
スタイリスト 佐藤美保子

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