世界でヒットしている“日本グッズ” 海外の人は何を買う? ネット通販では意外な需要が続々

国をまたいだネット通販の総称「越境EC」で、海外ユーザーは日本のどんなモノを買い求めているのか。同分野で流通総合サービスを展開するBEENOS株式会社は、2023年上半期(1月~6月)の動向を発表した。人気ジャンルとして「フィギュア」「ゲーム」「自動車・バイクパーツ」が並び、日本が誇るコンテンツや産業の需要が高いことが分かった。日本のモノを欲しがる海外ユーザーは、「北米10代はファッション好き」「南米30代はエンタメ好き」といったユニークな傾向も判明。意外な実情を探った。

海外ユーザーが買いたい日本のモノはおなじみのグッズばかりだ【写真:ENCOUNT編集部】
海外ユーザーが買いたい日本のモノはおなじみのグッズばかりだ【写真:ENCOUNT編集部】

「北米10代はファッション好き」「南米30代はエンタメ好き」の傾向 越境EC大手がユニーク分析

 国をまたいだネット通販の総称「越境EC」で、海外ユーザーは日本のどんなモノを買い求めているのか。同分野で流通総合サービスを展開するBEENOS株式会社は、2023年上半期(1月~6月)の動向を発表した。人気ジャンルとして「フィギュア」「ゲーム」「自動車・バイクパーツ」が並び、日本が誇るコンテンツや産業の需要が高いことが分かった。日本のモノを欲しがる海外ユーザーは、「北米10代はファッション好き」「南米30代はエンタメ好き」といったユニークな傾向も判明。意外な実情を探った。(取材・文=吉原知也)

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 同社は2008年から越境ECサービスを始め、現在は世界118か国・地域で対応、会員数は478万人以上が登録している。海外ユーザーが日本国内ECサイトを通して商品を購入したい場合、購入・決済・配送など総合的に代行サポートを行い、17言語のカスタマーサービスで対応。国内企業側にとっても、海外非対応でも海外の購入希望者に商品を発送できるメリットがあり、同社は4000以上の国内ECサイトの海外販売を支援している。

 今回、同社のサービス「Buyee(バイイー)」の流通データを分析。海外ユーザーの世代別の特徴としては、若年層はエンタメ志向で、中高年層は日本の技術力とコレクション性の高いアイテムを求める傾向が示された。10代はエンタメ系、20代からカメラに興味を持ち始め、30代は自動車・バイクのパーツも買うようになり、50代は音楽オーディオ機器、60代はアンティーク・工芸美術品。同社の担当者は「年代が上がるにつれて、趣味趣向が多様化する傾向が見られます」と説明する。データは非公開だが、二次流通(中古・リユース)の売上が多いという。また、購買単価については、海外ユーザーは日本ユーザーと比べて1.2倍~1.5倍ほどになっており、「100万円以上の商品を買うユーザーもいる」とのことだ。

 独自視点の解析も。エリアと世代の人気商品を見てみると、まさに多種多様だ。北米10代はファッション好きで、日本ブランドのコムデギャルソンやヒステリックグラマーが人気。東南アジア20代はマレーシアを筆頭にブランド時計好き(セイコーやタグ・ホイヤー)。南米30代は、『ドラゴンボール』『遊戯王』『ロボットヒーロー』などのエンタメ好き。ハイブランドを好むのは中東40代。ヨーロッパ50代はCD・レコード・楽器など音楽好きが顕著で、中森明菜らジャパニーズポップスが注目されている。そして、東アジア60代は美術工芸好きで、日本画や仏像をはじめ、東洋彫刻に対する高い購買力が見えてきた。

 ヒットアイテムも意外な結果になった。10~20代は「地雷系・量産型ファッション」が、昨年22年1月~6月比で約2.2倍に。北米を中心にヨーロッパ・アジア圏でも売れた。日本のベビーフードが30代、60代に注目され、同約2.9倍。東南アジアが56%を占めた。担当者は「ヒットのポイントは世界観、品質・商品力、信頼性といった言葉が当てはまり、しっかりしたいいものであれば、世界に評価されて購入されるものと考えています」と話す。

日本語の旅行ガイドブックはコロナ禍の訪日動向に合わせて購入数が変化している【写真:BEENOS株式会社提供】
日本語の旅行ガイドブックはコロナ禍の訪日動向に合わせて購入数が変化している【写真:BEENOS株式会社提供】

発送を待つ倉庫には、懐かしいスーパーファミコン、ライト・ドアなどのカーパーツも

 世界を見回すと新型コロナウイルス禍からの人流回復、日本においても観光・買い物目的で来日するインバウンド(訪日外国人)の増加が著しい。こうした中で、シロップを中心としたかき氷関連商品の伸長も見受けられ、「世界的にもかき氷は売られており、お祭りなどのイベントが復活し、リアル店舗の仕入れも増えているのでは」。また、日本への旅行を念頭に置いた消費も興味深く、日本語の旅行ガイドブックが同約1.9倍に。アニメ・漫画作品のいわゆる「聖地巡礼」、大都市に限らず日本各地の地方エリアに特化したガイドブックが伸長したといい、「コロナ禍で落ちていた購入数が、入国規制の緩和に伴って上昇しています。日本の地方都市にあえて行き、文化活動や体験を軸にした旅行を求める訪日外国人も多いのではないでしょうか」。訪日への期待感は着実に高まっているようだ。

 国内5か所あるBuyee倉庫には、海外に送る商品として、漫画アニメのノベルティー商品、『ポケットモンスター』のカードゲーム、通称ポケカや、『ドラゴンボール』のフィギュア、中古ゲーム機などが発送を待っている状況。懐かしいスーパーファミコン、ライト・ドアなどのカーパーツ、さらに、プロ野球・阪神タイガースの優勝記念のウイスキーという珍品も。海外ユーザーの購買意欲は計り知れない。

 訪日外国人が日本を満喫して帰国した後も、日本のモノに関心を持ち続けてもらうことは、これからの日本企業の課題の1つに挙げられる。リピート消費として訪日時に購入した商品をまた買いたい、欲しい日本商品を自国でネットで手に入れたい――。同社では、そんなニーズに応えるサービスをさらに強化する考えだといい、「ECサイトを通して日本にもっと興味を持ってもらい、日本のファンが増え続ける座組を作っていきたい」と強調した。

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