相次ぐ桃の路上販売、多くは無許可で販売か 現役議員が注意喚起、「盗難臭い」と疑念の声も

駅前の路上でふと見かける光景。軽トラックに積まれた桃の路上販売を目撃したことがある人は多いのではないだろうか。夏場が旬の桃。ネット上では、この時期相次ぐ盗難被害の報道から「盗難臭い」「怪しい」といぶかしがる声が多く寄せられる一方で、「憶測で泥棒扱いしちゃいけないでしょ」といさめるコメントもあり、物議を呼んでいる。都内の駅前で無許可販売が疑われる車両について、X(ツイッター)で注意喚起を行った、三戸安弥・江東区議会議員に、問題点や実情について聞いた。

桃の路上販売が物議を醸している(写真はイメージ)【写真:写真AC】
桃の路上販売が物議を醸している(写真はイメージ)【写真:写真AC】

品種の記載なく値段は「3個500円」「4個500円」表示

 駅前の路上でふと見かける光景。軽トラックに積まれた桃の路上販売を目撃したことがある人は多いのではないだろうか。夏場が旬の桃。ネット上では、この時期相次ぐ盗難被害の報道から「盗難臭い」「怪しい」といぶかしがる声が多く寄せられる一方で、「憶測で泥棒扱いしちゃいけないでしょ」といさめるコメントもあり、物議を呼んでいる。都内の駅前で無許可販売が疑われる車両について、X(ツイッター)で注意喚起を行った、三戸安弥・江東区議会議員に、問題点や実情について聞いた。(取材・文=吉原知也)

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 今年7月24日午後8時過ぎ、東京・江東区の森下駅前で、犬の散歩をしていた区民が桃の路上販売を目撃。この区民から情報提供を受けた三戸議員は、管轄の警視庁警察署に取り次いだ。

 どのような販売の様子だったのか。「区民の方が撮影した写真を見てみると、軽トラックの車両には『山梨産地直送』の宣伝文句が記載されており、品種は書いてなく、値段は『3個500円』や『4個500円』で売られているようでした。私は普段スーパーで買い物をしますが、7月の桃が出始めの頃で、1個約300円の値段感だったと記憶しています。半分以下の値段で売られているので、連絡をくださった区民の方も含めて、『おかしいな』と感じました」と話す。

 管内の警察署に連絡したところ、「本来必要である道路交通法上の道路使用許可がなかったそうで、警視庁では注意の対応をしたと聞きました」。ただ、桃がどういった経緯で販売に至ったのかは分からなかったという。

 三戸議員は広く情報共有をするために同日、Xに「【路上での果物等 無許可販売について】」と題する文面を投稿した。「警察官が確認したところ、販売主は道路使用許可を得ていない事が判明。桃が盗難品であるかは分からなかったものの、路上での無許可販売は交通事故に繋がる恐れがあり大変危険です」などと報告。

 そのうえで、「『どうやったら無許可販売であるかを見分けるか』についてですが、元々道路際に車を停めて移動式販売業を営む場合は交通秩序を害する恐れがあるとして原則許可は出ないとの事。その為、こうした現場を発見されましたら迷わず最寄りの警察署までご通報下さい。『情報提供で電話しました』とお伝え頂ければスムーズにお話を聞いて貰うことができます」と、適切な情報提供の方法について記載した。

 問題視される無許可販売の横行。「行商スタイルは否定しません。ちゃんと許可を取ったり、マルシェやイベントなどに出店して、適切に販売している方が大半の中で、許可を得ずにやるのは民業の圧迫につながりかねません。関係機関はしっかり取り締まってほしいです」と訴える。

「子どもたちには『農家の皆さんが育てた桃だから、大切にいただこうね』と話しました」

 全国の生産地で収穫前の桃が盗まれるという報道が絶えない。路上販売に疑いの目が向けられている側面があることも確かだ。

 三戸議員は一般論として、「もし盗品の桃が売られているとしたら、あってはならないです。農家の方々が一生懸命に育てた桃を横取りして、自分の利益にするのは、許されない行為です」と言及。一方で、「ただ、仮に盗まれた桃が路上で売られていたとして、安いからと買ってしまう人がいるから成り立っている部分もあるのかなとも思います」と悩ましい思いを語る。

 路上で売られている桃が盗まれたものだと証明するハードルは高く、捜査をするにしても非常に難しいという見方もある。ただ、一方的に盗品だと決め付けて中傷することは社会的に許容されるものではない。

 三戸議員は今回、踏み込んだ対応として山梨県警に連絡を取ったという。「盗品かどうかを捜査するのが難しいということが改めて分かりました。一方で、山梨県警の公式ホームページでは、一部の署で『果実泥棒情報提供フォーム』を設けていることを教えていただきました。不審な車両の追跡・特定が1つの有効策でもあるそうで、車種やナンバーの情報が重要になるとのことです。それは、山梨県内に限らず、不審な売買について東京都内など広い地域での情報を集めているそうです」。幅広い情報収集がキーポイントになりそうだ。

 2児の母として子育てにもはげむ三戸議員。山梨県に桃狩りに出かけて子どもたちと楽しい時間を過ごしたこともある。それだけに、「子どもたちには『農家の皆さんが育てた桃だから、大切にいただこうね』と話しました。盗品の桃が売られているという疑念があるのであれば、看過できない思いがあります」と強調する。今後もできる範囲で情報収集や情報共有に取り組むといい、「そもそも私たち議員は、一般市民の方が『これはこうなっているけど、本当にこれでいいの? おかしくないの?』と疑問に感じることの解消に努める役割があります。困り事は何でも相談していただきたいです。道路上での無許可販売は交通事故につながるリスクもあり、摘発は治安向上につながります。商品の果物について証明制度を導入することも1つの対策になると考えています。これからもウオッチしていきたいです」と話している。

次のページへ (2/3) 【写真】街中で実際に目撃された桃の移動販売車
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