日本大アメリカンフットボール部員の北畠成文容疑者（21）が覚醒剤と大麻を所持した疑いで逮捕された事件を受け、日大の林真理子理事長と酒井建夫学長、競技スポ―ツ部を主管する責任者の澤田康広副学長が8日、東京・九段南の日大本部で記者会見した。注目度が高く、会場には約200人の報道陣が集まった。

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　会見では、林理事長が謝罪をした後、酒井学長が問題の経緯を明らかにした。

6月30日　警察から「アメフト部員が大麻を使用している可能性がある」と連絡。大学が調査も見つからず

7月6日　警察から再度、「大麻使用の可能性がある」との連絡。部員の持ち物検査の結果、所有者不明の不審物を発見

7月18日　警察に相談

7月19日　警察が不審物を鑑定

8月3日　学生寮が家宅捜索。捜索の後、不審物は違法な薬物であることが判明

8月5日　北畠容疑者が警視庁に逮捕

　その他、昨年10月29日のアメフト部保護者会開催後、保護者から「部員が大麻を使用していないのか」と調査の依頼。翌30日に部員123人に聞き取り調査をしたところ、同11月下旬、部員の1人から「大麻と思われるとものを吸った」という自己申告があり、警察に相談したものの、「物的証拠がない」「事実の証明ができない」「学生には厳重注意」などと指導を受けたことなどを明かした。

　そして、“自首”した学生が北畠容疑者と同一かどうかは「捜査に関わることなので」と明言を避けた。別人だった場合は少なくとも2人が薬物に関わったことになるが、澤田副学長は「それだけで、（アメフト部に薬物が）まん延とは言えないと思います」と回答した。

　しかし、捜査も関わる一連の問題については、最近まで林理事長には報告されていなかったことも判明した。それを認めた上で、林理事長は会見の途中まで「スポーツに関しては学長がトップであり、私はそのお考えに従っていました」などと繰り返した。しかし、会見の終盤になると、反省を口にした。

「就任してほとんど、スポーツ部の方はおふたりにお聞きするようにしていました。それは私が、スポーツ部の方をよく知らないので、遠慮するところがありました。考えますと、（日大が）一番重たい問題を抱えていたのはスポーツ部の分野でした。今日、皆さんの質問をお聞きして、スポーツ部のことに『もっとドンドンいくべきだった』と反省しています。私が距離を置いて後回しにしていたようなことがあったことが、影響していたと思います。グイグイ行くべきでした。厳粛に重く考えています」

　日大は2018年に悪質タックルが社会問題化。21年には元理事長・田中英寿氏の背任事件が発覚して所得税法違反の罪で有罪判決が確定した。これらを受け、「新生日大」を掲げて昨年7月に就任したのが、著名作家の林理事長だった。今年7月11日に就任から1年が経過した記者会見では、「後始末に明け暮れた」と話した上で「大学再生に向けた進捗（しんちょく）状況を「6合目」と話していた。

　この時期には浮上していた薬物問題。一部報道では、昨年、「寮で大麻を吸っている上級生のチームメートがいる」との告発文が大学、関東アメリカンフットボール連盟に送られていたという。大学側も調査したが、問題が表面化することはなかった。そして、今月に入って同問題が報じられると、今月2日、林理事長は報道陣を前に「違法な薬物が見つかったとか、そういうことは一切ございません」と否定し、大学側も同様の見解を発表していた。