YouTubeで拡大するファン層 怖さだけではない怪談マエストロ稲川淳二の魅力

怪談マエストロ、稲川淳二が日本全国を巡る「ミステリーナイトツアー」はいよいよ終盤戦へと突入した。令和元年を迎え、新境地となる怪談話を引っ提げて挑んだ今年の怪談ナイト。YouTubeの動画配信をきっかけに、技術の進歩を取り入れて新規ファンを獲得するレジェンドのファン層は幅広い。果たしてお客さんの反応は?

日本全国を巡る「ミステリーナイトツアー」を展開中の稲川淳二【写真提供:Off shore】
日本全国を巡る「ミステリーナイトツアー」を展開中の稲川淳二【写真提供:Off shore】

「怪談は進化していく」 ミステリーナイトツアーは終盤戦へ

 怪談マエストロ、稲川淳二が日本全国を巡る「ミステリーナイトツアー」はいよいよ終盤戦へと突入した。令和元年を迎え、新境地となる怪談話を引っ提げて挑んだ今年の怪談ナイト。YouTubeの動画配信をきっかけに、技術の進歩を取り入れて新規ファンを獲得するレジェンドのファン層は幅広い。果たしてお客さんの反応は?(取材・文=福嶋剛)

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 台風15号が近付く9月8日、横浜・関内ホールで行われた怪談ナイト。今年も「満員御霊!」が続くなか、本公演もチケットはすでに完売。開場を前に小さな子供を連れた家族連れから、おじいちゃん、おばあちゃんまでさまざまな世代のお客さんが入場待ちの長い列を作った。

 これほどまんべんなく多くの世代のファンが集まるライブも珍しい。そこで、今回は老若男女を引き寄せる稲川怪談の魅力について探ってみよう。

 まず会場に入ると女性ファンが多いことに気付く。怪談好き、ホラー好きな女性が多いのかと思いきや話を聞いてみると、「怪談と言ってますけど、泣ける話とか、感動したりとか、怖いばかりじゃないんですよ」「初めて来たとき、会場の拍手と稲川さんの笑顔を見て、楽しい雰囲気なんだなって、一気に引き込まれました」「会場の隅から隅までひとりひとりに手を振ってくれるんです。そんな稲川さんの愛情に触れたくていつも来てます」「話の途中でもお客さんには何をしても構わないとリラックスさせてくれます」との声を聞いた。

 なかには、「子守唄みたいに聞こえてきて、つい寝ちゃったこともある」といったお客さんも。恐怖とは対極にある人間的な優しさや安心感が女性ファンのハートをつかんでいるのだろう。

幅広い世代のファンを惹きつける【写真提供:Off shore】
幅広い世代のファンを惹きつける【写真提供:Off shore】

 常連の男性客にも聞いてみよう。「稲川さんが取材する所に行ったことがあって、ガチで怖いですよ」「稲川さんの話って、聞いている側がみんなその情景を思い描けるところがすごいですよね」「語りに臨場感がある」「豪華な舞台のセットも楽しみ」……。

 また、20年以上足を運んでいるという男性は「最近は自分のおじいちゃんの昔話を聞きに来るような感覚です」と時の流れも楽しんでいる様子。中でも今年2回目という男性は「長い話から短い話まで毎年構成も変わるし、同じ話でも場所によって印象が違うから何度見に来ても飽きないんです」と語った。

 この感想について稲川本人に聞いてみると

「毎年いつもそうなんですけど、話って進化していくんですよ。今年も最初は長い話、ちょっと難しい怖い話なんかも交えて話しましたが、お客さんの反応を見ながら、修正して、するとだんだん話の画がしっかりと頭の中に浮かんできましてね。昨日と今日、そして明日と毎回毎回色合いが違うんですよ。今回は思い浮かべる情景が昔の自分の思い出と重なりましたね。まあでもいつも冒険ですよ」

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