レギュラー11本のバイきんぐ小峠、“公園で晩酌”の日常「あんた何のために売れたんだよと」

今年も恒例の単独ライブ開催が決まったお笑いコンビ・バイきんぐ。キャンプ芸人として公私ともに充実した日々を過ごす西村瑞樹に対し、相方の小峠英二はレギュラー番組11本を抱える売れっ子ながら趣味は“夜の公園で晩酌”というごく控えめな私生活を送る。「何かやりたいこともない」「結婚への憧れもない」と語る小峠の、秘めたライフワークと仕事へのポリシーに迫った。

キャンプ芸人として充実の日々を過ごす西村瑞樹(写真右)と、ごく控えめな私生活を送る小峠英二【写真:徳原隆元】
キャンプ芸人として充実の日々を過ごす西村瑞樹(写真右)と、ごく控えめな私生活を送る小峠英二【写真:徳原隆元】

夜の公園で後輩芸人から「あんた何のために売れたんだよ」と…

 今年も恒例の単独ライブ開催が決まったお笑いコンビ・バイきんぐ。キャンプ芸人として公私ともに充実した日々を過ごす西村瑞樹に対し、相方の小峠英二はレギュラー番組11本を抱える売れっ子ながら趣味は“夜の公園で晩酌”というごく控えめな私生活を送る。「何かやりたいこともない」「結婚への憧れもない」と語る小峠の、秘めたライフワークと仕事へのポリシーに迫った。(取材・文=佐藤佑輔)

――コンビでのロケ共演NGが話題だが、あらためてコンビ間の関係は。

小峠「レギュラー番組もあるのでそれなりに顔は合わせてますけどね。ロケでは西村がボケない、僕がボケてもツッコまない。ただおじさん2人が街を徘徊(はいかい)してるだけの映像になってしまうので、ロケは共演NGにしているんです。もう5年くらいになりますかね」

西村「僕は小峠がそう言っているのをテレビ越しに見て、『おお、そうなんだ』って感じでした。でも僕がやっているキャンプ番組『西村キャンプ場』(テレビ新広島系)の100回記念にゲストで来てくれて。そうは言いつつも『やっぱ来るんじゃん』『節目にはちゃんと来てくれるんだな』って思いました(笑)」

小峠「あれだって、最初は断りましたよ。ただ、100回記念ってことでどうしてもって言われたから、まあ仕方なく……決して前向きではなかったんです」

西村「まあでも、200回目のゲスト出演の約束ももう取りつけましたから(笑)」

――キャンプ芸人としてこれまでに共演した著名人の人数は。

西村「特に数えたことはないですけど、50人はいるんじゃないですか。『キャンプの達人』なんて言ってもらうことも多くなってきましたけど、そんな偉そうなことは言えないです。小峠ともロケで何度か一緒に行っているんですけど、たき火っていうのはどんな人でも夢中にさせる魅力があるんです。こいつ(小峠)も一生懸命に火の面倒を見たりしていました」

小峠「火吹き棒っていうんですか? あれは何か不思議とやっちゃいますね。かといってまたやりたいかと言われたら、そんなことはないですけど」

西村「小峠はこう見えてアクティブな人間なので、1人でまったり過ごすより、よく知らない街を飲み歩いていることが多いんです。フェスに行くからっていって僕のテントを貸したこともありますし、都内の公園でコンビニで買ってきたお酒を飲んだりとかもしてる。外で飲むっていう意味ではキャンプとそう遠くもないですね」

小峠「休みの日に1日中家にいるってことはないです。この前も駒沢公園で後輩と飲んでいて、自分の食べるものと自分の分の酒は買ってくるように言ったら『あんた何のために売れたんだよ』って言われました。『こんな夜中に後輩呼び出して缶チューハイ飲んで、アングラ芸人とやってることが変わんねえじゃん』って(笑)」

西村「絶対嫌だよ、そんな飲み(笑)。後輩だって、小峠さんのおごりで普段なかなか食べられない高いものをごちそうになれると思ったから来ただろうに。まさか公園で飲んでて、ましてや自分の酒は自分で買ってこいだなんて。一言言ってやりたくなる気持ちももっともだよ」

『水曜日のダウンタウン』では結婚企画も話題に

――『水曜日のダウンタウン』では結婚企画もあったが、結婚の予定は。

小峠「ないです(笑)。売れてから10年は独身を謳歌(おうか)しようと思っていて、今はそこまでかたくなでもないですけど、別にしたいとも思わない。結婚に憧れもないし、寂しいと思ったことも一度もない」

西村「出ましたよ(笑)。ないの? 本当に?」

小峠「本当にないんです。一人で飲むことはないけど、誰かと飲みに行くのも寂しいからというわけじゃなく、家に一人でいるよりも何か面白いことが起こる可能性が高いから。むしろソロキャンプは寂しくなったりしないの? そういえば最近あったよな、ナンパ被害みたいなの。あれはダメだよ。情けないし、絡まれた方がふびんでならない。お前(西村)もキャンプ芸人の端くれとして、何か発信したりしないの? 警鐘を唱えないといけないんじゃないの?」

西村「僕はねえ、そういうのはあまりしたくないというか……。(騒動に)いっちょかみしてるようには見られたくないんです。何を偉そうにコメンテーターみたいなことをしているんだよ、みたいな。ネットニュースとかに対して発信したことは1回もないです。あまり事を大きくしたくないので」

小峠「僕も、そういうワイドショーみたいなお仕事はお断りさせていただいているんです。何かこう、面白くないんですよね。自分がやりたいことじゃないから。別にコメンテーターをやっている方をとやかく言うつもりは決してないんですけど、例えば自分が政治にしろ時事問題にしろ、何となく思うところはあっても『これはおかしい』とか『こんなの間違っている』とか強く主張したいことがあるわけじゃない。やりたければやってもいいけど、芸人がやらなくちゃいけない仕事でもないと僕は個人的に思うんです。

 やっぱりコメンテーターである以上は何かしらの立場を表明しなくちゃいけないわけで、しかも芸人である以上は専門家や文化人とも違った切り口から語らないといけない。多少の炎上に対しても覚悟の上で、腹をくくってやらないといけないと思うんです。僕もその覚悟がないままやっていた時期もありましたけど、やっぱり話を振られても大したことは言えないし、コメントひとつ取ってもすごく言葉を選びますし、『小峠なんかいいこと言ってる』って思われたくもないし。だからこそ仕事としてやっている方はすごい。松本(人志)さんも、かなりの覚悟を持ってやられていたんだと思います。あれは実際に出てみないと分からない」

――今後何かやりたいことや、野心、目標は。

小峠「僕はお笑いで食っていけたらそれだけでいいんです。あえてお笑い以外で何か挙げるとしたら、いい音楽に出合うことです。お笑いの次が音楽。でも、仕事でやろうとは思わない。中学のときから音楽を聴きだして、一番最初に買ったアルバムがクラスメートから教えてもらった『JITTERIN’JINN』。バンドも何となくやっているけど、それは本当に趣味の範囲で、一番はいい音楽に出合ってそのバンドのライブに行く。もう30年くらいずっとそればっかり。趣味というか、もはやライフワークですね。

 音楽とお笑いも、やっぱりライブはその瞬間瞬間のものですから。生で見るっていうのは大切なこと。音楽のライブも、今はスマホで動画を撮りながら参加するのが当たり前の光景だけど、すごくもったいない行為だと思う。スマホで撮っている映像なんて、ネット上にいくらでも転がっている。それよりも今まさに目の前で起こっている出来事、現象を目に焼き付けろと。その場の空気感だったり、好きな人の汗であったり、吐息であったり……。そういうものを全部感じられるのがライブの醍醐味(だいごみ)ですから」

西村「この間久しぶりに映画館で映画を観ましたけど、映像ですら家のテレビやスマホで観るのとは全然違いますから。一緒に同じ映像を見ている人の笑い声とか、息をのむ瞬間とか。……映画自体は難しくて、ちょっとよく分からなかったんですけど(笑)」

小峠「面白いものを生の笑い声とともに見られる空間っていうのは、会場に来てみないと分からないもの。お笑いライブって、音楽ライブほど一般的ではないじゃないと思うんです。音楽ライブに行ったことがある人は多いけど、お笑いライブに行ったことがあるのって、お笑い好きの中でもある一部というか、よほど好きな芸人がいるか、一緒に行く友達でもいないとなかなか足を運ばないと思うんです。笑いの共有はもちろん、周りがすごい笑っているけど、自分はそうでもないなとか、逆に周りはウケていないけど、自分はツボに入っちゃったとか。そういうのも含めた面白さはライブでしか絶対に得られないもの。何となくでも興味を持っているのであれば、まずは一度体感してみてほしいですね」

□小峠英二(ことうげ・えいじ)1976年6月6日、福岡県出身。お笑いコンビ「バイきんぐ」のツッコミ・ネタ作り担当。2012年、キングオブコント優勝。21年からは同大会の審査員を務める。趣味は音楽、映画鑑賞、ギターなど。

□西村瑞樹(にしむら・みずき)1977年4月23日、広島県出身。お笑いコンビ「バイきんぐ」のボケ担当。2012年、キングオブコント優勝。ソロキャンプ芸人としても注目を集め19年からはテレビ新広島で初の冠番組『西村キャンプ場』が放送中。

バイきんぐ単独ライブ「爆音」
●会場・公演日・開場/開演時間
[東京・日経ホール]
①2023年9月2日(土)午後5時30分開場/午後6時30分開演
②2023年9月3日(日)午後3時00分開場/午後4時00分開演
[東京・日本教育会館一ツ橋ホール]
③2023年9月9日(土)午後5時00分開場/午後6時00分開演
④2023年9月10日(日)午後3時00分開場/午後4時00分開演
●席種/チケット料金 全席指定/6800円(税込)
※未就学児童入場不可
8月19日(土)午前10時00分より、チケット一般発売開始
http://eplus.jp/qa/ (PC・スマホ共通)

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