フェイク画像に対応 アドビが日本のメディアに説明会を開催、SNS企業の加盟は「時間の問題」

アドビ株式会社は18日、デジタルコンテンツの来歴情報を記録し、信頼のおけるコンテンツを生成、利用する枠組み「CAI」(コンテンツ認証イニシアチブ)について、現在の活動状況と、真正性を確保する仕組みについて日本のメディアに向け説明会を行った。

撮影から掲載までの間の来歴情報が分かるように【写真:アドビ提供】
撮影から掲載までの間の来歴情報が分かるように【写真:アドビ提供】

55か国以上、1500を超えるメンバーがCAIに加盟

 アドビ株式会社は18日、デジタルコンテンツの来歴情報を記録し、信頼のおけるコンテンツを生成、利用する枠組み「CAI」(コンテンツ認証イニシアチブ)について、現在の活動状況と、真正性を確保する仕組みについて日本のメディアに向け説明会を行った。

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 世界中でフェイク画像による悪質なデマ情報が後を絶たない。今年5月には米・国防総省で爆発が起きたとされる写真がツイッター上で出回り、世界経済に大きな影響を与えた。日本でも2022年9月に静岡で記録的豪雨が発生した際、町全体が水害に遭っているような写真がアップされ、真偽不明のまま拡散。松野官房長官が注意喚起する事態にまで発展した。

 ソフトウェアメーカー側も対策を講じている。ディープフェイクやAI生成画像による誤報や偽情報に対抗するため、アドビは19年に「CAI」を設立。現在では事件等が起こった際、報じられた写真が本当に現場で撮影されたものかどうかを読者が確認することはできない。しかし、加盟社のカメラやソフトウェアを使用した写真には、いつどこで撮影、編集されたのか、AIによって作成されたものなのかが、マークやアイコンによって写真を見た人から分かるように来歴情報が開示され、確認できるようになる。撮影から掲載まで、画像が表示されるまでの流れが可視化されることで、信頼性を確保することができる。

 21年には「CAI」で使われる枠組みを決める標準化団体「C2PA」(プロべナンス&オーセンシティ連合)を設立。「C2PA」が技術的な規格を決め、それに応じてソフトウェアメーカーやメディアが「CAI」の仕組みを実行していく形になるという。

 ジャーナリストで「CAI」のアドボカシー&教育部門責任者であるサンティアゴ・リヨン氏は「『CAI』の成功の指標は来歴情報の利用が当たり前の状態になることだと思います。メディア側から来歴情報の使用を始めていき、それがだんだんと皆が分かる現象に広がっていくと思います。写真を見る人たちが来歴情報について理解してもらえるよう、進めなくてはいけません」と取り組みの未来について語った。

 メディア側の対応も急がれる。現在までに団体や学者など55か国以上、1500を超えるメンバーが「CAI」に加盟しているが、日本の報道機関の加盟は進んでいない。また、個人が発信できるソーシャルメディアとの連携は欠かせない。リヨン氏は「すべての主要なプラットフォームとは対話を進めていますが、社によってプライオリティーが変わってきています。我々が聞いているのは来歴情報がある1つの現象、シグナルになった際には信頼できる情報として使用するということです。各社さまざまな背景がありますが、加盟をするのは時間の問題だと思います」と解説した。

 また、今後「CAI」に対応するデバイスについても「ニコンとライカが既に技術を搭載したカメラを作成しています。販売については今年の末、来年の初頭ごろになるのではないかと考えています。スマートフォンについては来年中にはできるのではないか」とした。

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