俳優の菊地凛子が10日、都内で行われた映画『６５８ｋｍ、陽子の旅』（7月28日全国順次公開）の完成披露舞台あいさつに、共演の竹原ピストル、黒沢あすか、吉澤健、風吹ジュン、オダギリジョー、メガホンをとった熊切和嘉監督とともに登壇した。

　本作は、父の訃報を受けて東京から青森県弘前市の実家までヒッチハイクをすることになった主人公・陽子（菊地）が、東京から青森をたどる旅の中で出会う人々とのトラブルや温かい交流を通して、後悔を抱え孤立した心を癒やしていく一夜の物語。

　本作は、6月に中国・上海で開催された第25回上海国際映画祭のコンペティション部門で最優秀作品賞、最優秀女優賞（菊地）、最優秀脚本賞の3冠に輝いたが、映画祭の雰囲気や受賞した瞬間の気持ちを聞かれた菊地は「会場も広くて、ノミネートされた方々もたくさん来ていて、自分たちは会場ど真ん中の席で、割と受賞した方々が端っこに座っていたので、右にも左にも出られない（席だ）し、“これはないな”って感じだったので、自分の名前や陽子って名前が呼ばれたときはびっくりしちゃいました」と回顧し、「初めて観客の方に見ていただける場所だったので、温かく迎えてくださったし、反応がみなさんから伝わってきて、なおかつ賞がもらえたので、本当に嬉しかったです」と感無量な表情を浮かべた。

　また、ステージでスピーチを行っている際、ど真ん中に熊切監督が座っているのが見えたそうで「監督がカメラで私を撮っているんですけど、その手が震えていて（笑）、2人で感動して感極まってしまうというエピソードがありました」と打ち明け、熊切監督は着目されている感覚があり、受賞できると思っていたそうで「込み上げるものがあって手が震えました」と目を輝かせた。

　なお、フォトセッション時には脚本家の室井孝介氏も登壇し、一緒にカメラに収まった。