崔洋一さんお別れの会 数々の映画で共演 ビートたけしが「素晴らしい時間をありがとう」

昨年11月27日に、ぼうこうがんで亡くなった映画監督・崔洋一さん(享年73)のお別れの会が7月7日に、東京都内で開かれた。会場には俳優の岸谷五朗、松山ケンイチ、遠藤憲一、本木克英監督ら450人が訪れ、祭壇に手を合わせた。

崔洋一さんお別れの会が開かれた
崔洋一さんお別れの会が開かれた

返礼品は崔さんが撮影した写真 お別れと感謝を込めた

 昨年11月27日に、ぼうこうがんで亡くなった映画監督・崔洋一さん(享年73)のお別れの会が7月7日に、東京都内で開かれた。会場には俳優の岸谷五朗、松山ケンイチ、遠藤憲一、本木克英監督ら450人が訪れ、祭壇に手を合わせた。

 崔さんに縁があった人が集まった会場には、代表作の一部映像や、ポスターや台本など、その仕事ぶりが分かる品を展示。第28回日本アカデミー賞で最優秀監督賞に選出された『血と骨』(2004年)で手にしたトロフィー、愛用していたメガネや帽子などの遺品が並んだほか、プライベート写真やドキュメンタリー映像も公開された。

 会場に足を運ぶことができなかったタレントで映画監督の北野武は「崔監督とは、本当に長い付き合いで、振り返れば楽しい思い出ばかりでした。大島渚監督の映画、『御法度』(99年)では、私が新選組の土方歳三を、あなたが近藤勇を演じました。まじめなあなたは、休憩時間に、常に私相手にセリフの稽古をしていました。ある時、私がトイレへ行くと、中までついて来たあなたは、私の隣に立ち、『土方、例の件だが……。と、いきなりセリフの稽古を始めた事がありました。そんなあなたとの思い出の中でも、あなたが監督をして、私が主演を務めた『血と骨』は、印象深い作品です。あなたから出演依頼を受けた私は、『監督、出るのはいいけど、監督の演出は厳しいみたいだから、現場で怒鳴ったりしないで下さいね』と1つだけ条件を出しました。そして撮影が始まり、何度かNGを出す私に、怒鳴りたくても怒鳴れないあなたは、私が帰ったあと、1人トイレの中で、『たけしのバカ野郎!』と怒鳴っていたと、後日スタッフから聞きました。『TV タックル』の収録現場では、休憩中に、映画の話、そしてバカ話を沢山しましたね。そんな話ももう出来ないと思うと、悲しい限りです。数え切れない素晴らしい時間をどうもありがとう」とメッセージを寄せた。

 バラやトルコキキョウ、カーネーションなどを白を基調にした500本の花で飾られた祭壇の中央には、右手にタバコを持ちリラックスした表情を見せる崔さんの写真を設置。朗らかな写真はフォトグラファーの白鳥真太郎が2013年に撮影したものだという。お別れ会の返礼品には、“写真家”としても高い評価を得た崔さんが撮影したフォトカードのセットを準備。崔さんが晩年に自ら撮影した写真を紙焼きして、お世話になった人たちに贈っていたことを遺志とし、お別れと感謝のメッセージを込めたという。

 崔さんは49年7月6日に長野県で誕生。内田裕也が企画・共同脚本・主演を担った『十階のモスキート』(83年)で劇場映画監督デビューした。同作はイタリアのヴェネツィア国際映画祭に正式出品されるなど話題に。『月はどっちに出ている』(93年)では映画賞を総なめにした。映画作品は『十階のモスキート』から20本(東映Vシネマ・オムニバス作品含む)、テレビドラマは監督デビュー作『プロハンター』から数えると20本以上。故松田優作さんと組んで大ヒットした「焼酎貴族、トライアングル」やハウス ポテトチップス「オーザック」など多くのCMも手掛けた。公私ともに交流があった松田に関するライブ作品『松田優作・メモリアル・ライブ』とドキュメンタリー『優作について私が知っている二、三の事柄』(ともに2020年)が遺作になった。

次のページへ (2/2) 【写真】祭壇に手を合わせる松山ケンイチの姿
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